- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041118856
作品紹介・あらすじ
“体験した人が死ぬ怪談”を探す怪談師の三咲は、“呪いか祟りで死にたい”カナちゃんと暮らしている。幽霊や怪談、呪いや祟り、オカルトや超常現象。両親を事故で亡くした日から、三咲はそんなあやふやなものに頼って生きてきた。カナちゃんとふたりで本物の怪談を見つけ出し、その怪談で両親を事故死させた男を殺すことが、いまの三咲の目標だ。
ある日、「釣り上げた人が死んでしまう魚がいる」という噂を耳にした三咲は、その真偽を調べることにする。ある川の河口で似たような怪談がいくつも発生していることがわかり、ふたりはその発生源を求めて、怪異の川をたどっていく。“本物”の怪談に近づくうち、事情を抱えるふたりの関係にも変化がおとずれて――。
選考委員の絶賛を浴びた第41回横溝正史ミステリ&ホラー大賞<大賞>受賞作。
感想・レビュー・書評
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第41回横溝正史ミステリ&ホラー大賞受賞作。
怪談師の丹野美咲は身元不明の自殺志願者だったカナちゃんが酔っ払って倒れているのを拾って、一緒に暮らしています。
美咲は車の事故で両親を中学生の時に亡くしその交通事故を起こした犯人を本当の怪談によって殺して復讐したいと思っています。
美咲とカナちゃんは狗竜川に現れるという釣り上げた人が死んでしまうという魚を探そうとします。
一方、カナちゃんもとある目的から、偶然ではなく美咲に近づいてきたことがわかります。
カナちゃんの目的はこの世に呪いが実在しないことを証明することです。
オカルトって本当にあるのか。あることを証明するより、ないことを証明する方が難しいとこの本にあります。私はオカルトはない方が絶対いいと思います。
前半の四分の三は魚に関する怪談と美咲とカナちゃんの関係などですが、後半の方はとある人物の過去が絡みミステリー的な展開になります。
私はオカルトやホラーよりミステリーの方が好みなので、後半の展開の方が断然面白く読めました。
後半のミステリーとホラーの絡みにはかなりぞっとしました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
怪談師と少女は,釣人が死ぬ魚の噂の真偽を調査。二人は怪異を辿っていくうちに,危険な事件に遭う。怪談より現実に遭遇する事件の方がリアリティがあって怖い。
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第41回横溝正史ミステリ&ホラー大賞の大賞受賞作に加筆修正して2021年10月角川書店刊。三咲とカナちゃんの怪談を追いかけるそれぞれの理由が明らかになって行く語り口に興味を惹かれ夢中になった。怪談師をやっている三咲と謎のカナちゃんに魅力があって面白い。本物の怪異はあるのかどうかという点が気になり、一気読みでした。
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第41回 横溝正史ミステリ&ホラー大賞
大賞受賞作
両親を事故で失い、人を殺せる怪談を探す
主人公の三咲。
自殺願望を抱く身元不詳のカナちゃん。
怪談探しに加わる三咲の元カレの昇と
三咲を見守りサポートする弁護士の松浦。
都市伝説や怪談に伝承的な要素も加わって、
目に見えないうすら怖さがじわじわと
這い寄ってくる感じが不気味です。
三咲とカナちゃんが手繰り寄せた怪談は
偶然か何者かに仕組まれた必然なのか。
人間のさまざまな感情が折り重なって作る
不可視な何かと、登場人物が胸に秘めた思いが
複雑に絡まり合ったホラー感漂うミステリー。 -
「人を殺す怪談」を探す主人公と呪いで死にたい相棒の設定に引き込まれました。
ホラー小説というよりかはミステリー要素が強く、怪談の謎に迫っていく描写もテンポがよく、非常に読みやすかったです。ただモヤッとしたところもあったので評価は3くらいかなと思いました。 -
怪談師の三咲は、呪いや祟りで死にたいと願うカナちゃんと知り合い一緒に暮らすようになった…2人は「釣り上げた人が死んでしまう魚がいる」という話を聞き、そのルーツを辿る旅をする…そんな中それまでお互いに触れようとしなかった過去が怪談のルーツとともに徐々に明らかになっていく…。読みながら怖いなぁ…と思いました。怪談を作るのも怪談と捉えるのも人間であって…でもそれによって関わる人の人生が変わっていく…そんな風な落としドコロかな~とか、漠然と感じました。ラストは意外でしたが、読みやすい作品でした!
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怪談の出どころを探す。そんな中で登場人物の関係性が暴かれていく。
ホラーの要素もミステリの要素もあり楽しめました。 -
着地、構想が良い。テンポの良さも際立っている。良作。
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怪談師の三咲は、体験した人が死ぬ怪談をカナと探している。呪いか祟りで死にたいと言うカナ。
ある日、釣り上げた人が死ぬ魚の噂を聞いた二人は、その真偽を確かめるために調べるが…。
「その怪談は真実か」
その過程がミステリーっぽくて、ホラー苦手な私でも読み終えられた。
あと三咲とカナの関係性と、その背景。
三咲の成長譚としても読める。
もう少し驚きがあってもよかったかなとも思うけど、怪談を扱う以上はきっちりくっきりさせない部分もある程度必要なのかな。
著者プロフィール
新名智の作品





