デジタルリセット (角川ホラー文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 147
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041119877

作品紹介・あらすじ

許すのは5回まで。次は即リセット――。理想の環境を求めるその男は、自らの基準にそぐわない人間や動物を殺しては、別の土地で新たな人生を始める「リセット」を繰り返していた。
一方、フリープログラマーの相川譲治は、シングルマザーの姉親子の失踪に気付く。姉と同居していたはずの男の行方を追うが……。
デジタル社会に警鐘を鳴らすシリアルキラーが誕生! 第41回横溝正史ミステリ&ホラー大賞〈読者賞〉受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • うーん、絶妙につまらない。まず単純に読みづらい。章ごとに時系列が変わるの上に、章の中でも急に回想に入ったりする。あと視点人物が急に変わるのもわかりづらい。
    あとこのオチはどうかなぁ。水に流しすぎじゃない?

  • リセットするのは男の専売特許のように思って読んでいたけど、実は他にもリセットしてる人たちがいてゾワッとした。でも戸籍や経歴を買えるサイトがあるから他にもリセットする人がいてもおかしくないかと納得してしまった。
    ゲームみたいに簡単にリセットしようという思考が怖い。もっとも殺人は簡単なことでは無いんだけどなんの躊躇いもなく、「リセットしよ(グサッ)」だから怖い怖い。

    整形しても戸籍や経歴を変えても、誰だか分かる人には分かったり、顔を知らなくて名前が違う2人を同一人物だと特定できてしまうところが、デジタルでは変えられない評価することができない人間味やその人らしさという事なんだろうなと思った。

  • 人間関係リセットとか話題になっていたので、強制リセット(物理)は面白そうだと期待して読んだ。
    途中までは良かったのに、投げっぱなしの描写も多いし、何よりラストにずっこけた。リセットが異常なことだから恐怖を感じるのに、最終的に「賢い人はみんなやってるライフハック」みたいになってきて怖くもなんともない。

  • 運悪く自分の専門領域が重なってしまったので、全然ダメでした。でも、専門じゃなかったら、話としては別によいのではないかと。ただ、名前多すぎてわからなくなるのは辛い。

  • そんなうまくいかないって

  • 秋津朗著『デジタルリセット』(角川ホラー文庫)
    2021.12.25初版発行
    390頁

    2022.9.16読了
     2021年第41回横溝正史ミステリ&ホラー大賞<読者賞>受賞作。
     本作はほとんどの選考委員が辛辣なコメントをしていたにもかかわらず、読者賞を獲得した作品である。
     大賞を受賞した新名智著『虚魚(そらざかな)』がイマイチだったので、「むしろ本作の方が面白いのでは?」と期待して手に取った。

     しかし、残念なことにこの作品はまだ商業出版できるレベルに達していない。
     失踪した姉親子の行方を追って事件の真相を突き止めていく個々の展開は面白いのだが、ストーリー全体で見ると完全に破綻してしまっている。
     結局、姉親子を殺害した男が物語の終盤で殺されてしまい(328頁)、弟の譲治は姉親子の足取りをつかめないままである。一応、エピローグで姉親子の白骨化した遺体が偶然発見されるシーンを描いてお茶を濁しているが、譲治が姉親子の死を知ることはない。

     姉親子を殺した男は、身分証の偽造屋から買った個人情報で他人になりすました生活を送っているサイコパスで、少なくとも三回は名前を変えている。そして、名前を変えるたびに、自分を知る人間を次々と殺していくのだが、生々しい描写が多く、恐怖を感じるどころか逆に辟易してしまう。

     他人になりすましている理由は、「理想の家族の肖像」(7頁)を求めてということなのだろう。

     裏表紙にある「許すのは5回まで」という煽り文句は、(自分を不快にさせるような)失敗が5回続くとその人を殺すという意味なのだが、ストーリーの中で十分活かされているかというと疑問である。

     姉親子を殺した男と譲治は共にIT技術者で、IT技術関連の小ネタがところどころ挟み込まれているのだが、ほとんどが物語の筋と関係がない描写で、知識のひけあかしに見える。例えば、IT会社の採用面接でいやにIT技術について熱弁をふるうシーンがあるのだが、ここは丸ごとカットしてもいいくらいである(283頁)。

     そもそもIT技術者という設定自体も不要かもしれない。IT技術者でありながら、会話シーンは昭和の香りたっぷりで、洗練された感じが全くしない。IT技術者なのに、紙で印刷した地図で目的地を探したり、履歴書を紙媒体で保存していたりと疑問符のつく場面が多い。
     むしろ源氏鶏太のようなサラリーマン小説を目指した方がいいのではないかと思う。

     三人称小説で複数の登場人物の視点から描かれているが、いわゆる「タブーな視点移動」に陥っている。
     同じ章内で何の前触れもなく視点者が変わり、登場人物の誰が見て、考えたことなのか分からず、読者にとって非常に読みづらい。その結果、誰が主人公なのか分からず、前半はとにかく読み進めるのが苦痛である。
     プロローグ後の最初の章が、孝之(姉親子を殺した男の偽名)視点で始まったと思いきや、いつの間にか木田という男性の視点にすり替わっていたりする。孝之がサイコパスであることは読み始めてすぐに判明してしまうのだが、それであれば、あえて犯人視点からの描写を書かない東野圭吾著『白夜行』のような作りにしてほしかった。譲治の登場が89頁目というのも遅すぎる。

     終盤に入ると、バトルシーンが入ったり、恋愛要素が入ったりとますます節操がなくなる。 

     横溝正史ミステリ&ホラー大賞の作品はもう読まないだろう。

  • ラスト期待していたが、とても残念。。

  • 還暦を過ぎてから作家デビューした方らしく、沼田まほかるの上を行く。何事も始めるのに遅すぎることはないんだなぁ。

    誰もが見惚れてしまうようなイケメンのシリアルキラー。何度も名前を変え、顔を少しいじっては猟奇殺人を繰り返す彼が現在の勤務先から姿を消す中盤以降、いきなりハードボイルドの様相を呈してきます。彼の気持ちは想像するしかなくて、最後はちょっと物足りなくもあり。

    何もかもデジタルで評価しておいて、取引先との関係には忖度せよというのは理不尽なような。そこだけは彼にちょっと同情。5回アウトで抹消されるなら、世界から誰もいなくなる。何でも効率化を最重要視していたら、彼のような人が生まれるかもしれません。

  • なんとなく気になって購入する.

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著者プロフィール

1960年兵庫県生まれ。現在ソフトウェア会社勤務。2021年、本書(応募時タイトル「デジタル的蝉式リセット」)で第41回横溝正史ミステリ&ホラー大賞〈読者賞〉を受賞し、デビュー。

「2021年 『デジタルリセット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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