日本、遥かなり エルトゥールルの「奇跡」と邦人救出の「迷走」 (角川文庫)

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  • KADOKAWA (2021年11月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (496ページ) / ISBN・EAN: 9784041119884

作品紹介・あらすじ

1985年3月、イラク軍はテヘラン空爆を開始。在留邦人を救い出したのは、日本ではなくトルコの救援機だった。国家が真に守るべきものとは何か。日本の「自衛」問題の本質に迫る緊迫のノンフィクション。

感想・レビュー・書評

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  • 【概略】
     イラン・イラク戦争(1985年)での邦人テヘラン脱出、湾岸戦争(1990年)での人間の盾からの解放、イエメン内線(1994年)からの邦人脱出、リビア動乱(2011年)からの邦人脱出から、海外で活動する日本人達が思い描く「日本国が(在外邦人に)してくれること」と、「日本国が実際にしたこと」の乖離、それは本来「国家」が持ちうるものを持たない(行使しない)がゆえの悲劇。国家が持ちうるものを、それ以上に行使したのがトルコ、そしてそれは1980年、和歌山県串本町沖で遭難したトルコ船籍エルトゥールル号の救助が源泉となる。トルコにあって日本にないものは、なにか?

    2024年02月05日 読了
    【書評】
     本書に記載されている事柄だけをもって全てを判断してはいけないのだけど・・・。なるべく筆者の主観を取り除いた事実部分だけに注視しながら読み進めて思ったこととしては・・・。
     罪深いよ、本当に。
     自衛隊の派遣、自衛隊を軍と捉えること、そういったところから即座に、やれ徴兵制だの軍国主義化だの右傾化だのという針の触れ具合・・・その飛び越えられた幅の間に存在しているナニカこそ、海外でビジネスという土俵で戦う民間人を守る選択肢があるはずなのに。
     物資を輸入せざるを得ないのが日本、ということは日本人は輸入先に出向かざるをえない。純粋なガラパゴスじゃないんだよね。ドメスティックでいるために、外側からものを仕入れる導線を作らないといけない。国内の仕事を創出するために、国外に出る訳よ。殺傷能力のある武器こそ手にもっていないけれど、海外で戦ってる訳なのだよねこういった民間人は。そういった民間人を保護・救出するために自国の飛行機を出せない現実、他国に救出をお願いしないといけない先進国・日本。海外で命を張ってる日本人からしたら、たまったもんじゃない。
     「そんな危ない国でビジネスを広げる必要はない」なんておかしなこと、言えないよ。近視眼的な考えだよそれは。危ないから行かない、安全だから行く、のではなく、必要だから行く、なのだよ。自分の生活の中からすると一見関係ない遠い海の向こうの国だって、本当は深い関係があるのよ。
     ルソーの社会契約論的な感覚でいくと、(会社というものは、すべからく規模が大きくなればなるほど社会における責任負担は大きくなる。その延長上には国に資することが責任になってくる)ビジネスパーソンは、そのリスクを負ってリターンを得るというサイクルを通じて所属する国(日本人ならば日本)に資することとなる。その代わり、国は各人に対してケアをする必要がある。それは時に行政サービスであり、治安維持であり、保護である。「自分の国は、国民になにかがあった時は、なんとしてでも救出に来てくれる」という信頼とそれに足る実績があってこそ、各人はその属する国に対して「お返し」をするのだ。だから多くの国の人々は、海外に出て何か起きても国がアクションしてくれると信じ、危険を承知で戦うのだ。そして、命を投げ出してでも救出に尽力してくれるからこそ、軍属の方達に敬意を表すのよ。それを「戦争はいけない」ということだけでもって戦争(または戦争行為)を想起させることを全て否定してしまい、結果として国と国民の間の社会契約が成立しなくなってしまうのだよ。
     リベラルと呼ばれる方達なのか、野党と呼ばれる方達なのか、はたまた与党内部の方達なのか、政治家だけでなく、ことあるごとに右傾化だの軍国主義化だのと針をギュンとふらせることばかり主張する人は、本当に考えた方がいいと思う。・・・ってか、「右傾化」「軍国主義化」という言葉をしっかり理解して使っているのかすら、あやしいよね。そういった言葉を多用される方達が理想としている国家ってどんな国家かわからないけれど、現実に地球上にそれに近い国家があるとする。その国家は、軍を放棄しているのか?その国家の国民が海外で窮地に追い込まれた時、自国の飛行機で救助に行かないのか?是非、調べてもらいたい。存在するのなら、教えてほしい。
     あぁ・・・本当はこの本は、エルトゥールル号の話、そしてイラン・イラク戦争時のトルコによる邦人救出の部分に焦点を当てて読み終えたかったのだけどね。あまりに情けなくて情けなくて。海外で戦う民間人(日本人)の累々たる屍の上にのみ成り立っている、自称・世界に冠たる平和憲法としての日本国憲法だとしたならば、ちゃんちゃらおかしいよ。究極のブラック企業の社是だもの。
     本来の目的であるトルコの部分は、また落ち着いてから考えることにしよう。

  • エルトゥールル号という言葉と著者が門田隆将さんとの事で手に取った。イランイラク戦争でのトルコによる邦人救出、その他紛争地域からの邦人脱出など、ニュースとして知ってはいるけど、そこに至るまでの苦闘の詳細を初めて知った。追い詰められていく様子や一体何時になれば救援機に乗れるのかと手に汗握りながらの読了となった。安保法など少しずつ前進はしているけど、他国とは比較にならない。自衛隊が行くと戦争になるからなど馬鹿げた話だ。危険があれば、それを排除してでも邦人を救出することの出来る制度を早急に確立しなければならない。

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著者プロフィール

作家、ジャーナリスト。1958年、高知県生まれ。中央大学法学部卒業後、新潮社入社。『週刊新潮』編集部記者、デスク、次長、副部長を経て2008年独立。『この命、義に捧ぐ─台湾を救った陸軍中将根本博の奇跡』(集英社、後に角川文庫)で第19回山本七平賞受賞。主な著書に『死の淵を見た男─吉田昌郎と福島第一原発』(角川文庫)、『日本、遥かなり─エルトゥールルの「奇跡」と邦人救出の「迷走」』(PHP研究所)、『なぜ君は絶望と闘えたのか─本村洋の3300日』(新潮文庫)、『甲子園への遺言』(講談社文庫)、『汝、ふたつの故国に殉ず』(KADOKAWA)、『疫病2020』『新聞という病』(ともに産経新聞出版)、『新・階級闘争論』(ワック)など。

「2022年 『“安倍後”を襲う日本という病 マスコミと警察の劣化、極まれり!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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