逡巡の二十秒と悔恨の二十年 (角川ホラー文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 280
感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041119938

作品紹介・あらすじ

わたしは20年前の記憶に苛まれ続けていた。
子供の頃のたった20秒の迷いが、川で一緒に遊んでいた幼馴染を見殺しにしたのだ。
当時の「記憶」は次第に「現在」を崩壊させ始め……?(「逡巡の二十秒と悔恨の二十年」)

表題作ほか、食用の人間がいる世界を描く問題作や、落語と都市伝説の有名人たちを掛け合わせたユーモア作、代理出産をめぐる壮大な物語まで――。
ホラー、ミステリ、SFのジャンルを超えて読者を驚愕させてきた著者の、単著未収録作品集!

感想・レビュー・書評

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  • 軽い語り口の妖怪もの(関西弁はホラーに合わないね)から、やや皮肉交じりなスプラッターな人食いものまで。人肉の話は人によっては受け付けないかも。なんか本能的な嫌悪感がありますね。

  • 単行本未収録かと思ったら、単著未収録だったなんて…
    初読もいくつか入っていたのでまあよいのですが。
    「吹雪の朝」は再読だけど、何回読んでも犯人がアホすぎて切ない。

  • 2022年、1冊目は、小林泰三の短編集。

    今回は、一言コメントを添えて。

    玩具:タイトルからしてデビュー作を彷彿させる。そして、やはり。

    逡巡の二十秒と悔恨の二十年:自分とヤスミンとの出会いのきっかけになった一編。

    侵略の時:SF的一編。

    イチゴンさん:大人のダーク・ファンタジー。大好物です。

    草食の楽園:SF作再び。

    メリイさん:ホラー・コメディー(んなジャンルあるのか⁉️)、落語的一編。時空、飛び抜けてます。コレも大好き。

    流れの果て:散文詩的な一編。

    食用人:ココでグロ系キタ━━━って感じ。

    吹雪の朝:サスペンス調の一編。

    サロゲート・マザー:見事なヒネり。

    ホラー~コメディーまで幅広く収録されてる。没後1年以上になるが、本当に氏の短編好きだなぁ。ほぼほぼ、文句ナシの、★★★★☆評価。

  • ホラーだね

    私はあまり好きではないな。作者さんのSFは好き何だがなぁ。

  • ぞわりとする短編がいくつか。
    人間って、相手の思考を完全に分からないからこわい。
    信用しきれないな…と、改めて思った。

  • 「玩具修理人」や「人獣細工」を思い起こさせる話や善悪の区別とは考えさせられる「草食の楽園」、関西弁と怪談がミックスすると落語になるのか「メリイさん」など泰三の魅力がこんなにまで…自己と他者の区別やそもそも自分の意識とは?いとう会話、グロテスクな描写なのに淡々としているからそこまで忌避感の無い文章などうううう本当に惜しい人を亡くしてしまった文学界...

  • 書店になくてAmazonに頼った、頼る必要はなかった

  • 故・小林泰三氏の未収録短編集。短編としてはベリーショートで330頁で10個も収められている。SF、ホラーに収まりきらない作者の魅力がつまっている。

    「玩具」
    えらいことになった。目の前に瀕死の友人がいる。望みを叶えるあの存在、てぃーきーらいらい。

    「侵略の時」
    朝何気なく始まった日常の崩壊、妻が朝食に出してきたのは生の豚肉だった。見た目は変わらずとも常識のなくなった周りの人々。人類の侵略を「酔歩する男」を彷彿とさせるような独特の価値観で描いたSF。

    「食用人」 
    なんで食用じゃないものをわざわざ食べるのか。食用ではないカエルやイノシシを食べたがる人の神経が信じられない。こんなに美味しい食用の人間がいるのに。食用の人間が認められた世界で初めて訪れた人間の活け造り専門店、生きながら解体されてくその肉片に私は何を想う。

    「サロゲート・マザー」
    遺伝的に繋がりのない子を産む。産みの親と育ての親、どちらが本当の親で愛情や責任は何処へ行くのか。お金の為の代理出産に悩む夫婦のお話は終盤とんでもない様相を・・・。論理の前に価値観がある。

  • 久し振りに小林泰三の作品を手に取る。やはり面白い。
    読んでいても、飽きが来ない。読むのが楽しい。
    ストレスが無い。これだけ素晴らしい作家は本当に稀有な
    存在だ。亡くなったのが本当に惜しい。
    文庫化されている作品は順次読ませて貰っている。
    まだ、文庫化されていない作品も有る。
    早く全ての作品が文庫化されて欲しいと切に願う。

  • 未収録作品集。どれもこれもがシュールだったりユーモラスだったりグロテスクだったり、インパクトのある作品ばかりです。
    お気に入りは「メリイさん」。これ、「怨霊」の別バージョンですよね。やっぱり抱腹絶倒。怖いはずなのに大笑い。
    「逡巡の二十秒と悔恨の二十年」、これは恐ろしいような、優しいような。どう考えても「悔恨の二十年」の方がずっとずっとつらいはずなので、これは幸せな物語なのでしょうか。
    「侵略の時」も、恐ろしいシチュエーションなのになぜか抱腹絶倒。いやもうこんな事態になったら諦めるしかないでしょうね。
    「吹雪の朝」もインパクトのあるミステリです。これはけっこう知らない人も多いのでは……? 勉強になる(笑)一作です。

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著者プロフィール

1962年京都府生まれ。大阪大学大学院修了。95年「玩具修理者」で第2回日本ホラー小説大賞短編賞を受賞し、デビュー。98年「海を見る人」で第10回SFマガジン読者賞国内部門、2014年『アリス殺し』で啓文堂文芸書大賞受賞。その他、『大きな森の小さな密室』『密室・殺人』『肉食屋敷』『ウルトラマンF』『失われた過去と未来の犯罪』『人外サーカス』など著書多数。

「2023年 『人獣細工』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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