六法推理

著者 :
  • KADOKAWA
3.43
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  • (3)
本棚登録 : 807
感想 : 71
  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041120064

作品紹介・あらすじ

法曹一家に育ち、血も涙もない法律マシーンと呼ばれる古城行成は、大学で無料の法律相談所を運営している。今日も「押しかけ助手」の戸賀夏倫とともに、リベンジポルノや放火事件などあらゆる難問に挑むが……。

感想・レビュー・書評

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  • 鬼★5 キュートな大学生二人が、現代のリアルな社会問題にリーガル視点で切り込む! #六法推理

    法学部の大学生である主人公は、無料で法律相談ゼミを開いていた。彼のもとに同大学の女学生が、自宅の怪奇現象について相談に来たのだった。二人は学内で発生する様々な事件を解決するために奔走するが、あくまでも学生の自主ゼミの一環。彼らは依頼者たちを救うことができるのか…

    超絶面白いっ 圧倒的に★5
    こんな小説を待ってましたよ~ まさに五十嵐先生にこんな感じのを書いてほしかった!

    これまで作者は、現代の社会問題を法律目線で切り込んだ重厚な社会派リーガルミステリー、といった作品を出されていました。本作も重厚感がありつつも、身近で新しい社会問題に、キュートな大学生二人が挑むといったライトで暖かな世界観になっています。

    現実感のない法律ミステリーではなく、あくまで身近な問題や環境で、法律のなんたるか、何が問題か、どうが解決できるかを正面から突き付けたうえで、ストーリーやキャラクターはポップに展開させて解決策を探る。ありそうで全くない傑作だと思いました。

    さらに取り上げる社会問題がリベンジポルノ、顔認識アプリ、毒親との法的関係性など、新しい切り口でのミステリー。まさに今が読み時の作品です。

    そして、なんといっても本作は主人公の二人魅力的すぎます。
    まだまだ青っぽい学生ながら、法律や人生に関わる強烈な問題に対して真摯に向かう姿が激アツっ
    問題解決を進める中、様々な人間関係を背景にいくつもの葛藤に苛まわれます。主人公たちの信念と自らの判断に対する不安の描写がリアルに伝わってきて、彼らの成長の様子が一番の読みどころですね。

    もちろん法律や裁判に対しても、意識高く問題提起がされており、さすが弁護士先生の作品。
    そして文章も話の構成もお上手ですごく綺麗。法廷遊戯のころと比べると、圧倒的に整っており読みやすい。人が死ぬ現場描写も、たぶんあえて出してないんでしょうね。誰でも手に取って読めると思います。

    これはちょっと名作だと思いますよ、そして今後が期待できる一冊でした。超おすすめしますっ

  • 図書館で目にしてそういえば秋さんが高評価してたなと思って借りてきました

    正直ちょっと表紙が軟弱な気がしてあまり期待してなかったんですが、なかなか面白かったです
    そりゃあそうよ!
    秋さん高評価本舐めんなよ(お前な)

    大学の法学部に通う大学生が無料の法律相談を…という設定なんですが
    本職の弁護士じゃない、つまりただ法律に詳しい大学生という立ち位置が凄いストーリーに活かされいて良かったです

    そしてめちゃめちゃ続編がありそうで
    しかも続編はもっと面白くなりそうな感じ
    キャラが粒立っていて良かったです

    • みんみんさん
      この作家さんの「幻告」面白かったよ(^ ^)
      たぶん好きだと思う♪
      この作家さんの「幻告」面白かったよ(^ ^)
      たぶん好きだと思う♪
      2023/03/22
    • autumn522akiさん
      舐めんなよ、にゃー
      読んでくれて、ありがとう~

      この作家先生は他の作品も面白いんだけど、
      お話のレベルが高次元すぎるので、ちとエン...
      舐めんなよ、にゃー
      読んでくれて、ありがとう~

      この作家先生は他の作品も面白いんだけど、
      お話のレベルが高次元すぎるので、ちとエンタメ感が欲しかったんですよね~

      でもでも本作はエンタメ感もあって大好きなんですっ
      2023/03/22
  • 法学部の片隅にあるサークル「無料法律相談所」の唯一の部員古城行成と、法律相談(というか住んでいる事故物件!で起きる心霊問題)に訪れた事をきっかけとして押しかけ助手になった経済学部の戸賀夏倫が協力して舞い込んできた問題を解決する短編集。法律面からアプローチする古城と心理面から突き崩す戸賀のコンビが噛み合っていないようで噛み合ってくるのがいい感じ。学生からの法律相談だけど放火とかリベンジポルノとか毒親との縁切りとか結構重い内容だし、法律の限界も見せつけられるし闇に葬られるラストもある。でも今迄と較べると法律の説明とかが読みやすいし法律一家の古城の進路も気になるし戸賀の背景も気になるしで続編希望。ありそうなラストだったけどどうだろう。

  • ホームズ役の女の子ががなんか掴みどころのない軽い性格みたいに感じられて、もうちょい両親との関係性とか性格的な肉付けが欲しかったかな。もしかしたら次作にでそういうところも明かすつもりなのかもしれないけれど。法律の具体的な事例(親が子供のお金を盗っても法律上無罪とか)がトリビアみたいで楽しく読めた。

  • ❇︎

    迷える子羊が飛び込んだ先は、
    大学の法律ゼミ『無料法律相談』無法律

    難解な事件を解決するのは、豊かな法律知識と
    思いもかけない閃きが導き出した発想。

    推理と法的説明がコミカルなテンポで
    キャッチボールされる様は軽快です。


    六法推理
    情報刺青
    安楽椅子弁護
    親子不知
    卒業事変
    全5話

    現代の社会問題から生じた事件を、
    法律で切り込み解決に導くリーガルミステリー。

    舞台は大学、登場人物は大学生なので、
    重い内容の中にも乗り越えて行こうとする
    若さや前向きなエネルギーを感じさせてくれます。


  • シリーズ化、ドラマ化しそうな法学部の大学生古城くんを中心としたリーガル?ミステリー。
    4話目の「親子不知」くらいから、主人公古城くんと経済学部の戸賀さんの掛け合いが2人の頭の良さや回転の速さを表していて面白くなりました。
    最初の方は古城くんが考えた推理を「その推理間違ってます」的な感じで戸賀さんが解決に導くので、毎回そんな感じの話の流れかな?と思いましたが、ちゃんと古城くんが解決に導く展開もあって何故だかホッとしました。

  • 【収録作品】六法推理/法曹一家/情報刺青/誰彼味方/安楽椅子弁護/秋霜激烈/親子不知/陽炎天秤/卒業事変

    大学で無料の法律相談所を運営する古城。法曹一家に育ったが進路に悩む古城と、相談に来た挙句居座った自称助手の戸賀が相談に挑む。

    「六法推理」 戸賀の依頼。事故物件での嫌がらせの犯人を捜す。
    「情報刺青」 大学生YouTuberからリベンジポルノの相手を突き止める相談。
    「安楽椅子弁護」 学園祭の準備時に起きた火災で怪我を負った古城の友人の実行委員会に対する訴え。
    「親子不知」 毒親問題。
    「卒業事変」 カンニング騒動。無法律のアカウントから定期試験の解答が流出。教授のセクハラ問題につながる。

    合間にはさまれる古城の事情がうっとうしい。大学生になってそれかよ、と思うが、昨今、そういう大学生は多いのか。身近にもいるのでなんとも複雑な気持ちになる。

    で、これは続きそうな感じだけど、どうしようかな。

  • なんせ読みやすかった。法律知識として難しい名称は出てくるものの、実際に絡んでくる内容ではなかったため小難しく考えなくてよかった。

    今後、続編が出るのであれば別だが、もう少し登場人物の性格や背景が分かると感情移入出来たかなと思った。助手が突飛な性格をうたってはいるが、最終的にはまずまずの一般的感覚であったのが残念であった。もう少し基盤がしっかりした上での、発想の転換のような展開があればもっと面白かったと思う。
    ただ、最初にも書いた通り、ライトに読めるのはありがたい。

  • たまたま見かけて、面白そうだったから図書館で予約待ちした本。
    主人公は法曹一家に生まれて無料法律相談サークル所属の大学生。探偵を気取ってる訳じゃないから、相談された内容にもあくまで法律的な解釈で答えてる。だから推理?にも穴があって完璧じゃない。相談者の推理と合わさってうまく結論が出てくるというのが、ミステリーものでは珍しい構成だと思う。
    短編になってるし、会話もテンポが良くて読みやすい。ただ表紙になってる女の子、1話の相談者かつ助手だろうけど、なんかイメージと違うなぁ。マジメ黒髪系なイメージ。

  • 現代の大学生が遭遇しうるような題材かつ探偵と助手のデコボココンビが解決していく王道展開により、法律相談という固くなりがちなテーマがスッキリ読みやすくなった印象を受けました。

    この作品は特にキャラクターが魅力的だったので、このコンビがもっと色んな問題に立ち向かう姿を見てみたいと思いました。

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著者プロフィール

1990年岩手県生まれ。東北大学法学部卒業。弁護士(ベリーベスト法律事務所、第一東京弁護士会)。『法廷遊戯』で第62回メフィスト賞を受賞し、デビュー。著書に、『不可逆少年』『原因において自由な物語』『幻告』(以上、講談社)、『六法推理』(KADOKAWA)がある。大胆なストーリーテリングとたしかな法律知識で読者の支持を集める、ミステリー界の新星。

「2023年 『法廷遊戯』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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