- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041120491
作品紹介・あらすじ
大学院で社会学研究科を目指して研究を続けている大学四年生の勝山裕。卒研グループの飲み会に誘われた彼は、その際に出た都市伝説に興味をひかれる。上州の村では、二重丸が書かれた紙がいたるところに貼られているというのだ。この蛇の目紋は何を意味するのか? ちょうどその村と出身地が近かった裕は、夏休みの帰郷のついでに調査を始めた。偶然、図書館で司書のバイトをしていた昔なじみの飯山香織と出会い、ともにフィールドワークを始めるが、調査の過程で出会った少年から不穏な噂を聞く。その村では少女が監禁されているというのだ! 謎が謎を呼ぶ。その解明の鍵は古文書に……?下巻へ続く。
感想・レビュー・書評
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『図書館の魔女』シリーズの高田大介氏による民俗学ミステリー…もう絶対おもしろいじゃん。
表紙のおどろおどろしさに若干びびりつつ、でもそれを上回る期待に胸をふくらませながら読み始めました。
原生林の渓流で、都会育ちの少年が、鮮やかな赤い着物を纏った少女を覗き見する第一章。
都市伝説を集める大学生たちの飲み会で、不気味な二重丸の紋にまつわる3つの説話が披露される第二章。
もうここまででがっつり物語の世界に絡めとられてしまいました。
その都市伝説を調べるために地元に戻った裕の調査のプロセスがたまらなく面白いのです。
彼の同級生で、現在は図書館司書として働く香織の力を借りながら、二重丸の紋に関連する場所を訪れ、石碑や資料を読み込み、由来に迫っていくのです。
どんどん濃くなる不穏な気配に背中を押されるように、一気に下巻へ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『図書館の魔女』を書いた作家と言えば通じるかもしれない、高田さんの作品。今作は民俗学ミステリーで、社会学を専攻する裕と図書館司書ちょい前の香織が地元で蠢く歴史的謎を解明する物語。
とにかく情報量が多いのは『図書館の魔女』と同じで読むのは苦労するけれど、知的好奇心を刺激され、調べながら読み進めてしまう。ミステリー×民俗学×青春、楽しめるので、我慢して読んでほしい! -
民俗学や社会学的な研究者が史料をどう考えるか、どのようにレファレンスを利用するか。
そんな手法や史料との向き合い方を学べた。
言葉が独特でリズムを掴むのにちょっと戸惑って、読み進めにくかった。 -
面白いのだが、白文や言葉が難しい。さらに資料や研究に対する心構えも難しい。
内容は、大学生の主人公が自分のルーツと怪談とのつながりを調べていくうちに寒村の神社と歴史にたどり着く。
ややホラーめいた民俗学ミステリー。 -
うーん、言葉のひとつひとつが小難しくて読みにくい。
面白いんだけど、なんせ言葉が難しいので頭に入ってこない・・。
あと方言が気になる・・・
下巻に期待! -
卒業研究グループでの飲み会、メンバーの一人が、友人によく怖い話として聞かされていた話があると言う。上州の某町では、二重丸が描かれた紙がいたるところに貼られ、好奇心からその紙の探し回った子供達は、岩場の斜面にお堂のようなものを見つける。細い隙間から覗いた子供が叫んだ。誰かいる!
ある者は痩せ細った子供が正座して何かに謝っていた、ある者は正座して屈んだまま何かを結いていたと言う。顔は見たか?の問いにはこう答えた。「眼帯をしていたようだった」「目隠しをしていたか、包帯をしていた」
感想は下巻の方に。 -
大学院進学を考えてるちょっとクールな裕。
ある日突然、あまり話したこともないゼミのグループより卒研のことで相談される。
テーマはズバリ『都市伝説の伝播と変容』…
相談に乗ってるうちにある『都市伝説』にひかれてく。
現地(裕の地元)に行き調査が始めるが…
感想は下巻で〜m(_ _)m -
骨太の歴史民俗ミステリーでした。
膨大な資料と考察から真相に迫っていく。またそれだけでなく、しっかりとドラマがあり、夢中になって読みました。
諸所で挿入される学術的な話も興味深く、作者の持ち味が存分に生かされていると感じました。それがテンポを乱してしまってもいるように思いましたが、この作品の魅力を損なうほどではないです。
地方の因習、風俗に根差したミステリーやホラーが好きな人にぜひおすすめしたい作品です。
著者プロフィール
高田大介の作品





