明日はきっと お仕事小説アンソロジー (角川文庫)

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  • 本 ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041120538

作品紹介・あらすじ

空港に勤務する旅行会社の「あぽやん」、誰もが働きやすい職場環境を守る労働基準監督官、文書や原稿などの誤りを指摘する校閲者、求職者の相談に乗るハローワーク職員、地域住民に愛される町のクリーニング店。様々な職場で働く人を、人気作家が描いた短編5作品を収録。身近な仕事から意外と知らない職業まで、誰もが壁にぶつかり、悩んでいる。奮闘する主人公たちに明日の一歩を踏み出す勇気をもらえる、傑作アンソロジー。

感想・レビュー・書評

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  • 5人の作家さんによる、お仕事小説。
    全員初めましての作家さんなので、色々な方の作品を知る良い機会になった。

    「笑って、笑って」
    旅行会社の空港勤務の男性のお話。自分が左遷させられたと思ったら、そりゃ仕事のモチベーション下がるよね…。仕事の面白やさ楽しさって、問題、課題、ハプニングが起きた時にチームで頭を捻ったり協力して解決する中で見えてきたりするものだなと思うし、本作もまさにそんな感じ。遠藤くんが今後もさらに空港勤務の楽しさを見出せますように。

    「部下の迷い」
    労働基準監督署職員である三村全と部下の加茂のお話。加茂が法に対して抱えるモヤモヤに対し、三村の「いいか、加茂。これだけは覚えておけ。法律は、冷たいんじゃない。平等なんだ。法律が相手によって温度を変えたら、そこには不平等が生まれる。法の不平等とは、すなわち不正だ」の言葉、それに続く〈味芳〉の労働問題への向き合い方はこちらも勉強になった。社労士の受検経験あるので、個人的に他のシリーズも読んでみたい。

    「校閲ガール?!」
    出版社の校閲担当の女性のお話。
    石原さとみ主演でドラマ化された作品。ドラマを観ていなかったけれど、悦子のストレートなものいいをする石原さとみが頭に浮かんだ。仕事ができる女性は好きだから読んでいて気持ちよかった。

    「仕事の仕事」 
    ハローワーク職員のお話。これも社労士の科目に通ずるものがあって、勉強で学んだことのリアルを想像しながら読むことができた。
    本筋と外れるのだが、本作では、"歯"がないことが就労に就けない一因として挙げられたが、ここまであからさまでなくてもビジュアルで採用・不採用する企業、人事は世の中に溢れていて、やはり外見が良い方が人生得が多いというのは確かなことだと思った。

    「グッドバイからはじめよう」
    亡くなった父が営んでいたクリーニング店の息子の和也と、友人の沢田による日常ミステリー作品。ライターやタバコがドライクリーニングの機械に入ってしまった場合に想定される被害・補償額の大きさにはゾッとした。滅多にクリーニングを利用することはないけれど、普段客側である私も、自分が洗濯機で洗濯するような気持ちでポケットの中を確認してからクリーニング出そうと思った。

  • お仕事小説、という表紙を見るだけで、胃酸がでてしまい、読むのに時間がかかった。
    なんか上手く行っちゃって、そんなもんか?と思う反面、仕事、そんなに嫌じゃ無いかもな、と思うキッカケづくりには良い気がした。

  • 【収録作品】 「笑って、笑って」新野剛志/「部下の迷い」沢村凛/「校閲ガール!?」宮木あや子/「仕事の仕事」 久保寺健彦/「グッドバイからはじめよう」坂木司

    旅行会社の「あぽやん」、労働基準監督官、校閲者、ハローワークの嘱託職員、父親急死後クリーニング店を継いだ息子。様々な職場で働く人の話。
    どんな仕事もたいへんなのだから、どうせ働くなら楽しく働くのが吉。

  • 別册文藝春秋2007年3月号新野剛志笑って,笑って、2012年1月双葉社沢村凜ディーセント・ワーク・ガーディアンから部下の迷い、KADOKAWA2014年3月宮木あや子校閲ガールから校閲ガール!、小説すばる2010年3月号久保寺健彦仕事の仕事、東京創元社2005年5月坂木司切れない糸にからグッドバイからはじめよう、の5つの短編を2022年1月角川文庫刊。沢村さんの話が楽しく面白い。堺さんの解説がトボケていて楽しい。少しマトハズレかも。

  • このお仕事アンソロジー小説で書かれているのは、旅行会社の空港所勤務、労働基準監督官、出版社校閲部、ハローワーク職員、クリーニングの5つの職業に携わる人のお話。
    普段あまり深く知ることの無い職業のことが知れて興味深かったし、それぞれの仕事で働いている人の考えや思い、葛藤などを知れたのも面白かった。
    どの話も元の小説があるのでそちらもそれぞれ読んでみたいと思いました(っ ॑꒳ ॑c)

  • も少し明日仕事を頑張ってみよう、と思える短編集。楽しく読めた。

  • 読んだことあるものもないものもあった。

    どんな仕事も、先を行く先輩と
    後を追う後輩がいて、
    仕事を続けるかどうかの一つのきっかけに、
    尊敬できる先輩の存在があると思う。

    私もそんな先輩になれていたらいいんだど。

  • 《校閲ガール》と《グッドバイからはじめよう》が好きだったかな…

  •  お仕事がテーマのアンソロジー。

     前から気になっていた、あぽやんシリーズの「笑って、笑って」。
     融通が効かない遠藤と、あぽやんと呼ばれる名物職員の今泉。ヘラヘラしてる様だけど、いざって時に本領を発揮する今泉の機転の良さに脱帽でした。
     キャリア志向で左遷させられたと思っている遠藤が、この先どう成長するか楽しみです。

     宮木さんと坂木さんは既読でしたが、何度読んでも読了感爽快でした。

  • ・笑って、笑って(新野剛志)
    パスポート破いた言い訳、そんなん通じることある!?(笑)おばけの男もお疲れ様だよ…いや犯罪者なんですけど…
    クリシマたちそもそもマリを連れて行こうとしたのロクな目的じゃないし、今泉の説明もどうせ風俗とかそっち絡みだろうなと思うとブラジルでひどい目にあってほしすぎる。

    ・部下の迷い(沢村凜)
    労基が舞台の小説って初めて読んだ!
    幸いながら労働基準監督署とは縁のない人生を送ってきたんだけど、労基って結構な権限を持ってるんだな…っていうか労働基準監督署は労働基準法守ってるんだろうか…(余計なお世話)
    新人の加茂くんが法律畑出身じゃない監査官ってこともあって、知識がない私でも「なんで労働基準法が必要なのか」がわかりやすくて助かった〜。しかし加茂くん…チョロいな…チョロすぎて心配になっちゃったけどまあ三村がいい感じに育ててくれることを期待しよう…

    ・校閲ガール!?(宮木あや子)
    うーん、作中に出てくるエロミス読みたいような読みたくないような…死体の乳をまさぐる描写は主人公じゃなくても何やねんと思うやろ…
    二時間の空白から愛人の存在を導き出す推理は面白かった。サクサク読めて読みやすかったし校閲ガールシリーズ読んでみようかな。

    ・仕事の仕事(久保寺健彦)
    な、なんともコメントに困る話だ……もしかして続きがあるのか?はたしてこの波多野というオッサンは本当に働く気があるのか?
    ハローワークの職員の鉄則、いちばん大事なのはリスクを回避すること(確約するな、言質をとられるな、立場を踏み超えるな)って別にハローワークや公務員に限った鉄則でもないよなあ。主人公、どんな派遣会社で働いてたんだ…?

    ・グッドバイからはじめよう(坂木司)
    親の離婚に振り回される子ども、きつい〜〜〜!!
    父親にわがままが言えないから母親の匂いがしみついた手袋を抱いて寝たかったくだり泣いてしまうかと思った。
    離婚は避けられないみたいだけど父子が前向きだったのが救い…
    母親はさー息子のことはかわいがってたんじゃないかってのが主人公たちの推測だけどさー、じゃあ不倫なんかすんなよ!!としか思えないですね…

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