甘夏とオリオン (角川文庫)

  • KADOKAWA (2022年2月22日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (400ページ) / ISBN・EAN: 9784041120545

作品紹介・あらすじ

人はいつだって、誰かを待っているんやね。
大阪の下町、玉出の銭湯に居候する駆け出しの落語家・甘夏。彼女の師匠はある日、一切の連絡を絶って失踪した。師匠不在の中、一門を守り、師匠を待つことを決めた甘夏と二人の兄弟子。一門のゴシップを楽しむ野次馬、女性落語家への偏見――。苦境を打開するため、甘夏は自身が住んでいる銭湯で、深夜に「師匠、死んじゃったかもしれない寄席」を行うことを思いつく。寄席にはそれぞれに事情を抱える人々が集まってきて――。

みんなの感想まとめ

人が誰かを待つことの深さと、伝統芸能の世界に飛び込む勇気を描いた物語は、女性落語家・甘夏の成長を通じて、落語の奥深さと人間関係の複雑さを伝えます。甘夏は失踪した師匠を待ちながら、一門を守るために奮闘し...

感想・レビュー・書評

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  • 友に選書してもらった本。

    噺家の舞台裏、女性の甘夏が男性の多い伝統芸能の世界に飛び込むことの難しさ、今まで触れて来なかった落語の世界のかけらを知ることが出来た。
    何より噺ひとつひとつがとても奥深く、面白くて!

    「知らんことは恥やと思う心を持て。世界は、そこから広がるんや。」

    失踪してしまった師匠が甘夏にかけた言葉。
    ちょうど似たような事を考えてモヤモヤしていたタイミングだったので心にストンと落ちてきた。
    落語を観に行ってみたい。またわたしの中で今まで知らなかった世界が広がるかもしれない!

  • 生で落語を聴いたのは両手両足の指の数よりも少ないかもしれへん。でもいま、この本を読んで後悔した。もっと落語を知っておくべきやったと。いやもっと知りたい。
    「代書」も衝撃的だった。朝鮮人が登場する落語。ほとんどの落語家はその部分を割愛するらしいけど、これに登場する師匠はきちんと全部やる。
    曰く「落語は人を笑う噺やけど、その人の存在を否定するのではなく肯定するのが落語や」やと。なんかしびれた!

  • 師匠!お金か女か人生か、何か知らないけど、何でもいいけど、何でもいいから、今からでもいいから、帰っておいでよ!アンタらしくないよ…。怒らないからさ。(いや、ちょっと怒るか…)何でもいいから!待ってるからさ!

  • 夜行バスでラジオが聴ける車両に乗った事がある。落語を聴いた。どなただったかは記憶にないがとにかく面白かった。夜中声が出ないよう必死だったのを覚えている。
    答えは落語のなかにある。どこでもそうなのかもしれない。現場百回、みたいな。

  • 落語好きなので楽しめたし、新たな見方も出来て面白かったので、ほぼ一気読み。ただ凄い魅力的な師匠の行方が気になりながら、突然のエピローグが個人的には残念だった。水俣病の話はちょっと無理に詰め込んだ感がある。

  • 落語家の師匠が突然失踪する話。落語を生で聴いてみたい、まだ出来ていないまま。いくつも心に残る言葉があった。

    一人でできる、思いっきりアホがやれる。それが噺家。
    描写が迫る、感動的な場面、『宿替え』。

    この世界も、捨てたもんやない。ワットアワンダフルワールド。byルイ・アームストロング。

    オリオン座を知らない甘夏。人間にとって、無知は罪やで、の言葉。

    本来は見えへんもんを、見えるようにする。それが文化とか芸能である。

    見えへんもんを見えるようにする。それが、落語家の仕事やで。

    人を笑う噺が落語。だがそれは否定ではなく、『存在』の肯定。
    『代書』、朝鮮人が出てくる噺。

    みんな、何かを待っている、というミヤコさん。泣きそうや。深夜の銭湯での落語会。
    待つって簡単じゃないし、受け身じゃない。勇気がないと、人は待てない。

    見えないものを見えるようにする、そんな落語家が増えていく、のかな。

  • 先生おすすめ本('23.4 ビブリオバトル教員大会)

  • 人はいつだって、誰かを待っているんやね。
    大阪の下町、玉出の銭湯に居候する駆け出しの落語家・甘夏。彼女の師匠はある日、一切の連絡を絶って失踪した。師匠不在の中、一門を守り、師匠を待つことを決めた甘夏と二人の兄弟子。一門のゴシップを楽しむ野次馬、女性落語家への偏見――。苦境を打開するため、甘夏は自身が住んでいる銭湯で、深夜に「師匠、死んじゃったかもしれない寄席」を行うことを思いつく。寄席にはそれぞれに事情を抱える人々が集まってきて――。

  • 落語小説よみつくし中。佐藤多佳子さん「しゃべれどもしゃべれども」、北村薫さん「円紫さん」シリーズ、大倉崇裕さん「季刊落語」シリーズ(いずれもおもしろい!)に続いて、駆け出しの女性落語家が主人公の本書を手に取る。
    これまで読んだ落語小説が東京の話だったのに対し、こちらは関西弁がとびかう上方落語。桂夏之助師匠と弟子の小夏・若夏・甘夏とのエピソードがどれも味があっていい。励む甘夏を応援したくなる。
    米朝の孫弟子にあたる女性落語家、桂二葉さんに取材したとのこと。女性落語家の噺にも上方落語の寄席にも興味がわいた。

  • (ネタバレあり)

    落語家の師匠・桂夏之助がある日、いなくなった。

    心置きなくバカを演じられる面白さに魅了されて、弟子入りした甘夏を軸に、同じ一門の小夏、若夏の3人の成長物語を描く。

    師匠はラストまで戻らぬままのストーリー展開だったり、若夏の家族が水俣出身であることの葛藤が加わったりだが、落語の修行世界を明るく描いているので、読みやすかった。

    落語好きにもオススメの1冊。

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著者プロフィール

1958年大阪府生まれ。同志社大学法学部卒業。2012年に「いつの日か来た道」で第19回松本清張賞最終候補となり、改題した『勇者たちへの伝言』で2013年にデビュー。同作は2016年に「第4回大阪ほんま本大賞」を受賞した。他の著書に『空の走者たち』(2014年)、『風よ僕らに海の歌を』(2017年)がある。

「2022年 『甘夏とオリオン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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