煉獄の使徒 上 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (800ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041120590

作品紹介・あらすじ

〈真言の法〉のカリスマ教祖と侍従長。組織に罪を背負わされ失脚した警部補。暗躍する権力者――。欲望と狂気に憑かれた男たちの思惑が業火の中で絡み合う。著者畢竟の大作にして圧巻の群像サスペンス。

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  • “カリスマ教祖”十文字源皇率いる〈真マントラ言の法〉。弁護士の幸田敏一は十文字と共謀し、教団ナンバー2の侍従長として勢力拡大を推し進める。組織に切り捨てられ左遷された公安刑事の児玉弘樹は、金の匂いを嗅ぎつけ、この新興宗教に接近する。教団に不利な行動をとる弁護士の殺害計画が持ち上がったとき、男たちの欲望は業火の火種となり、音を立てて燃えはじめた――。


    出てくる登場人物がみんなすごいキャラをしていて面白い。主人公は元アカの弁護士で、新興宗教のナンバー2の幸田。彼はナンバー2の立場ゆえに金儲けに執着することになる。その金儲けをなくさないために、教祖の十文字を動かしてきたが、教団の発展とともにその立場が危うくなる。金儲けと立場を守るために、熱心な信者を使ったり、教団が崩壊すれば運命を共にしてしまう人たち、さらには公安の警察官を取り込み暗躍していく。

    新興宗教の教祖である十文字は自分が祭り上げられるにつれに、神聖だと信じ込み、ほんとにそうだと自覚してしまう人。さらには、薬物によって思考もおかしくなり、聖人であると勘違いしていく。それによって、教団もまた暴力的な組織へと遂げていってしまう。

    幸田と教祖によって殺人を犯すことになってしまった太田慎平。若い人特有の自分の居場所のなさを宗教に求めてしまい、はまってしまった信者。自身が犯した罪故に、その深淵に落ちていってしまう。ただ、一定の良心があるのが救いかもしれない。

    公安の警察官である児島は自身をはめたキャリアへの復讐のため、教団を使うことを思いつく。最初は教団への反対運動をしていた水書弁護士一家殺害事件の目撃者になったことであったが、それを利用して幸田から金を巻き上げることに。そのお金とキャリアへの復讐による甘い蜜に味をしめた児島も教団とは切っても切れない関係に落ちていく。

    新興宗教による信者の囲い込みと薬物による洗脳をはじめとして、薬物の流通に公安の警察官を使ったり、警察のキャリアの人たちの人事に政治家が出てきたり、など、今の世界で聞いたことがあるような話題ばかりで面白かった。

    下巻でこの人たちの運命がどうなるか、がとても楽しみ。自身の欲望に従った結果、どうなっていくのだろうか。

  • 長すぎるし、中弛みしてしまい400ページ程で挫折。
    面白いし宗教が絡んでるからみんなイカレてて興味深いけど、続きを読みたいと段々思えなくなってきた。淡々と進む感じ。

  • オウム真理教の一連の事件を下敷きにしたノワール小説。リアルタイムでオウムの事件を見ていたから、どうしても“事実は小説より奇なり”だよなぁと思いながら読み進めました。ただ、カルト宗教内部と、警察内部がある種の相似形を描きはじめ、カルトの資金を元に警察でのしあがろうとする児玉と、カルトにいて“尊師”をうまく担いで大金を得ようとする幸田の一卵性双生児的関係が浮き彫りになるところから面白くなってきた。下巻に続く。

  • オウム真理教事件を題材にしたノワール長編。実際の事件とリンクしていてページをめくる手が止まらない。下巻に続く。

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著者プロフィール

1965年北海道生まれ。横浜市立大学卒業。出版社勤務を経てフリーライターになる。96年『不夜城』で小説家としてデビュー。翌年に同作品で第18回吉川英治文学新人賞、98年に『鎮魂歌(レクイエム)不夜城2』で第51回日本推理作家協会賞、99年に『漂流街』で第1回大藪春彦賞を受賞。2020年、『少年と犬』で第163回直木賞受賞した。著者多数。

「2022年 『煉獄の使徒 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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