煉獄の使徒 下 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 81
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (784ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041120606

作品紹介・あらすじ

カリスマ教祖がサリン撒布計画を実行に移す――。一方、彼らと手を組んだ警部補は権力者たちの暗闘に搦めとられていく。男たちが辿り着くのは天国か地獄か、それとも……。著者最大巨編、驚天動地の完結。

感想・レビュー・書評

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  • 人はここまで堕ちていく――未曾有の巨編が迎える衝撃のラスト。

    毒ガス・サリン撒布計画を実行に移す――。教祖・十文字の反社会的なエゴは肥大化し、やがて侍従長である幸田のコントロールが利かなくなってゆく。若き幹部・太田慎平は信仰のために自らが犯した罪に苛まれ、苦悩を深める。一方、金蔓と見定めて彼らと手を組んだ警部の児玉は、権力者たちの暗闘に搦めとられていく。負の感情に囚われ、死臭を放ち始めた男たち。向かう先は天国か地獄か。未曾有の巨編が迎える衝撃の結末。


    一気に読んでしまった。世代的にオウムという悲惨で凄惨な事件があったというが、それをモチーフにしているとは言え、ここまで愚かな事を行なっていたとは。
    とりあえず。この小説では、幸田というお金に走ったものの最後は全てを諦めてしまう元共産主義者の弁護士と高卒で勢いのまま宗教にのめり込んでしまいそのまま尖兵とされてしまう感受性豊かな太田。自らを貶めた官僚への復讐のために教団を利用する警察官の児嶋。誰1人として救われる者がいないっていうのが、この小説が問いかけてくるものだろう。
    ただ、最後に十文字が言い捨てた、お前らなら止められただろ。それをしなかったのはお前等の選択だ、みたいなところは新興宗教だけの問題ではなく、広く社会的な事を言っていて身に染みた。

    オウムの事件として起こった数々の出来事をここまで繋ぎ合わせる作者の力はすごかったし、教団が守られていた背景には警察と政治家のパワーバランスがあったというのは納得できる推論だとも思った。

  • あのオウム事件に万が一このような背景があったとしたら、とても恐ろしい。

    恐ろしいのはヒトの業と正義の揺らぎ

    いやいや正義なんてこの世に存在するのか。

    さらに正義があったとしても、その実現に道を誤ったら?

    深く、悲しく、怖い小説だった。

  • かなり面白かったです
    思いっきり、あの一連の事件が題材なんですけど、
    関連があると思われる事件も含めて、各事件を有機的に結びつけて物語を構成する手腕に脱帽です
    すばらしい再構成力です
    ただ、長過ぎましたね
    ストーリーはそのままで、文章を引き締めて半分ほどの分量にすれば、もっとスピード感と緊迫感を醸し出すことができたのではないかと
    でも、その欠点を勘案しても素晴らしい作品であることに間違いないと思います
    ーーーーー
    “カリスマ教祖"十文字源皇率いる、〈真言(マントラ)の法〉。弁護士・幸田は侍従長の高位にあり、外界との交渉を担っている。組織に罪を背負わされ失脚した児玉警部補は、この新興教団に目をつけた。ここは金のなる木だ、と。両者の間に奇怪な盟約が結ばれる。教祖が敵対する弁護士の殺害を命じたとき、黙示録の扉は静かに開かれた――。欲望と狂気に憑かれた男たちを描き切る、群像サスペンス。
    「ハルマゲドンがついに勃発するんだ」。十文字源皇は吼える。青年幹部・太田慎平に非合法活動を委ね、銃の製造やサリン生成にも突き進んでゆく〈真言(マントラ)の法〉。一方、幸田侍従長は四面楚歌に陥り、児玉警部は権力者たちの暗闘に翻弄されはじめた。そして、サリン撒布計画が発動する――。騙し合い。裏切り。空虚な死の連鎖。男たちが見た甘美な夢の結末は。呪詛と慟哭の完結篇。

  • 事実は小説より奇なり…かな、と思いながら読み進めました。平成の暗黒史である、オウム事件。ぼくらが“体験した”その恐ろしさ、マスコミの扇動、そして、彼らを“人間”として語ることがタブーだった時代の空気。水面に浮かぶ、そんな表層的な事実の根っこにストーリーを加え、関係する人々の心情を抉り取ろうとした快作だと思う。ノアール小説の巨匠だからこそ、そしてそう言われるからこそ、あの事件の加害者たちの心情をつかもうとするのは、使命にも似たものだったのかもしれない。当事者たちは死刑になり、僕らはあの事件から何も学べなかった。だからこそ、こんな“フィクション”は大きな意味を持っている。

  • オウム真理教事件を基にした下巻。主人公3人はいずれも壮絶に破滅への道をひた走る。

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著者プロフィール

1965年北海道生まれ。横浜市立大学卒業。出版社勤務を経てフリーライターになる。96年『不夜城』で小説家としてデビュー。翌年に同作品で第18回吉川英治文学新人賞、98年に『鎮魂歌(レクイエム)不夜城2』で第51回日本推理作家協会賞、99年に『漂流街』で第1回大藪春彦賞を受賞。2020年、『少年と犬』で第163回直木賞受賞した。著者多数。

「2022年 『煉獄の使徒 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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