青瓜不動 三島屋変調百物語九之続

  • KADOKAWA (2023年7月28日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (464ページ) / ISBN・EAN: 9784041121603

作品紹介・あらすじ

行く当てのない女達のため土から生まれた不動明王。悲劇に見舞われた少女の執念が生んだ家族を守る人形。描きたいものを自在に描ける不思議な筆。そして、人ならざる者たちの里で育った者が語る物語。
恐ろしくも暖かい百物語に心を動かされ、富次郎は決意を固める──。

みんなの感想まとめ

様々な物語が織り成すこの作品は、聞き手となった富次郎が語り手たちの不思議で心温まる話を聴く中で、成長していく姿を描いています。今回は特に、女性の権利や人々の苦悩をテーマにした物語が多く、登場人物たちの...

感想・レビュー・書評

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  • 〈三島屋変調百物語〉シリーズ第九作。
    聞き手が富次郎に変わってから四作目となるのだが、すっかり聞き手の役目も板について来た感じ。
    ただ前の聞き手・おちかが出産間近とあって、変わり百物語はしばしのお休み…のはずだったのだが、やはり『黒白の間』はそれを許してくれないのか、次々と語り手が現れる。

    しかし今回は不気味だったり薄気味悪かったり得体の知れない気味の悪さや後味の悪さという話ではない、少し救いのある話が多くてホッとした。

    表題作の「青瓜不動」は『御仏に仕え、仏の道を歩むということ』の意味を教えてくれた。厳しい修行を積むことや一心に念仏を唱えることだけがそれではない、『俗世で与えられた役割を果たすこと』が『仏道に帰依すること』でもあるということを分かりやすく教えてくれたように思う。

    二話目の「だんだん人形」では前半の理不尽さと後半の寓話めいた話との対比が面白く、さらに富次郎なりの解釈で話を掘り下げてくれた。

    ところが第三話は少し毛色が変わる。「自在の筆」という、それを持つと書かずにはいられない、それも持つものに『才を与える』という不思議な筆の話。しかしその裏には…という恐怖付き。
    この話を聞いた富次郎はある決心をする。

    そしてその決心の上で第四話「針雨の里」を聴く。
    これまた不思議だが切ない話。それを聴いた富次郎は堪らない想いに駆られる。

    私は富次郎という男を少し勘違いしていたようだ。
    三島屋という人気店の次男坊、いつかは暖簾分けしてもらうなりどこかへ養子に出るなりしなければならないのだが、それまでの猶予期間をお気楽に楽しもうという姿勢なのかと思っていた。
    おちかから変わり百物語の聞き手を受け継いだものの、飄々としたその性質は変わらぬものと思っていた。
    だが彼にはおちかとはまた違う、苦しいものを心の底に抱えていた。
    そのことが今後の物語でどう発展し、彼はこの先どんな道を進むのか、楽しみに続編を待ちたい。

  • シリーズもとうとう第九巻目。
    なにはともあれ、おちかが無事に出産できて一安心。
    母子共に健康。それが一番。
    このシリーズで度々不幸に見舞われた親子の話が出てきたのでおちかのことが心配だったけれど、何事もなくて本当に良かった。
    それにしても、おちかが産気づいた時の三島屋の皆さんの慌てぶりにほっこり。皆さんほんといい人。伊兵衛さんが「お民、湯をわかせ。湯だ湯だ湯だ!」と興奮して叫ぶのを「うちでわかしたってしょうがないでしょう」(おちかは嫁ぎ先で出産するから)と冷静にツッコんでいる場面には笑った。
    おちかの長女・小梅ちゃんが大きくなって、いつか黒白の間で聞き手になる日が来るだろうか。それも今から楽しみ。

    小旦那こと富次郎の胸のうちに芽生えた決心に驚いた。いつも飄々としているお気楽な次男坊だとばかり思っていたのに、こんな悩みがあったなんて。

    今回は四つのお話。
    「語って思い出しては泣くくらいなら、食って寝て元気になって働く方がいい」
    「語りながら笑って、その話の恐ろしかったこと、悲しかったこと、辛かったことの毒抜きをしてるのかな」
    「この世のどんなものよりも、尊いのは人の念だ。人が心に思うことだ。しかし、この世のどんなものよりもおっかねえのも、また人の念じゃぞ」

    理不尽な境遇に立たされても、悲運な目に合わされても、こんな前向きな言葉をもらえる。だからこのシリーズをずっと読み続けたくなる。
    悩める富次郎が晴れ晴れとした気持ちで黒白の間に居られることを願って次回を待とう。

  • 今回は四つの話。

    『青瓜不動』 これを読んでたら、今放送してる朝ドラが頭に浮かんだ。丁度、女性の権利についての事をやっているところだったので。読み進めていくと、田舎で閉鎖的な村ほど女性には、何の権利はないんだという事を思い知らされた。主人公の奈津が虐げられても懸命に生きている姿は、読んでて勇気づけられた。前の聞き手のおちかが、無事女の子を出産。本当に良かった。これも今の聞き手の富次郎が頑張ったからかな。

    『だんだん人形』 水戸黄門に登場する典型的な悪代官が村人たちを苦しめる。悪代官の被害者、おびんが作った土人形。おびんが土人形に込めた想いがあまりにも悲しい。悪代官の悪行を役人に知らせる為に、奔走した一文(本当は文一)におびんはこの土人形を渡す。この土人形が4回一文の子孫たちを守る。4回守るとおびんの願いも叶う。おびんの願いが叶ったとき、切なかった。語り手の門三郎と富次郎のやり取りが微笑ましくて、暗い気持ちを癒してくれた。

    『自在の筆』 この話はいつもと違う。黒白の間で語られなくて、百物語には数えられない。筆に魅せられた人の最期が凄まじかった。物に悪きものが取り憑き、人を狂わすのは怖い。この話を聞いて富次郎は絵を描くのをやめようとする。富次郎が心配。

    『針雨の里』 捨て子、迷子、孤児の話だったので暗い話なのかな?と思いながら読んでたけど、とっても優しくて切ない話だった。狭間村の秘密が分かった時、なるほどと納得するところもあったけど、悲しいと思う気持ちの方が多かった。狭間村にいた子たちと村のその後が気になる。この話で富次郎の迷いも消えて良かった。また、一段と良い聞き手になってほしい。

    全体的に子供たちが一生懸命生きている姿が書かれてると思います。私も頑張ろうと励まされました。

  • 面白かった。三島屋9作目。
    表題の青瓜不動が、やはり一番印象に残った。
    女性の守護神青瓜の顔を持つ不動明王、
    バトルゴーレムだんだん人形、
    欲を喰らう魔物、自在の筆、
    紙人形の里
    ホラー度は低いし、その物語の意味するところを変に解釈を加えるわけでなく(加えないわけでもなく)、読み手にぶんなげるところの塩梅がとてもええさじ加減。さすが宮部語り。
    おちか、無事女児出産
    富次郎の絵描きへの執着
    田楽と芋菓子が食べたくなる。
    最近の個人的ブームの百珍レシピもでてきて嬉しかった。

  • 三島屋九之続の一冊。

    今作はいつも以上に楽しみな巻、そして人の愚かさ、良くも悪くも人が心に抱える思いの強さをしみじみ感じた巻だった。

    兄、伊一郎が帰ってきて、ちょいと自分の立ち位置を掴めない小旦那こと富次郎。

    そんな彼の元に必然的かのように訪れるお客さま。

    表題作は青瓜畑での富次郎の闘いと生命の闘いの重ね合わせ、その描き方が秀逸。

    命の尊さ、人が人を想う心の温かさ、恩の温かさ、愛が全面で感じられるのも良かった。

    語り手と一緒に泣いて笑う富次郎の姿がまた良い。

    そういう彼は語り手に寄り添い心和らげる立派な聞き手だと思う。

  • 行念坊の、巨体のわりに気が小さいところとか。
    いねの、明るさとたくましさとか。
    文三郎の、親しみやすさとか。
    伊一郎と富次郎の、田楽づくしにまつわるコミカルなやり取りとか。

    聞き手が富次郎になって、陰鬱になりすぎず、テンポもよいのがいい。

    人の業や欲深さといった悪しき面が現れる一方、人の善性も見えて、ぐっとくるものがあった。

  • 宮部みゆきの新作は、読むまでいつもワクワク。どの作品も必ず楽しませてくれるから。
    三島屋の百物語、おいちのときは、面妖で悲壮な話で、聞くも地獄な話が多かった。
    富次郎に代替わり後は、聞き手がまだ頼りないのか、救われる怪談が増えた気がする。マンネリ化せず、毎回違う怖さがある。
    本当に百になるまでシリーズが続きそう。

  • 面白かったです。
    青瓜不動はおちかの出産も絡んでいるお話でした。おちか様子も周囲の目線で語られているので、おちか自身はやっぱり百物語から卒業しちゃったのだなぁと。
    一番印象深いのは第4話の針雨の里。優しい話でした。このシリーズは人の業から発展した災いや不条理なことを語りにくる方が多い中で優しい話でした。

  • 三島屋変調百物語 第九弾。

    私の“抱えている”数あるシリーズ物の中でも、とりわけ個人的にお気に入りの当シリーズ。
    今回は四話構成(+序)となっております。

    “変わり百物語”の二代目聞き手である、富次郎の兄・伊一郎が三島屋に戻り、早速商いの手腕を発揮して頼もしさを見せています。
    富次郎も店先でファッションショーのモデル(人台)をやらされるなど、伊一郎のお手伝いをしつつ、自身の今後の身の振り方を考えてしまう・・そんな悩める“小旦那”のもとにやってくる“語り手”達の物語とは・・。

    安定のクオリティで、今回も不思議な物語の世界に浸らせて頂きました。
    表題作の第一話「青瓜不動」では、行く当てのない女たちの駆け込み寺のような場所となった洞泉庵と彼女達を守護する不動明王“うりんぼ様”のお話で、富次郎も物語とリンクした夢の中で、畑の大量の“うりんぼ”達を大百足から助けることによって、おちかの安産祈願に繋がる展開となっております。
    その甲斐あってか、おちかも無事に“小梅”(某一発屋芸人にあらずw)という可愛い女の赤ちゃんを出産して、いやぁよかったですね。おめでとうございます!
    第二話「だんだん人形」は鬼畜のような悪代官によって悲惨な目にあった少女・おびんの作った土人形の不思議な物語でこちらも読み応えがありました。
    この話の語り手・文三郎は富次郎と馬が合うようで、この後も富次郎の友人として再登場してほしいですね。
    第三話「自在の筆」は話としては短いですが、内容が凄惨なので、こちらもインパクトありました。
    これによって富次郎が絵師を断念するという決断をし、そんな心情で第四話「針雨の里」に進む流れです。
    個人的にはこの「針雨の里」が物語として好みでした。孤児を引き取って貴重な鳥の羽毛と卵で生計を立てる、村全体が家族のような狭間村に引き取られた少年の成長と、その平和な暮らしが突如終わりを迎え、村人の正体が判明した時に、何とも言えない切なさと温かさが胸にみちてくる感じがしました。
    ただ、この物語を聞いていた富次郎に“ある思い”がこみあげてきたところで、第四話自体が終わってしまうのが何だか唐突な印象を受けてしまいました。
    あれからナナシ達がどうなったのか・・・語られていた“物語”が途中で終わった感があるのがちょっと残念でしたが、それだけ話にのめり込んでいたということですね。
    次の巻では富次郎も決意も新たに、聞き手を務めることができそうですかね・・小梅ちゃんの成長と共に続きを楽しみにしております~。

  • 公明新聞2021年8月2日〜2022年7月30日連載のものに加筆修正し、2023年7月角川書店刊。シリーズ9作目。青瓜不動 、だんだん人形、自在の筆、針雨の里、の4つの連作ホラー。いずれも怖いところのある話ばかりだが、救いや、幻想的な部分もあり、面白い。だんだん人形には、話が語り伝えられたそのものの理由に救いが潜んでいるのが興味深い。

  • 三島屋変調百物語の9巻目。7巻読んでから、8、9読むのにだいぶ間が空いてしまってのですが、やはり読み始めると、その世界や登場人物たちに引き込まれてしまいます。

    語り手の設定から、軽い感じで始まりつつ、かなり重い内容の話になっていく「だんだん人形」。救いの話はあるものの、理不尽さがしんどいです。最後の富次郎の書き捨ての絵の描写がすてきなのが、なおしんみりします。

    一つ話を挟んで「針雨の里」も、方言を交えることで、中和しつつ物悲しい話でもあり、ここで富次郎自体が揺さぶられることに。「だんだん人形」「自在の筆」と話が進み、次の話で富次郎がどうするのか、気になるところです。

    重い過去を背負ったおちかが、百物語を通して変わっていったのに対して、富次郎はどうなっていくかというのがあったのですが、長男伊一郎の帰還もあって、ここにきてグッと内面の話に迫ってきていて、改めて多彩な百物語だけでなく、聞き手たの物語もしっかりしていると感じました。

  • 富次郎さんの筆に対する思いが切なくて、涙ぐんでしまいました。
    このシリーズに出会えほぼ一気読みしてしまい、夢中になっていたけれど、ゆっくりじっくり時間をかけて読み続けていた方々になんだか申し訳ない…

  • 本当に恐ろしいのは、理屈のないものの怖さ、理不尽、因果応報の律が通用しないものの怖さだとしみじみ思う。
    Eテレをみていて「同じ形態でヒットするものには必ず共通点がある」という言葉を聞いた。大好きなホラー番組「世にも奇妙な物語」と「三島屋百物語」の共通点を探してみた
    。それは、構成にあると思った。
    4編程度、納得できる「解」が感じられる作が2編。
    1編は理不尽に襲い来る恐怖に追い詰められるもの。
    1編は人情に震わされるもの。
    「だんだん人形」で襲い来る恐怖は、当事者にとっては理不尽この上ない。他所からみれば理屈はつく、しかし、どうしても理不尽な話である。こんなに怖い話はない。それでも、どんなに恐ろしくても、それが蟷螂之斧と言われようと、抗う人の情が沁みるものだ。
    三島屋の物語で、特に最近は理不尽な恐怖には「水」が付きまとっているような感想を持ったのだが、外れているだろうか。
    理不尽な恐怖からの脱出と救いのために水が障壁となり隘路を進む話が印象に残るように続いているように感じる。この隘路を産道の比喩と読むのは、ステロタイプの発想に過ぎるだろうか。
    針雨の里では、火によって失われていくものよりも、水によって消えていくものの姿が印象深い。その最期の姿が私の目の前に浮かんで消えなかった。聞き終えた富次郎の涙が愛おしい。
    終末の富次郎の心の声が、座る姿がどんな怪異をも乗り越える生命力に満ちているように思えてならない。
    富次郎の成長物語。
    そして、小梅の成長物語。
    ますます次作が楽しみだ。

  • やはり宮部みゆきさんは文章がうまい。第一話~第四話まで四つの話でできているが、表題ともなった第一話青瓜不動が一番面白くもあり、終わり方も含め、一番不可解でもあります。

    何か宮部さん、第一話の中に隠し事でもあるんでしょうか???

  • 『青瓜不動』
    『だんだん人形』
    『自在の筆』
    『針雨の里』

     不思議なお話しばかりなんだけど、江戸時代の庶民の暮らしを丁寧に描いてるから面白い。『針雨の里』が切なかったな。

     今回の表紙は三好愛さんじゃなかったけど、内容的には合ってたかも?苦しい暮らしぶりの庶民がよく出てきたので。

    次は『猫の刻参り』。 楽しみ♪

  • 三島屋変調百物語の九之続は四篇の物語が収まっている。表題作「青瓜不動」は、生きづらい世で女性たちが支え合いながら生き抜こうとする姿が印象に残る。そして富次郎は思わぬ大冒険に。前作ではしばらく百物語をお休みする予定だったはずだけど、人台(モデル)から大百足との勝負とだいぶ活躍している。お疲れ様、富次郎。そしておちかの赤ん坊(女の子)が無事生まれてくれてよかった。

    続く「だんだん人形」も中編。人の世の理不尽と人形に思いを託したおびんちゃんの芯の強さが伝わる物語で、富次郎による絵の描写に救われる思いがした。

    「自在の筆」は短いながらも一番恐ろしかったかもしれない。己の欲と身の振り方を戒める内容だが、これを聞いた富次郎がずっと続けてきた聞き捨てるための絵を止める決意をする。

    最後の「針雨の里」は語りに登場する狭間の里の違和感が最後悲しい形で明かされる。「針雨」の言葉が覆り、代わりに人ではないものに宿った人の心が切なく感じられた。そしてこの物語により富次郎もまた大切な思いに気づく。

    だいぶ聞き手としての自覚も出てきた富次郎も、百物語の語り手との出会いを通して迷い、戸惑いながら進んでいる。これからもきっと変わっていくし、語り捨て、聞き捨てることの中に救われることも多いはず。これからも楽しみにしたい。

  • 図書館で借りました
    シリーズ物とは知らずに読み始めたけど
    入りやすかったです

  • 全部で4つのお話
    青瓜不動
    おちかがそろそろ出産という時、無事を祈って少し変わった不動明王を担いで来た人あり
    白黒の間に像を置いて、その像の持ち主の人生を語るところから始まります
    昔の女性は自分が悪くなくても、立場が下なのだなと可哀想になる
    さて、産気づいたおちかを救うのは
    白黒の間で別世界に行った富次郎!
    かわいいのと、怖いのが出てくるけど
    ゲームのダンジョンのようw
    ドキドキでした!

    だんだん人形
    弱いものいじめの悪代官
    なす術がないのは可哀想というより、怒りを感じる
    不幸な少女が拵えた、だんだん人形
    皆んなを守ろうとした少年の危機を救う人形
    コレはすごかった!

    自在の筆
    あいつが出てきた!
    人に欲望がある限り、いつでも出てくる

    針雨の里
    年に数えるほど、針のような雨が降る
    穴が開くほど危険だが、普段は気候の良い里
    その秘密はなるほどと納得する
    昔は迷子や捨て子が沢山いだんだなぁと
    びっくりしてしまう

    宮部みゆきさん、流石だなぁと・・
    恐怖しそしてあったかい気持ちになる
    物語

  • 三島屋シリーズの魅力は語り手の物語自体の面白さに加え、富次郎・おちかをはじめとする主要な登場人物の成長がきちんと描かれている点にある。
    表題作の「青瓜不動」はこの2点が見事に融合しており、悲しみを通奏低音としながらも、後味の良い爽やかな読後感を与えてくれた。
    他の作品もレベルが高く、単行本を買った価値は十二分にあった。

  • 毎度毎度のことながら、宮部さんの、この力量たるやどうよ!?
    って思うくらい、力強く、そして泣ける。
    いつも同じこと書いてしまうけど
    「よくこんなお話を思いつくなぁ!」としみじみ思う。やっぱり凄い。
    聞き手としては、おちかとはまた違う富次郎だけど…。いかにも次男坊らしくおっとりな、しかし優しく素直。子供みたいに拗ねたりするけれど、それもまた、なんというか、読み手からすると、ほっこりもする。私的には、今しばらくは(100話もあったらまた聞き手が変わるかも?)富次郎の成長物語の部分もあると思う。もちろん、おちかも、成長したんだものね。これはネタバレして良いと思うけど、珠のような可愛らしい赤子に恵まれます。

    しかしながら…どんな世であれ、天災や事故、危険は伴うとは思うけれど、かの昔の時代の命の軽さには、ほんと辛いものがある。あるシーンでは、もう電車の中で思わず「うそ、そんな!」と声をあげそうになった。しかし、もしかしたら、現代だって、知らないところで似たようなことはあるのかもしれない。悲しいよなぁ。

    私的には『だんだん人形』が一番読み応えあり、強く印象に残りました。いくつものシーンで涙が滲んだ。切ない。

    そして、四話読み終えて思うのは…自然界で起こることって、人はとかく後から理由をつけるけど…やっぱり人智の及ばないところというか…うまく言えないけれど、この世の不思議、そして人の怖さも温かさも、たっぷりどっぷり感じられる作品なのでした。

    印象に残ったところ少し。
    ーーーーー
    人の思いを雑に扱ってはいけない。

    誰の心の内も、問うてみなければわからない。問うて返事をえたところで、全てがわかるわけでもない。いつもいつも問うていては、うるさくて暮らしていかれない。

    少しでも思い出話の種になることを言っておかんと。

    知ったかぶりは罪だが、その味は甘い。

    死ぬのはちいとも怖くない。やっと勇さんに会える。あのとき何もできなかったことを詫びられる。

    この世のどんなものよりも、尊いのは人の念だ。人が心に思うことだ。
    ーーーーー
    百話まで追い続けるぞお〜〜〜!

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著者プロフィール

宮部 みゆき(みやべ・みゆき):一九六〇年東京都生まれ。八七年「我らが隣人の犯罪」でオール讀物推理小説新人賞を受賞しデビュー。『火車』で山本周五郎賞、『理由』で直木三十五賞、『名もなき毒』で吉川英治文学賞、ほか多数の文学賞を受賞。『霊験お初捕物控』『ぼんくら』『三島屋変調百物語』シリーズ、『きたきた捕物帖』シリーズなど著書多数。


「2025年 『東海道綺譚 時代小説傑作選』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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