- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041121627
作品紹介・あらすじ
覆面作家・天城菖蒲から、絶海の孤島に建つ天城館に招待された五人の推理作家。やがて作家たちは次々と奇怪を死を遂げ、そして誰もいなくなったとき、本当の「事件」の幕が開く。特殊設定ミステリの真骨頂!
感想・レビュー・書評
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小説家五人が正体不明の覆面作家 天城菖蒲に招待され辿り着いたある孤島「条島」。島という隔離された舞台といい、離のアトリエの存在と言い、異文化の薄気味悪さと言い、ゴテゴテの「何かが起きそう」な雰囲気がプンプンする。
そして、白井智之らしからぬ作品説明のまともさ。王道のクローズドサークルとしか思えない説明だ。帯にも【絶海の孤島×五人の推理作家×奇怪な連続殺人】とある。
更に言えば、タイトルもクリスティのアレのオマージュ匂わせる如何にも推理小説な命名ときた。
これがどれくらいまともなのか著者を知らない方の為にわかりやすく説明すると、
「人間の顔は食べずらい」
「お前の彼女は二階で茹で死に」
「少女を殺す100の方法」
「死体の汁を啜れ」
これが今までのパワーワードが過ぎる著者の作品タイトルである。暗黒書物愛好仲間(一方的)の奏悟さんやヒボさんがヨダレを垂らしてくれそうなネーミングセンスだ。
比べて本書、「そして誰も死ななかった」
......ほら、まともであろう。なんなら直接解釈すると誰も死なない事に安心感すら感じてしまうぞ。
だが、ページを開けば出るわ出るわの白井節。
個人的には少数民族 奔拇族の文化と、主人公 大亦牛汁のデビュー作(?)「奔拇島の惨劇」が非常に興味深かった。悪魔の仮面「ザビマスク」、邪霊の贄となる「ザビ人形」。理解し難い独特な異文化に自身の鼻息が荒くなるのを感じた。
そして、牛汁の奔拇島の惨劇の内容は、後に現実に起きた奔拇族の集団失踪と酷似していた。彼は未来を予知していたのだろうか。
....だが読者は知っている。彼にそんな力は無い、ただのスネ夫だと。
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話は孤島の五人の小説家に戻るが、勿論 大亦牛汁もその中の一人だ。
「何かが起きそう」なピッタリの雰囲気を裏切ること無く、一夜にしてしっかり「何かは起こる」
お待ちかねのジェイソンタイムである。
襲われた牛汁が最後に見た禍々しい犯人の容貌。あの無数の目を持った姿は....ザビマスクだった。そして被害者の傍で同じ要領で「殺されている」のはザビ人形である。
こうして、一夜にして小説家五人は皆、命を落とした。
そして誰もいなくなった時に本当の「事件」が始まるーーーーー。
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結論から言うととても面白かった。
慣れとは恐ろしい物で、ぶっ飛んだプロットを当たり前の様に受け入れている自分が他人事程度に心配にはなったが、展開のテンポの良さが心地好いので細かい事は脇道に置いておける有り難仕様。
「誰もいなくなった」はずの犯人探しにて様々な推理が展開されるが、どの推理もあからさまに矛盾を織り交ぜてくるので読者として大変楽しむことが出来た。
如何せん、ベースが狂っているので真っ当な推理はするだけ脳内が暴発する原因となるのでオススメはしないが、この決して居心地の良くない世界観に身を委ねても後悔はしないはず。一種の疑似体験として現実との乖離を楽しんで貰いたい。
今回は五人と繋がる晴夏の存在や奔拇族のその後、「水をくれ」の真意等、回収しきれていない事柄が多く感じるので燃焼効率は悪かったが世界観は十分に堪能できた。
私に学は無いが、著者の作品は文学というよりアート的な感覚が強い。素人発言丸出しだが、グロテスクを美として表現するのに「絵」はよく使われているように感じている。
著者の作品を読んでいると稀に、場面場面で切り取られた静止画が脳内で浮かぶ事がある。ドス黒い赤色中心の決して気持ちの良い絵ではないはずなのだが、そこにどこか美しさを感じてしまうのはやはり私が俗悪マンだからなのだろうか...。
兎に角、人に胸を張ってお勧めする事ができない四天王作家のうちの一人である事は揺るがない事実だろう。(褒めています) -
奇想天外の発想力に顎が外れるっ エログロ&特殊設定&本格ミステリーの傑作 #そして誰も死ななかった
推理小説作家たちが孤島に招待された。到着しても誰もおらず、帰りの燃料もなく、閉じ込められた状態。そして予想通り殺人事件が発生するが、このお話は殺されてしまってからが始まりで…
なんじゃこれっ
孤島ものをよくもまぁこんな設定で、ここまで緻密に組み立てましたね。白井智之さんの作風は知ってましたが、想像以上でした。正直すげぇ。ホント、日本にはいろんなミステリー作家がたくさんいて、多種多様な作品が読めて幸せです。
かなりコメディ&バカっぽくお話は進み、若干舐めてたんですが、中盤から一気に本格ミステリーの展開に。トリックも謎解きもめちゃくちゃ緻密にも関わらず、破天荒な展開もあって、ミステリー好きにはたまらないですね。
多少俗悪っぽい描写はありますが、エンターテイメント性にも富んでおり、面白く読み進められます。
また登場人物も魅力的で、読者のツボが分かってらっしゃる。
変態のおっさん、エロ&切れ者の若い女性、医者、デブでオタク、子分肌。
こんな面々を絡ませたら、面白いに決まってる。最高っすね。
本作はバランスがもう少し良かったらなーという印象。
いろんな要素&二転三転する展開&謎解き部分が流石についていくのが大変で、ミステリーファンでないとなかなか楽しめないかなー。逆にミステリーに目が肥えてる人であれば、めっちゃ楽しめると思います。
方丈貴恵さんの孤島の来訪者にもぶっ飛びましたが、本作にもぶっ飛びました。読み応えのあるミステリーを枯渇している人には、超絶おすすめですっ -
タイトルと背表紙の文章からは予想できないグロさだった。
映像化したらすごそう。 -
孤島、5人の推理作家、連続殺人からはとても予測出来ない超変化豪速球だった。何これ。序盤から雲行きは怪しいが、ちゃんと推理やヒントを散りばめてるのが逆に悔しい。素敵な表紙に騙される、どグロ注意。
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白井智之さんらしい作品でした。
最後の方は興味深く読めた気がします。
このタイプの作品は理解するのに時間がかかってしまうのです。 -
本格ミステリ特有の遊び心、あるいは悪ふざけが爆発した作品だったと思います。
作品タイトルからもわかるとおり、アガサ・クリスティーの名作『そして誰もいなくなった』のパロディーの本格ミステリ。無人島に招待された5人のミステリ作家。作家たちそれぞれが、かなり奇怪かつアクロバティックな殺され方をされる中、事件の真相、そして犯人を推理していくのは…
いわゆる特殊設定ミステリ+多重解決型のミステリです。設定からしてミステリ好きを狙った感がありますが、キャラクターや描写がそれにさらに拍車をかける。
ミステリ無人島に招待されたキャラクターたちはいずれも強烈な個性の持ち主が並び、死体云々以前から、グロい、汚い描写も多い。
それゆえに最初から、ミステリ好きの中でも、さらに「こじらせたミステリ好き以外お断り」の空気を、序盤からプンプンに漂わせてきます。そういう意味では、ある意味親切な作品なのかもしれません。
設定から何から、いちいち気持ち悪いところが多い。しかしそれだけ念入りに人ばらいしてくれることもあって(?)そのグロさと特殊設定を逆手に取ったロジックのたたみかけは読ませました。
その一方で多重解決の中には、この可能性をまともに推理するか、といったいわゆるバカミスっぽいものや、読むのがめんどくさくなるような物理トリックもあったりします。
本格ミステリという大きな川にある様々な亜流。そうした流れも作品に貪欲に組み込まれている印象です。
それゆえ作者独特のミステリ観や偏愛が織り込まれます。そのひねくれっぷりから、こんなヘンなミステリが生まれたのだと思います。
キャラや描写そしてロジックと、好き嫌いは分かれそうな感じはありますが、普通のミステリを食べ飽きて味覚が分からなくなった頃に、こうした作品を読むと新しい扉が開かれるかもしれません。それともこんな扉、二度と開けるか! となるかもしれないけれど… -
さすが、白井さん。めちゃくちゃグロい。
突飛な設定だけど、半分ホラー小説として楽しめた。
著者プロフィール
白井智之の作品






彼の世界観がお好きとは。自分と同じです。クセになりますね。
「人間に向いてない」でも...
彼の世界観がお好きとは。自分と同じです。クセになりますね。
「人間に向いてない」でも白井さん独特の世界が繰り広げられていました。
レビューを楽しみにしていますね(^_−)−☆
およ?「人間に向いてない」も...
およ?「人間に向いてない」も白井智之の作品なのですか??どうやら紛らわしいタイミングで話を振ってしまいましたね、申し訳ないです( ´•ω•` )
何にせよ、「人間に向いてない」これから楽しめる事がとても嬉しいです!こちらこそありがとうございます☆
白井さん作品ではありませんでした(°▽°)
ボケています。
白井さん作品ではありませんでした(°▽°)
ボケています。