遠い唇 北村薫自選 日常の謎作品集 (1) (角川文庫)

  • KADOKAWA (2023年9月22日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784041121733

作品紹介・あらすじ

コーヒーの香りで思い出す学生時代。今は亡き、姉のように慕っていた先輩から届いた葉書には、謎めいたアルファベットの羅列があった。(「遠い唇」)/『吾輩は猫である』『走れメロス』……宇宙人カルロロンたちが、地球の名著と人間の不思議を解く?(「解釈」)/辛い時にすがりつきたくなる、大型犬のような同棲中の彼氏。そんな安心感満点の彼の、いつもと違う行動と、浴室にただよう甘い香り。(「パトラッシュ」)/トークショーの相手、日本通のアメリカ人大学教授の他殺死体を目撃した作家・姫宮あゆみ。教授の手が不自然な形をとっていたことが気になった姫宮は、《名探偵》巫弓彦に電話をかける――(「ビスケット」)など、2019年に刊行した全7篇に、「遠い唇」の主人公・寺脇と、『飲めば都』にも登場する女性編集者・瀬戸口まりえが出会う場面を描いた「振り仰ぐ観音図」、そして二人が再会し、句を介して関係が始まっていく様子を描いた「わらいかわせみに話すなよ」の計2篇を加え、ここに完全版として刊行!

本書は、2019年11月に小社より刊行された文庫に「振り仰ぐ観音図」(新潮文庫『もう一杯、飲む?』2021年6月刊収録)、「わらいかわせみに話すなよ」(「小説 野性時代」2021年9月号収録)を加え、サブタイトルを付したものです。

みんなの感想まとめ

日常の中に潜む謎を巧みに描いた短編集で、さまざまな物語が織りなす魅力に引き込まれます。各作品は、すぐに解ける謎もあれば、じっくり考えさせられるものもあり、読者に思考の楽しさを提供します。特に「遠い唇」...

感想・レビュー・書評

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  • しりとり/パトラッシュ/解釈/続・二銭銅貨/ゴースト/
    ビスケット/遠い唇/振り仰ぐ観音図/
    わらいかわせみに話すなよ
    付記—ものがたりの島

    日常の謎作品集とある。
    なにこれ?と感じてすぐに謎解き出来ることがあれば、数日考えてもわからないことがある。長い時間が経ってから、あぁとわかる瞬間もある。あたりまえの時間の中でふと引っ掛かりを覚えたことをほぐすことが出来るのは幸せなことかもしれない。

  • 北村さんの本を読むたびに、ああもっと、本の知識があったら、より楽しめるだろうなぁと思う。もちろん、知らなくてもおもしろいわけだけど。
    いろんなタイプの話が集まったこの短編集。なかでも、表題作『遠い唇』他、寺脇先生のお話が好きだった。登場人物も、ここにはない他の作品とも関わる人物らしく、それらの作品も読んでみたくなった。

  • 数年ぶりの北村薫さん。やっぱりこの人の書く物語が好きだ。他の短編も購入してみた

  • 収録作のほとんどを楽しめた。
    舞台も主人公もまったく違う短編を、この短い分量で状況説明も含めて成り立たせているのがすごい。
    すべて心地よい余韻の残る終わり方なのもよかった。

    遠い唇
    しりとり
    解釈
    続・二銭銅貨
    ビスケット

  • どことなくノスタルジックな感じでした。
    心温まるような日常の謎から
    本格的なミステリまで色々楽しめました。

  • 暗号や謎解きは、解いている過程が楽しい。その心理を著者はうまくついている。解き終わった後にこみあげてくる様々な心情。特に最初の作品「遠い唇」はその真骨頂といえる。

  • 日常の謎。
    でも、ちょっとレベルが高い日常だな。

  • 2023/11/20 読了

  • 2023年9月23日購入。

  • 『しりとり』『パトラッシュ』『解釈』『続・二銭銅貨』『ゴースト』『ビスケット』『遠い唇』『振り仰ぐ観音図』『わらいかわせみに話すなよ』収録。

    「本書は、2019年11月に小社より刊行された文庫に「振り仰ぐ観音図」(新潮文庫『もう一杯、飲む?』2021年6月刊収録)、「わらいかわせみに話すなよ」(「小説 野性時代」2021年9月号収録)を加え、サブタイトルを付したものです。」(角川公式サイトの内容紹介 https://www.kadokawa.co.jp/product/322109000618/ より引用)ということで全9篇。

  • 著者初の文庫増補版。懐かしい、あの人たちに、また出会える幸せ。


  • あの寺脇くんとまりえ姉さんがこんな形で出会うなんて。
    どうしてこんな優しい世界が描けるのだろう……

    そうは言っても、ふたりが通ってきた道には暗闇もあって、
    そしてその暗闇も誰の人生にもありうる暗さで。
    自分にも起こりうる暗さには身を刺すような苦しさを感じる。

    「月の砂漠をさばさばと」の解説に

    (著者は)”こういうことが、起こりうるのだ、と読み手の肩に手を回して共に唇を噛み締めているようだ。”

    とあったけど、先生の描写はいつもこちら側にいて、「共にここにいる」と感じる。

    「盤上の敵」冒頭で被害者のありふれた日常、人生のとりとめのない記憶を見せておいてから一転、この世から切り離すこと。
    単なる「被害者」という記号にしないことへの優しさ、恐ろしいまでの丹念さ。
    「共にいる」ことへの妄執を感じる。

    その妄執が優しい方へふれたのが「詩歌の待ち伏せ1」で、
    《さきちゃん》を”愛する愛する子です”と紹介し、

    「空飛ぶ馬」の男の子より強い「みよちゃん」が私のその後を書いて!と急かしてくるとおっしゃっる。

    このくだりにはいつも泣いてしまう。

    先生にとって、登場人物は皆「愛する子」なのだろうと思う。だから、不幸の中でもその不幸を徹底的に描く。おざなりにはしない。

    そして、

    そして、冒頭の2人に訪れる結末も、我々に起こりうる、「共にあれる」幸せだ。

    日常を愛すること。
    後輩がくれたとうもろこしを大事に食べること。
    珈琲党の寺脇さんがまりえさんが好きなら紅茶を飲んでみようかと歩み寄ること。
    翡翠が飛ぶ一瞬をつかまえること。

    こういうところが、本当に大好き。
    先生の新刊が読める時代に生まれて、ほんと幸せである。

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著者プロフィール

1949年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。大学時代はミステリ・クラブに所属。母校埼玉県立春日部高校で国語を教えるかたわら、89年、「覆面作家」として『空飛ぶ馬』でデビュー。91年『夜の蝉』で日本推理作家協会賞を受賞。著作に『ニッポン硬貨の謎』(本格ミステリ大賞評論・研究部門受賞)『鷺と雪』(直木三十五賞受賞)などがある。読書家として知られ、評論やエッセイ、アンソロジーなど幅広い分野で活躍を続けている。2016年日本ミステリー文学大賞受賞。

「2021年 『盤上の敵 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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