論理仕掛けの奇談 有栖川有栖解説集 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041121740

作品紹介・あらすじ

クリスティー、クイーンなど、海外の古典的名作から、松本清張、綾辻行人、皆川博子、今村昌弘など日本のミステリまで……。新しい才能への目配りを常に忘れない、本格ミステリのプロフェッショナルが愛をこめて執筆した、国内外の名作に寄せた解説集! 優れたミステリ・ブックガイドとしても最適の1冊。単行本刊行後に新たに執筆した解説3本と、杉江松恋との読書対談も加えた文庫増補版。

感想・レビュー・書評

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  • ちょっと読書休みしてた後には読みたい欲を刺激される本を。既読のは同志と会ったように嬉しくなった。未読のではジル・マゴーン、松尾由美『バルーン・タウン』シリーズ、北山猛邦『「クロック城」殺人事件』小池滋、高井忍、三沢陽一等読みたい。

  • 祝文庫化!

    「論理仕掛けの奇談 有栖川有栖解説集」 有栖川 有栖[文芸書] - KADOKAWA
    https://www.kadokawa.co.jp/product/321907000103/

    junaida.com » 論理仕掛けの奇談・有栖川有栖解説集
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    「論理仕掛けの奇談 有栖川有栖解説集」 有栖川 有栖[角川文庫] - KADOKAWA
    https://www.kadokawa.co.jp/product/322109000640/

  • 単なる「次に読みたい本が見つかるブックガイド」ではありません。

    有栖川有栖さんの文庫本のラストに収録されている解説を集めた一冊。

    ミステリ界のフロントランナー有栖川有栖が、ミステリだけにとどまらない豊富な読書体験と知識をもって、古典の名作から近年の注目作までを敬意と愛をこめて語ります。
    ミステリ初心者は古典や名作の橋渡しになるはず。そして中級者以上なら新たな作品の発見や、一度読んだ作品でもまた違った読書のポイントを見つけたり、作品の素晴らしさを再発見できるでしょう。

    現に自分は今まで名前しか知らなかったQEDシリーズや、建築探偵桜井恭介の事件簿に俄然興味が湧いてきました。シリーズの途中の作品に収録された解説にも関わらず、そのシリーズの魅力をたっぷりと伝えてくれます。

    元々自分がミステリ好きなので、収録されている解説は思っていた以上に既読のものがありましたが、こうして一冊の本にまとめられ順々に読んでいくと違った味わいがあります。
    先にも書いたように古典の名作から最近の注目作まで幅広く解説されているので、ミステリ史をこの一冊でたどっていったようにも感じられるのです。

    江戸川乱歩の「明智小五郎もの」や松本清張『点と線』。クイーン『Xの悲劇』、クリスティー『オリエント急行の殺人』といった古典の名作。綾辻行人をはじめとした新本格ミステリ作家の作品。そして近年を代表するミステリ『屍人荘の殺人』

    オールドスタイルから新たな怪物的ミステリの誕生までがこの一冊に収められている。そこに新本格のトップランナーとして走り続ける有栖川さんがときに熱く、ときに知的に、ときにユーモアを交え、作品を語ってくれるのだからミステリ史から見ても貴重な一冊なのではないかとも思えてしまう。

    ミステリ以外の作品の解説も収録されています。エッセイやSF、ホラーまで幅広いので、新ジャンルの開拓にもなるかもしれません。
    特に「鉄道探偵の冒険」は面白そうだった。小池滋さんという方の『「坊ちゃん」はなぜ市電の技術者になったのか』という本に収録された解説ですが、名作文学に鉄道という視点から考察を加えていった評論集だそう。

    『鉄道と文学に留まらない豊かな学識、犀利な推理と洞察に満ちた一冊である。著者が鉄道や文学にそそぐ愛情は、それらを生んだ人間にも及んでいる。ふくよかなユーモアは、読む者を幸せにしてくれる。これ以上、望むことはない。』

    軽やかで興味深い作品紹介のあとに、こうした文章がさらりと挟まれると、読みたい気持ちが増してしまう。

    最初に書いたように有栖川さんの豊富な知識やミステリだけにとどまらない読書体験が、作品を重層的にとらえ直します。
    そして作品に対し、作者に対し、ミステリというジャンルに対し真摯で真面目で優しい有栖川さんの視点と文章が、自分の中にそっと根を下ろしていく感覚を覚えます。

    自分も本を紹介するときはこんな文章を書きたいと心の底から思いました。こうした文章を書けるのは単に知識や経験だけではなく、もっと深い有栖川さんの人間的な魅力もこの文章の中に息づいているからでしょう。

  • 新旧の広く評価されている作品から通好みの作品まで、さまざまな作家のミステリー本が紹介されている。

    寄稿文をまとめた本だが、それぞれの本についての説明の中に他の作家の書名が挙げられているのもあり、思っていた以上に多くの本が紹介されていて、かなり読み応えのある内容だった。
    このかたもこの本読んだんだなぁと思うものもたくさんあり、ちょっと新鮮な気持ちにもなった。

    読んだことがない本や知らない作家も多く、また、読み直したくなる名作もいくつか出てきて悩ましい。
    あと、綾辻行人氏など他の作家とのやりとりについて書かれているところもあり、なんだか微笑ましくなった。

  • 論理仕掛けの奇談 有栖川有栖解説集 目次

    前口上

    お人好し探偵に乾杯『ツール&ストール』大倉崇裕
    こういう本格が好きなんだ『踊り子の死』ジル・マゴーン
    火のないところでパズルを燃やせ『試験に出ないパズル 千葉千波の事件日記』高田崇史
    眩暈と地獄『暗色コメディ』連城三紀彦
    小説への頌歌(しょうか)『八月の博物館』瀬名秀明
    夢想の哲学『原罪の庭 建築探偵桜井京介の事件簿』篠田真由美
    華麗なる名作『オリエント急行の殺人』アガサ・クリスティ
    極上のプレグナント・ミステリ『バルーン・タウンの殺人』松尾由美
    <はかり知れないもの>への供物『囲碁殺人事件』竹本健治
    華麗にして狂人『時の密室』芦部拓
    ユーモア本格ミステリのエース『密室の鍵貸します』東川篤哉

    妖しい謎物語『リドル・ロマンス 迷宮浪漫』西澤安彦
    名探偵とハンディキャップ『仔羊の巣』坂木司
    仰ぎみる高峰『高木彬光コレクション/長編推理小説 黒白(こくびゃく)の囮(おとり)新装版』高木彬光
    ヒロシマ以後とミステリ『新世界』柳広司
    無垢の力、夢の形『殺意は青列車(ブルートレイン)が乗せて 天才・龍之介がゆく!本格痛快ミステリー』柄刀一
    〈ゲシュタルトの欠片〉の射手『「クロック城」殺人事件』北山猛邦
    水車は今も回り続ける『水車館の殺人』綾辻行人
    出しそびれたファンレター『笹沢左保コレクション 招かれざる客 新装版』笹沢左保
    鉄道探偵の冒険『「坊ちゃん」はなぜ市電の技術者になったか』小池滋
    これぞ不朽の名作『Xの悲劇』エラリー・クリーン
    私と清張 永遠の仮想敵 『松本清張短編全集06 青春の彷徨(ほうこう)』松本清張
    それは「旅」に連載された『点と線 長編ミステリー傑作選』松本清張
    ミステリーのための練習曲(エチュード)『玄武塔事件』太田忠司
    歴史ミステリの快傑作『漂流厳流島』高井忍
    本格短編のショーケース『法廷ジャックの心理学 本格短編ベスト・セレクション』本格ミステリー作家クラブ・編

    今、ここにある悪夢『プラ・バロック』結城充考
    エラリー・クイーン登場『ローマ帽子の謎』エラリー・クイーン
    爆笑の落語ミステリ『幕末時そば伝』鯨統一郎
    タイムマシンなんかいらない『まいなす』太田忠司
    天晴れ、エンターテインメント鍋『鍋奉行犯科帳』田中啓文
    謎を解く夢想のジッパー『本格探偵小説 群衆リドル Yの悲劇’93年』古野まほろ
    書いていただき光栄です『開かせていただき光栄ーDILATED TO MEET YOUー皆川博子
    少女は青春に閉ざされる『少女は夏に閉ざされる』彩坂
    美月
    樽よ、永遠なれ 『樽』F.W.クロフツ
    奥泉光のスタイリッシュなユーモアミステリ『黄色い水着の謎 桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活
    2』奥泉光
    青春と鉄道旅と謎と『鉄道ミステリ1 夢より短い旅の果て』柴田よしき
    クリスティーの囁き『致死量未満の殺人』三沢陽一
    巨(おお)きな船が出る『闇に香る嘘』下村敦史
    ショートショートの新たな時代へ ショートショート・セレクションⅡ『無用の店』江坂遊

    ユニークすぎる鉄道ミステリ漫画の傑作『月館(つきだて)の殺人 下』佐々木倫子 綾辻行人
    乱歩と非東京『明智小五郎事件簿X「少年探偵団」「黒蜥蜴」』江戸川乱歩
    最上室のホームズ・パスティーシュ「ホームズ連盟の事件簿」北原尚彦
    続編にして集大成にして新境地『ドクター・スリープ 下』スティーヴン・キング
    期待に応え、予想を裏切る『モリアーティ』アンソニー・フォロヴィッツ
    色褪せない面白さとメッセージ『「会社を休みましょう」殺人事件』吉村達也
    理論仕掛けの奇談『毒薬の輪舞』泡坂妻夫
    怪物的な傑作『屍人荘の殺人』今村昌弘
    久坂部羊の恐ろしい処方『テロリストの処方』久坂部羊
    謎物語は続く『謎物語 あるいは物語の謎』北村薫

    初出
    あとがきに代えて
    解説は、読書エッセイ 有栖川有栖×杉江松恋対談

  • 有栖川氏の独断と偏見による(ちょっと言い方キツイけど悪く言ってるわけじゃないです)この本いいよ!
    な、ミステリのブックガイド。
    読みたい本が増えてしまったじゃないか、なんて事をしてくださったんだ!(笑)

  • *文庫化(単行本も所持

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著者プロフィール

1959年大阪生まれ。同志社大学法学部卒業。89年「月光ゲーム」でデビュー。「マレー鉄道の謎」で日本推理作家協会賞を受賞。「本格ミステリ作家クラブ」初代会長。著書に「暗い宿」「ジュリエットの悲鳴」「朱色の研究」「絶叫城殺人事件」など多数。

「2023年 『濱地健三郎の幽たる事件簿』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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