- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041122587
作品紹介・あらすじ
クラスで起きているいじめについて相談を受けた中学教師の穂刈。
学校の校長が我が校にいじめはないと言い張っているため、その証拠の写真を消すように生徒に命じた。
そんなある日、穂刈の小学校六年生の娘が学校の窓から飛び降りた。けがを負った娘の由佳。飛び降りの理由もまたい
じめだった。しかし、学校はやはりいじめを認めない。
いじめを認めたくない教師から、いじめを認めさせたい親に立場が一転した穂刈。
父親として穂刈は、娘のいじめについて認めない学校に業を煮やし加害者児童の名前を告発。
そんな中、加害者児童が死体となって発見。穂刈の息子が容疑者として警察に連行される。
子供を亡くした加害者児童の親に「殺人犯の親」と罵られた穂刈は──。
感想・レビュー・書評
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「いじめ」って学校にとっては不祥事なのか。
妙に納得した。
いじめの発覚した学校ではこんなやりとりが実際に行われているのかな、と思った。
それにしてもお母さん、良妻賢母だと思ってたのに何やってんだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
子供の間で蔓延っている“イジメ”問題。
それを、自分の保身のために、隠蔽する学校関係者。
一度、事件が起こると“他人の不幸は蜜の味”とばかり飛びつく、マスコミ。
その上、無責任な、ブログにSNS、画像投稿サイトに、巨大掲示板。
ある日、穂刈は、娘がイジメを受け、それを苦に、学校の教室から飛び降り、自殺未遂をしたと、知らされる。
中学教師でもある、穂刈は、教師と父親の立場で、揺れ動く。
一旦途中で、読むのを止めると、続きを読むのが、苦痛になるような、心が澱むような内容だった。
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❇︎
当たり前のように常にそこにあって
平穏と安寧に包まれた家庭。
その中で平々凡々と年を重ねることを
疑いもしなかった主人公(教師の穂刈)が
娘の自殺未遂をきっかけに自分自身と
家族の姿を見つめ直してゆく物語。
主人公を通して、自分の目に見えている
家族一人ひとりの姿はほんの一面にすぎない。
いかに自分という偏ったフィルターから
家族という存在を見ているかを思い知らされた
気がします。
1.穏やかな翠
2.棘のある葉
3.毒を持つ嚢
4.不穏の茎
5.そして根は残る
家を棘のある植物に見立てているところに
妙に納得ができました。
触れなければわからないけれど、一人ひとりに
別々の棘や毒がある。
その毒で大怪我をすることもあれば、毒が薬に
なることもある。
棘や毒の悪い面ばかりが気になるけれど、
それらが深い意味を持っているんだと
そんな風にも感じました。
ある意味、やや悲しい部分もありますが、
多少バットエンドを含んでいても再生への
淡い芽も感じ取りました。
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中学教師の穂刈(父)。
クラス内のいじめを黙殺しようとしている。
そんな折、小学生の娘が校舎から転落。どうやらいじめられていたらしい。
元教師の妻と、中学生の兄。
父親なのか教師なのかと家族から問われ、自問する日々。
そしていじめの主犯格が殺されてしまい、なんと息子か参考人として警察に連れていかれてしまう。
穂刈は父として家族を守れるのか?!
という展開。
まさかあそこまで穂刈家が壊れかけていたなんてね。
兄は立派だったけど、母よ...安直でお手軽すぎないか。
これから穂刈家はどうなるんだろう。
完全に分解するか、無理やり円満な家族を演じるかのどちらかでは。 -
自分の弱さや卑怯な深意、時にそれを正義か不義かも思い違えるのが人間。
善意も悪意も渦巻く複雑な人間心理がよく描かれているなと思った。
最初は煮え切らない父親にイラッとしたけど全てが明らかになって見えていなかった家族の本当が見えた後の父親を信じたい。
そして「まだ間に合う、お互いを思っているうちは」この刑事の言葉を信じたい。
中山先生の本に出てくる刑事が私は好きなんだなと思う。 -
追う者と追われる者、加害者と被害者が入れ替わる構造の作品は、中山先生の作品だけでも3作目かな。3作に共通しているのは無責任な大衆とSNSの怖ろしさ。
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いじめの被害者と加害者。
その立場が変わることで、周りの目が一気に変わるところが恐ろしい。
ほとんどの登場人物(駿君以外)の性格が好みではないからか、なんとなく陰鬱な気分で読んだ。
でも、内容自体には引きこまれて一気読みした。 -
図書館で借りた本。
中学校教師の穂刈の娘、小6の由佳が学校の3回から飛び降りた。怪我で済んだものの、実は由佳はいじめられていた。いじめっ子の名前を知った穂刈は、マスコミにいじめっ子の名前を告げてしまう。そんなある日、いじめっ子が死体で発見される。
著者プロフィール
中山七里の作品





