出身成分 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 180
感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041122952

作品紹介・あらすじ

この国に生を受けただけなのに、希望はどこにある――
平壌郊外の保安署員クム・ヨンイルは11年前の殺人・強姦事件の再捜査を命じられた。犯人として収容されている男と面会し記録を検証するが、捜査の杜撰さと国家の横暴さを再認識するだけだった。実はヨンイルの父は元医師。最上位階級である「核心階層」に属していたが、大物政治家の暗殺容疑をかけられ物証も自白もないまま収容されている。再捜査と父への思いが重なり、ヨンイルは自国の姿勢に疑問を抱き始める。そしてついに、真犯人につながる謎の男の存在にたどりつくが……。鉄壁な国家が作り出す恐怖と個人の尊厳を緻密に描き出す、衝撃の社会派ミステリ長編。

感想・レビュー・書評

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  • 「出身成分」
    タイトルだけ見るとなんだかいやーな印象を受けるが、内容はとても興味深いものだった。なんが真実なのか分からないが、日本から飛行機で3時間ぐらいで行けそうなところに、こんな世界が存在すると考えると本当に怖いことだなと思う。
    最後に少しだけ救われた感じがしたが。同時に途方もなく切なくなった。

  • 松岡圭祐『出身成分』角川文庫。

    非常に珍しい北朝鮮の現実を背景に描かれたミステリー小説。

    北朝鮮と言えば、世襲制の独裁指導者による恐怖政治で一部の特権階級のみが豊かな暮らしを享受し、多くの庶民は貧困に喘いでいるというイメージだった。まさか『出身成分』なる父系の素行などによる身分差別制度があり、この国で生き抜くことがさらに過酷にしているなど全く知らなかった。また、食糧などの配給が滞り、庶民の生活は悲惨でかなり深刻な状況であり、国家のあらゆる制度が腐敗していることが窺える。

    絶体服従の恐怖政治と過酷な身分差別制度、賄賂がまかり通る中、正義を貫くことが出来るのか。非常に興味深く、面白い作品だった。主人公のヨンイルを悩ませる元凶は『出身成分』という歪んだ身分差別制度だ。正義を貫くためには自分と妻子の『出身成分』を汚さなければならないというジレンマ。果して、ヨンイルの運命や如何に。

    平壌郊外の保安署員クム・ヨンイルは11年前に怒った殺人強姦事件の再捜査を命じられる。ヨンイルは犯人として収容されているイ・ベオクと面会し、記録を検証するが捜査の杜撰さと国家の横暴さを再認識するだけだった。さらには強姦の被害者のペク・チョヒからの証言などから真犯人の存在を確信したヨンイルだったが……

    やがて11年前の事件は思わぬ形となってヨンイルの前に立ち塞がる。そして、思いもよらぬ結末……

    定価770円
    ★★★★★

  • 北朝鮮という国はどんな国なのか?

    報道を信じれば軍国主義で一部の幹部が法律を剛拳の如く振るい多くの国民はそれに従わされている。併せて食料や医療が逼迫しておりアジアの中で非常に貧しい国のイメージがある!

    果たして本当にそうなのか?

    本書を読むと真実かどうかはさておき、ベールに包まれている北朝鮮の地方の実態に触れられる。

    また、日本は裕福で自由の国とは言えるが北朝鮮という国と経済的な豊かさ以外でどれ程の違いがあるのだろうと、改めて考えてみたい。


    主人公のクム・ヨンイルは北朝鮮の警察官!
    11年前の殺人・強姦事件の再捜査を命じられるが過去の捜査の杜撰さを認識させられながら操作を進めていくのだが・・・
    物語は二転三転四転する!!

    さらに、本書は人権無視や階級差別と密告社会の恐ろしさを本書は語ってくれる!

    ジョージ・オーウエルの1984年を思い出した。

  • タイトルが実在する用語だとは。単に彼の国を批判するのは簡単だが、翻って我が国はどうなのか。どの国も同じ、と言えなくもないのではないか。マスコミが報じない事は多いだろう。目に見えるモノが世界の全てではないと思わされた。

  • 出身成分というのは、北朝鮮の階級制度のようなもの。特権階級にあるもの、降格の不安を抱える保安署員が過去の犯罪捜査のやり直しを命ぜられ、再捜査の過程で偏った体制、貧困下でのずさんな捜査が明らかになっていく。

    帯には、脱北者の証言に基づく・・・とあったが、これが北朝鮮のリアルなんだろうか?

    それにしても、何とレパートリーが広いこと。毎度のことながら呆れるわ。

  • 人民保安省保安署員のクム・ヨンイル
    11年前に起きた殺人・強姦事件の再捜査を命じられ、捜査資料にもとづき当事者の聞き取りを始める

    見えてきたのは当時の杜撰な捜査と不可解な現状

    「核心階層」「動揺階層」「敵対階層」からなる北朝鮮の階層制度「出身成分」が事件に影を落とす

    ヨンイルが辿り着いた驚くべき真相とは……

    《鉄壁な国家が作り出す恐怖と個人の尊厳を緻密に描き出す、衝撃の社会派ミステリ。》──カバーの紹介文

    脱北者の多岐にわたる証言に基づいて松岡圭祐が入念に仕立てた驚愕のミステリ、傑作

    《貴方が北朝鮮に生まれていたら、この物語は貴方の人生である。》──扉のことば

    2019年6月刊の単行本を加筆修正して文庫化、2022年1月刊

  • 桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPACへ↓
    https://indus.andrew.ac.jp/opac/volume/1310463

  • うわー面白い。ラストの展開めちゃくちゃ痺れた。松岡圭祐はこんな重苦しい重厚な物語も描けるのか。いつものエンターテイメント全開なのとは全然違うけどやっぱり面白い。作中にあった「市民がへらへら笑いながら歩いていたらおかしい」って主人公のモノローグが北朝鮮の雰囲気をうまく伝えてるよなあと舌を巻いた。そんな描写が散りばめられてて、取材力半端ねえよ。希望のあるラストでとても良かった。

  • 主人公みたい正義感にかられて罪のない人を助ける事に全力を尽くすことはできないし、自分を犠牲にし、しかも家族も犯罪者同様の生活になるのは耐える事はできない。北朝鮮の実体はまだまだ暴かれていないのかも知れないし、この小説は真綿にくるんでソフトな言い回しなのかも知れないけど読むのに苦労し、主人公の思考にも読むのに胸がつまる思いをしながらなんとか読み切る。

  • 保安署員クム・ヨンイルは11年前の殺人・強姦事件の再捜査を命じられる。再捜査に父への思いが重なり自国の体制に疑問を抱いたヨンイルは、ついに真犯人らしき男にたどり着くが…。鉄壁な国家が作り出す恐怖と個人の尊厳を緻密に描き出す、衝撃の社会派ミステリ。(e-honより)

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著者プロフィール

1968年、愛知県生まれ。デビュー作『催眠』がミリオンセラーに。大藪春彦賞候補作「千里眼」シリーズは累計628万部超。「万能鑑定士Q」シリーズは2014年に映画化、ブックウォーカー大賞2014文芸賞を受賞。『シャーロック・ホームズ対伊藤博文』は19年に全米翻訳出版。NYヴァーティカル社編集者ヤニ・メンザスは「世界に誇るべき才能」と評する。その他の作品に『ミッキーマウスの憂鬱』、『ジェームズ・ボンドは来ない』、『黄砂の籠城』、『ヒトラーの試写室』、「グアムの探偵」「高校事変」シリーズなど。

「2023年 『高校事変 16』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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