- KADOKAWA (2022年1月21日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (352ページ) / ISBN・EAN: 9784041122952
作品紹介・あらすじ
この国に生を受けただけなのに、希望はどこにある――
平壌郊外の保安署員クム・ヨンイルは11年前の殺人・強姦事件の再捜査を命じられた。犯人として収容されている男と面会し記録を検証するが、捜査の杜撰さと国家の横暴さを再認識するだけだった。実はヨンイルの父は元医師。最上位階級である「核心階層」に属していたが、大物政治家の暗殺容疑をかけられ物証も自白もないまま収容されている。再捜査と父への思いが重なり、ヨンイルは自国の姿勢に疑問を抱き始める。そしてついに、真犯人につながる謎の男の存在にたどりつくが……。鉄壁な国家が作り出す恐怖と個人の尊厳を緻密に描き出す、衝撃の社会派ミステリ長編。
みんなの感想まとめ
社会の構造や権力の横暴がもたらす恐怖を描いたこの作品は、北朝鮮の厳しい階級制度とその影響を背景に、主人公クム・ヨンイルが11年前の殺人・強姦事件の再捜査を通じて真実を追い求める姿を描いています。物語は...
感想・レビュー・書評
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出身成分とは、北朝鮮の階級を表す言葉です。「核心階層」、「動揺階層」、「敵対階層」の3つに分かれています。核心階層は、一番上。国への忠誠心が厚く、信頼できる人達。動揺階層は、中間層で、大多数の国民がこの階層。そして、敵対階層。ここは、国への反抗が高いとみなされた人々。進学や、就職でも制限を受け、特別な監視を受け、差別もされる。首都、平壌に住めるのは、核心階層のみ。後の2つの階層は、平壌に足を踏み入れることもできません。私は、この本を読んで初めて知りました。
人民保安省保安署員の、クムヨンイルが、11年前に起きた殺人、強姦事件を調べ直すというところから、話が始まります。疑わしき過去の事件を洗い直す。これは、人権侵害で、政府が、国際社会から圧力を受けているため、形なりにも、そういうことはしていませんよ、というのを示すための再調査。現に、この事件で捕まっている犯人も、犯行を否定しています。
調べを進める内に、あっと驚く真犯人に辿り着きます。しかし、その後に、もっと驚くべき事実が、明らかになります。恐ろしさと同時に、やるせない気持ちになりました。
この小説では、賄賂のやり取りが何度も出てきます。読んでいて、嫌な気持ちになりました。しかし、それ以上に嫌だったのは、女性に対する性暴力です。これには、憤りを感じました。
松岡さんは、この小説を書くにあたり、脱北者の人達に取材をしています。この事件の起きた集落は、平壌郊外ということですが、作物は大して実らず、食べる物も少なく、人々はお互いを監視し、余計なことは、喋らない。目をつけられれば、自分だけでなく、家族にも、又、集落全体にも害が及んでしまう。そして階級を落とされてしまう。この国の常識に則って、賢く生きるしかない。読み終わった後も、正直、これが現実なのか、今だに信じられない気持ちです。
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「出身成分」
タイトルだけ見るとなんだかいやーな印象を受けるが、内容はとても興味深いものだった。なんが真実なのか分からないが、日本から飛行機で3時間ぐらいで行けそうなところに、こんな世界が存在すると考えると本当に怖いことだなと思う。
最後に少しだけ救われた感じがしたが。同時に途方もなく切なくなった。 -
松岡圭祐『出身成分』角川文庫。
非常に珍しい北朝鮮の現実を背景に描かれたミステリー小説。
北朝鮮と言えば、世襲制の独裁指導者による恐怖政治で一部の特権階級のみが豊かな暮らしを享受し、多くの庶民は貧困に喘いでいるというイメージだった。まさか『出身成分』なる父系の素行などによる身分差別制度があり、この国で生き抜くことがさらに過酷にしているなど全く知らなかった。また、食糧などの配給が滞り、庶民の生活は悲惨でかなり深刻な状況であり、国家のあらゆる制度が腐敗していることが窺える。
絶体服従の恐怖政治と過酷な身分差別制度、賄賂がまかり通る中、正義を貫くことが出来るのか。非常に興味深く、面白い作品だった。主人公のヨンイルを悩ませる元凶は『出身成分』という歪んだ身分差別制度だ。正義を貫くためには自分と妻子の『出身成分』を汚さなければならないというジレンマ。果して、ヨンイルの運命や如何に。
平壌郊外の保安署員クム・ヨンイルは11年前に怒った殺人強姦事件の再捜査を命じられる。ヨンイルは犯人として収容されているイ・ベオクと面会し、記録を検証するが捜査の杜撰さと国家の横暴さを再認識するだけだった。さらには強姦の被害者のペク・チョヒからの証言などから真犯人の存在を確信したヨンイルだったが……
やがて11年前の事件は思わぬ形となってヨンイルの前に立ち塞がる。そして、思いもよらぬ結末……
定価770円
★★★★★ -
北朝鮮という国はどんな国なのか?
報道を信じれば軍国主義で一部の幹部が法律を剛拳の如く振るい多くの国民はそれに従わされている。併せて食料や医療が逼迫しておりアジアの中で非常に貧しい国のイメージがある!
果たして本当にそうなのか?
本書を読むと真実かどうかはさておき、ベールに包まれている北朝鮮の地方の実態に触れられる。
また、日本は裕福で自由の国とは言えるが北朝鮮という国と経済的な豊かさ以外でどれ程の違いがあるのだろうと、改めて考えてみたい。
主人公のクム・ヨンイルは北朝鮮の警察官!
11年前の殺人・強姦事件の再捜査を命じられるが過去の捜査の杜撰さを認識させられながら操作を進めていくのだが・・・
物語は二転三転四転する!!
さらに、本書は人権無視や階級差別と密告社会の恐ろしさを本書は語ってくれる!
ジョージ・オーウエルの1984年を思い出した。 -
タイトルが実在する用語だとは。単に彼の国を批判するのは簡単だが、翻って我が国はどうなのか。どの国も同じ、と言えなくもないのではないか。マスコミが報じない事は多いだろう。目に見えるモノが世界の全てではないと思わされた。
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出身成分というのは、北朝鮮の階級制度のようなもの。特権階級にあるもの、降格の不安を抱える保安署員が過去の犯罪捜査のやり直しを命ぜられ、再捜査の過程で偏った体制、貧困下でのずさんな捜査が明らかになっていく。
帯には、脱北者の証言に基づく・・・とあったが、これが北朝鮮のリアルなんだろうか?
それにしても、何とレパートリーが広いこと。毎度のことながら呆れるわ。 -
人民保安省保安署員のクム・ヨンイル
11年前に起きた殺人・強姦事件の再捜査を命じられ、捜査資料にもとづき当事者の聞き取りを始める
見えてきたのは当時の杜撰な捜査と不可解な現状
「核心階層」「動揺階層」「敵対階層」からなる北朝鮮の階層制度「出身成分」が事件に影を落とす
ヨンイルが辿り着いた驚くべき真相とは……
《鉄壁な国家が作り出す恐怖と個人の尊厳を緻密に描き出す、衝撃の社会派ミステリ。》──カバーの紹介文
脱北者の多岐にわたる証言に基づいて松岡圭祐が入念に仕立てた驚愕のミステリ、傑作
《貴方が北朝鮮に生まれていたら、この物語は貴方の人生である。》──扉のことば
2019年6月刊の単行本を加筆修正して文庫化、2022年1月刊 -
この国に生を受けただけなのに、希望はどこにある――
平壌郊外の保安署員クム・ヨンイルは11年前の殺人・強姦事件の再捜査を命じられた。犯人として収容されている男と面会し記録を検証するが、捜査の杜撰さと国家の横暴さを再認識するだけだった。実はヨンイルの父は元医師。最上位階級である「核心階層」に属していたが、大物政治家の暗殺容疑をかけられ物証も自白もないまま収容されている。再捜査と父への思いが重なり、ヨンイルは自国の姿勢に疑問を抱き始める。そしてついに、真犯人につながる謎の男の存在にたどりつくが……。 -
・人権とは、を考える一冊。
・登場人物の名前が覚えきらず何度もページを戻っては読み返し…。
・昨日ベルリンの壁についての映像を見たばかりなのでドイツと朝鮮半島の問題はリンクする部分もあり、朝鮮半島にも明るい未来を想像したい。
・アンサノ一家にも同じく。 -
桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPACへ↓
https://indus.andrew.ac.jp/opac/volume/1310463 -
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うわー面白い。ラストの展開めちゃくちゃ痺れた。松岡圭祐はこんな重苦しい重厚な物語も描けるのか。いつものエンターテイメント全開なのとは全然違うけどやっぱり面白い。作中にあった「市民がへらへら笑いながら歩いていたらおかしい」って主人公のモノローグが北朝鮮の雰囲気をうまく伝えてるよなあと舌を巻いた。そんな描写が散りばめられてて、取材力半端ねえよ。希望のあるラストでとても良かった。
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主人公みたい正義感にかられて罪のない人を助ける事に全力を尽くすことはできないし、自分を犠牲にし、しかも家族も犯罪者同様の生活になるのは耐える事はできない。北朝鮮の実体はまだまだ暴かれていないのかも知れないし、この小説は真綿にくるんでソフトな言い回しなのかも知れないけど読むのに苦労し、主人公の思考にも読むのに胸がつまる思いをしながらなんとか読み切る。
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保安署員クム・ヨンイルは11年前の殺人・強姦事件の再捜査を命じられる。再捜査に父への思いが重なり自国の体制に疑問を抱いたヨンイルは、ついに真犯人らしき男にたどり着くが…。鉄壁な国家が作り出す恐怖と個人の尊厳を緻密に描き出す、衝撃の社会派ミステリ。(e-honより)
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20220716
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北朝鮮を舞台にしたミステリ
出身成分と言う名の階級社会。抗うことができない絶対的な権力の中で、ある村で起こった殺人事件が真相解明に向けて捜査されていきます。
北朝鮮であるが故に起こり得るストーリー展開に引き込まれるように読みました。
脱北者の話をもとに書いているとのことで、北朝鮮の現状を想像しながら読むことが出来ました。 -
あくまでもフィクションです。
しかし取材に基づく作品であるため、知らなかったことが満載でした。
私の中の普通とか常識からかけ離れており、恐怖を感じてしまいます。
狭い世界で生きているのを思い知らされました。
そして、最高のミステリーでした。
未来が明るいことを祈ります。 -
えぐい内容ですが、アジア人なら一読すべき一冊。よかった、半島に住んでなくて。
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後半の展開に混乱したけど、未来があるような悲劇のような、読後感がずしりと重たい。
北朝鮮の題材はいくつか読んだことがあるけど、このお話は比較的最近の時代背景になってるものの、実態は変わらないままなんでしょうね。
身分差別する階級制度があり、どの階級でも不幸に思えてしまう。 -
北朝鮮のミステリーということで、珍しい題材です。謎解きよりも、かの国の実情の方がとても謎。
著者プロフィール
松岡圭祐の作品
