- KADOKAWA (2022年11月22日発売)
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感想 : 23件
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Amazon.co.jp ・本 (400ページ) / ISBN・EAN: 9784041123430
作品紹介・あらすじ
文化十年、江戸飯田町の小さな家屋で、作家・滝沢馬琴は画家・葛飾北斎に語り出した。宿縁に導かれた八人の犬士が悪や妖異と戦いを繰り広げる『南総里見八犬伝』である。落城寸前の安房・滝田城で、時の城主・里見義実が一縷の望みを愛犬・八房に託したことをきっかけに、里見家の運命が動き出す――。闊達自在な伝奇「虚の世界」と、執筆への執念を燃やす馬琴を綴る「実の世界」を、緻密な構成で見事に交錯させて描いた傑作。
AIがまとめたこの本の要点
この本を表す言葉
みんなの感想まとめ
虚構と現実が巧みに交錯する物語が描かれ、読者は八犬士たちの冒険とともに、作家・滝沢馬琴の創作過程を追体験することができる。物語は、安房・滝田城を舞台に、愛犬・八房を通じて里見家の運命が動き出す様子を描...
感想・レビュー・書評
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最近公開された映画の原作。私たちの世代は八犬伝の映画といえば薬師丸ひろ子主演の角川映画を思い出す。
本作は山田風太郎の傑作と言っても良い。現実の滝沢馬琴の創作生活と北斎をはじめとする周囲との交流を描きながら、虚の八犬伝の物語を進めていく。これにより単に八犬伝の物語を読むだけでなく、28年もの歳月をかけた馬琴の苦労もひしひしと伝わる。そもそも八犬伝自体が現代でもファンタジーRPGに出来るレベルのクオリティだ。このはっちゃけた物語をお堅い馬琴が書いたという対比も非常に面白い。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
大変な勢いで読了した。頁を繰る手が停められなくなってしまっていた。上下巻ということになっている作品の上巻である。下巻が待てないという前のめりな感じ、上巻の余韻に浸りたいという感じが交互に沸き上がり、何かこの作品に夢中になったことに気付かされる。
少し前に、最近公開の映画『八犬伝』を大変に愉しく観た経過が在った。そして映画の原案になっている小説の存在も知り、その小説の「改版第7版」というのが「程無く登場」、言葉を換えると利用している通販サイトで「少し待てば発送される」という状態になっていた。そういうのを見て、それこそ2秒後に申し込み、拙宅に本が届くのを楽しみに待っていて、届いて早速に紐解き始めた。
『八犬伝』というファンタジーの起こりが在って、やがて作者の滝沢馬琴と、友人で絵師の葛飾北斎が現れるという小説の感じは、映画で観たとおりだ。と言うより、映画の方がこの小説を参照して制作されているのだ。が、自身は映画を先に観たので、「小説では」という以前に「映画では」と思ってしまう。そういうように、馬琴が創作する物語である「虚」と、馬琴自身の人生、暮らしの一部という「実」の部分とが交差しながら展開する物語である。それを最初の方で確かめたような感じで、以降は小説の作中世界にドンドン入り込んで夢中になっていた。
小説を原案とする映画は多々在る。個人的な見解であるが、そういう作品は「映画を観てから小説を読む」という方が「小説を読んでから映画を観る」というよりも好ましいように思う。というのは、「映画」は「小説」以上に制約が多く、それの中で映像を見せて台詞の音声や音楽を聴かせるのだが、一定程度の上映時間で収まるように纏める脚本で物語が展開するので、小説で仔細を知り過ぎていると「物足りない」と思う場合も在るのだ。異なる表現方法なので、各々のそれぞれに愉しめば十二分ではあると思う。が、「物足りない」という不満めいた何かが生じる確率が高いのは「小説を読んでから映画を観る」という方だ。
今般は「映画を観てから小説を読む」という形だった。映画の中では「何となく示唆」という様子だった滝沢馬琴と葛飾北斎との交友の経過、滝沢馬琴が作家になって行く迄や作家としての活動というような来し方という「実」が小説では充実している。それが在って、滝沢馬琴が熱い想いで綴る『八犬伝』が在る。本作では「虚」の部分になる『八犬伝』そのものだが、これも八犬士や周辺の人達の背景等が少し掘り下げられている。『八犬伝』は1週間程度というような時日で目まぐるしく事が展開するような部分の他方、少し時間を要する展開という部分も在る。
「虚」の部分は順次登場する八犬士の相互の出会いや共闘、そして個別に冒険をすることや苦難を潜り抜けるという場面等が折り重ねられる。「実」の部分では『八犬伝』の最初の方、物語の前半に相当する部分が好評を博している様子が示唆され、他方で色々な仕事を並行する滝沢馬琴は存外に『八犬伝』に時間が掛かっているという様子が出て来る。
「作家の物語」と「作家が創った物語」が螺旋状に読者に迫るという感じで、実に愉しいと思う。下巻が凄く楽しみだが、それはそれとして、とりあえず本作は広く御薦めしたい。 -
映画公開前に予習しておこうと(なんせ忘れているからね)、平成元年の文庫本(よくぞ置いておいたものだ)を引っ張り出して再読。馬琴の手による『八犬伝』の部分を「虚の世界」、それを執筆する馬琴と物語の筋をきかされる葛飾北斎とのやりとり等を「実の世界」として交互に配置。面白いのなんのって! 馬琴と北斎の人物造形、やりとりの楽しいこと楽しいこと。こちらの方が面白いかと思いきや、八犬士達の因縁の絡み具合出逢い、八犬士達が窮地に立たされ、それを逃れていく筋の展開、こちらは馬琴の構想によるのだろうが(たぶん。原作読んでいないから定かではない)めためた面白い! 多分原作では長々とあれこれ微に入り細を穿って描いているんだろうが、スピーディに息もつかせぬよう描いていく山田風太郎の筆致もすごい! さすが天才老人! 下巻も楽しみ♪
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恥ずかしながら、里見八犬伝が超絶ファンタジーだとは認識していなかった。
どこまでが本当か怪しい三国志をもっと御伽話的にしたもんだと勝手に思っていた。
故に何故メモリながら読まなかったのか後悔している。
登場人物の名前をうろ覚えで読み進めてしまう私は、犬 がやたら出てくる名前がこんがらがって少々誰がどなただったかだいぶん適当に上巻を読んでしまった。
全員揃ったらきっと区別できるだろうという安易な考えをしているんだか…
大丈夫かなぁ。 -
アカデミー賞を見てて原作があるのか…ぐらいの気持ちで読み始めたんだけど、北斎は浮世絵の人だよね?ぐらいの知識で馬琴のことは全く知らなかったし、八犬伝がこんなに面白いなんて初めて知りました。
旅にでない馬琴がこんな超大作書いたことに驚いている。
まだ登場していない犬士が楽しみ。
ん?名前みたら全部登場してるか。
このまま下巻へ -
馬琴と北斎の掛け合いが、好き。
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この話もすこいし、滝沢馬琴もすごいし、山田風太郎もすごい。なにもかもすごい。南総里見八犬伝自体もよみたくなっているが、この小説を読んだ限りでは、しんどいか。
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安倍晴明の山田作品の一節に惹かれて今作品を読む。圧巻の表現力に読む手が止まらない。滝沢馬琴の南総八犬伝と何ら遜色なく楽しめる。馬琴の暮らしぶりも知ることが出来て一石二鳥な作品。下巻を読後に映像化を試そうと思う。
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めっっっちゃおもろい
ぐろいけど
虚実と史実を行き来する構成がうますぎる。 -
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10月映画
摂南大学図書館OPACへ⇒
https://opac.lib.setsunan.ac.jp/iwjs0021op2/BB50376594 -
映画見たから、ここ!みたいなシーンたくさん
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これは大変面白い。
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相関図ほしい。
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映画を観る前に読もうと買いました。
八犬伝のターン「虚」と、作者の滝沢馬琴と葛飾北斎がしゃべっているターン「実」という構成がおもしろいです。八犬伝、登場人物が多く複雑で相関図が欲しいー!と思いながら読みました。え?死んじゃうの?!と思ったところは、「実」ターンで北斎が突っ込んでくれました。私自身は馬琴と北斎の性格や暮らしぶりがおもしろく、『北越雪譜』の鈴木牧之が出てきたりと「実」ターンを読むのが楽しいです。八犬伝は本筋以外の補足?がたくさんあり、すごく長い物語だとはなんとなく知っていましたが、なるほどこういう感じで長くなっていったのかと「実」ターンでわかりました。
まだ上巻なので、下巻で八犬士が全員揃ってどんな結末を迎えるのか、また、馬琴と北斎やその周りの人々がどうなるのか楽しみです。 -
『八犬伝』が映画化するということで手に取った本。
山田風太郎作品は忍法帖シリーズを中心にいくつか読んでいるが、どれも良い意味で荒唐無稽で面白い。
これぞジャパニーズニンジャ! ジャパニーズサムライ! みたいな部分もあり、エロもグロもあり、涙とアクションもある。
『八犬伝』もファンタジー、伝奇要素を絶妙に織り交ぜながら紡がれている。
その『八犬伝』の虚の部分に、この物語を書いた滝沢馬琴周りの実の部分が交互に描かれていく。
上巻は虚の部分が面白かった。
まるで漫画やゲームのパーティが集まるかのように個性豊かな登場人物たちが何かに導かれるかのように集まっていく。
そこに敵の手も迫ったりと、盛り上がり続ける展開であっという間に読んでしまった。
ちなみに映画は原作の良さの100分の1も伝わらない。
何なら原作が端折られすぎてて、原作を読んでないとよくわからない気がする。
余りにも酷い出来だった。映画を観るチケット代で原作買ったほうが絶対良い。 -
滝沢馬琴の『南総里見八犬伝』は、千葉県民としてはぜひとも読んでおきたい物語。だから岩波文庫のボックスで買ってあるのですが、なにしろ原文でございますので敷居が高く、まだ踏み込めずにおります。
そこで、この山田風太郎の『八犬伝』。滝沢馬琴が葛飾北斎に、「こんな物語を書こうと思ってるんだけど、どう?」と話して聞かせている、というのが大筋。なので、『南総里見八犬伝』そのもの(虚の世界)と、江戸にいる馬琴&北斎の物語(実の世界)が交互に進んでいくという、一冊で二度おいしいお得なご本となっております。
上巻では、「虚の世界」では安房の滝田城城主里見義実の危機から始まって、八犬士のうち6人の犬士が出現、そして7人目だろうと思わせる人物が登場したところまで。「実の世界」では、馬琴が47歳、北斎が54歳の時点から7年間が描かれております。
べらぼうにおもしろい。「虚」パートでは、出来事も人物も、無関係だと思わせておいて実はみぃんなつながっていたりするので気が抜けません。無駄な話が一切ない。登場人物が多く、読んでいると系図が欲しくなるので人物名や関係をメモしておくことを強くおすすめします。
また「実」パートでは、虎タイプのどっしり馬琴と、竜タイプのしなやか北斎、正反対の2人が良いコンビです。武士気質のカタブツ馬琴をおもしろがって見ている北斎、という図がほほえましく、会話に笑ってしまったりも。
上下巻を左右に並べると、カバーイラストがつながって一枚の絵になるところも良いですな。
それでは下巻へいざゆかん!
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北斎への読み聞かせという形が面白い。
子供の頃映画で見たうっすらとした記憶の八犬伝。玉が飛んでいく部分が強烈に記憶に残っていたので、書籍に出会えて良かった。
忍者以外の風太郎作品2つめ。
北斎の天才っぷりというか、アーティストっぷりも面白いが、滝沢馬琴に人間味が描かれているのが新鮮。 -
昔、NHKの人形劇で見たのを懐かしく思い出し、手に取ってみた。
犬塚信乃のこととか八房とか覚えていたけど、こんなに血なまぐさく、人がたくさん死ぬお話だったかしらん。
滝沢馬琴が葛飾北斎に構想を語っているとして、物語が進むのだがこの二人のやり取りが興味深い。
二人とも天才なんだろうけど、違う意味で、こんな人の血縁だったら大変だろうなという素顔の持ち主。
北斎の口から、偏屈でかちかちなやつから(もちろん、私の意訳です)こんな荒唐無稽な面白い物語が生まれるなんて・・・と言われると、なんか楽しい。 -
2011年『みをつくし料理帖シリーズ』で時代小説の面白さを知り、翌12年に『鬼平』で池波正太郎にハマり、藤沢周平、岡本綺堂と読み継ぐ。その中で山田風太郎のことを知ったが、なかなか手が出せなかった。この度、角川文庫が本書を文庫化してくれたことで、ようやく読むことが叶った。虚の世界として南総里見八犬伝が読め、実の世界で戯作者・馬琴と北斎の不思議な交流が読めて大満足。いずれ代表作ともいえる『忍法帳シリーズ』も読みたい!
著者プロフィール
山田風太郎の作品
