びっくり箱殺人事件 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 83
感想 : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041123522

作品紹介・あらすじ

箱の蓋をはね上げ、バネ仕掛けの人形のように男が飛び出した。だが瞬間、まえのめりに倒れこむと激しく痙攣し始めた。男の胸には、箱の中に強いスプリングでとめられた鋭い短剣が突きささって……。スリラーふう軽演劇『パンドーラの匣』の舞台で起った、恐怖の殺人事件! 名推理で犯人を追いつめる等々力警部の活躍は? 本格推理小説の異色傑作。ほか「蜃気楼島の情熱」を収録。

感想・レビュー・書評

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  • 『びっくり箱殺人事件』
    演劇「パンドーラの匣」舞台上で起きた惨劇!箱から飛び出た短刀に胸を貫かれ死んだ役者。凶器から舞台や物語に至るまでびっくり箱づくし!役者・幽谷と等々力警部が七転八倒しながら事件へと挑む!

    地の文が芝居の口上のようになっており、まるで演劇を見ているような異色作。展開もミステリを柱にしながら、ユーモアたっぷりなシーン満載。章タイトルも「吾輩はカモである」など、筆が乗って遊び心が見えるのが楽しい。記者の六助が編集部へ伝えた原稿が一番笑った。口述をそのまま記述はあかん(笑)

    登場人物も地の文も癖が強い!惚れた女性が小指を送ってきたので、小指は月並みだから左の親指を切って送ったとかエピソードがいちいち濃ゆい。いつの間にか愛着がわく憎めないキャラ造形がよかった。ただ、異色作ではあるので、気分転換してみたいなって時に読むとちょうどいいかも。

    『蜃気楼島の情熱』(人面瘡にも収録)
    久保銀造のもとへ静養に訪れた金田一耕助。彼らは沖の小島に豪邸を建てたアメリカ帰りの資産家・志賀泰三と会う。アメリカにいた時代に妻を殺された経験のある泰三。今は幸せそうな毎日を送っていたが、ある晩に妻の静子が何者かに殺されてしまう。

    幸せを掴もうとした男に襲いかかった悲劇。蜃気楼の前に立ちすくむような読み味。犯人のおぞましいほどの冷酷さが、妻に情熱を注いだ泰三の姿と対比されて際立つ。シリーズの中で悪魔と出会うことがあるが、この犯人は悪をどれくらい言い換えても足りないほどの外道っぷり。探偵は事件を解決はできても、そこから被害者が幸せになることまでは手伝えないんだよなあ。それがつらい。

  • 『びっくり箱殺人事件』は横溝正史の中でも異彩を放つ作品と言われていたが、読んで少し唖然とする書きっぷり。特に地の文が、「本当に横溝なのか?」と思うほどにはちゃめちゃなのである。そして、登場人物が個性的を通り越して際立つのも特徴。また、200ページの中で4人の連続殺人、ラブ・ロマンスと読んでいて「えっ?」となるが、最後はきちんと解決まで持っていくからこの書き方はさすがだなと思わずにはいられない。
    もう一編の『蜃気楼島の情熱』はお馴染みの金田一耕助が登場。前に他作品に収録されていたのを読んだが、当時は中学生だったために内容は全く覚えておらず、読み返してとても新鮮な気分に。
    犯人たちが人の皮を被った外道だったため、最後に自殺で逃げなくてよかったと一安心。(金田一耕助シリーズあるあるで犯人は最後に自殺するので)
    令和の時代になっても面白さを感じるのが横溝正史。やはり横溝正史を読まずしてミステリは語れない。

  • 『びっくり箱殺人事件』ドタバタ劇みたいで読んでると顔が綻ぶおかしさもあるけど、中身はちゃんとミステリーになってる。横溝にしては陰険さもなくてすっきり読める。
    『蜃気楼島の情熱』この短さでこの胸糞感はすごい。どの長編より徹底した外道。短編なのでヒントが次々示されてテンポもいい。

  • 2022/01/29読了

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著者プロフィール

1902年、神戸市に生まれる。旧制大阪薬専卒。26年、博文館に入社。「新青年」「探偵小説」の編集長を歴任し、32年に退社後、文筆活動に入る。信州での療養、岡山での疎開生活を経て、戦後は探偵小説誌「宝石」に、『本陣殺人事件』(第1回探偵作家クラブ賞長編賞)、『獄門島』『悪魔の手毬唄』など、名作を次々に発表。76年、映画「犬神家の一族』で爆発的横溝ブームが到来。いまもなお多くの読者の支持を得ている。82年、永眠。

「2022年 『真珠塔・獣人魔島』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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