死神の矢 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 72
感想 : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041123546

作品紹介・あらすじ

弓の収集家として名高い考古学者の古館博士が、三人の若者を招き弓遊びに興じていた。見事的を射た者を、愛娘早苗の婿とするというのだ。
だが、その直後、競技に参加した若者の死体が発見される。浴室の中でシャワーを浴び続ける男の胸部には、白塗りの矢が射ちこまれていた……。
解決不能と思われた密室トリックを名探偵・金田一耕助が解き明かす。
一風変わった隣人の嫌疑に挑む「蝙蝠と蛞蝓」を併録したファン必読の小説集。

感想・レビュー・書評

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  • 表題作と『蝙蝠と蛞蝓』(人面瘡にも収録)の二作品が併録されたミステリ小説集。二作品とも読みやすく、それでいてミステリとしても抜かりがない一冊となっている。

    『死神の矢』
    弓の収集家として名高い考古学者・古館博士。金田一耕助は娘の早苗の婿選びに立ち会うことに。弓矢でハートのクイーンを射抜いた者を婿とする。奇抜な婿選びに面食らう一同。しかし、その後に婿候補の一人が閉ざされた浴室で死体となって発見されて──。胸には彼が射たはずの白い矢が突き刺さっていた!

    那須与一を思わせる奇妙な婿選びに端を発した殺人事件。シンプルな事件のように見えて、先へ進むほどに違和感が積み上がる。状況が明らかになるにつれ、事件に奥行きが出てきて別の見え方になっていくのが面白い。やはり横溝先生は愛憎を描くのが上手いなと。事件に幕を下ろし、新たなドラマの幕を上げるような人情味あふれる金田一の推理も見どころ。

    「きみ、きみ、八木君、なにも怖いことないよ。もう死んでるんだからね。生きてる人間のほうがよっぽど怖いよ」
    金田一のこの言葉が好き。生きてる人間の邪悪さ。誰が本当の「悪」だったのか。正義と悪の狭間に揺れ動く人間の心は、矢では射抜けないのかもしれない。


    『蝙蝠と蛞蝓』
    湯浅順平が住むアパートの隣室へ引っ越してきた蝙蝠のような男・金田一耕助。順平は日頃の鬱憤を晴らすため、裏手に住む蛞蝓女と呼んで観察しているお繁を殺し、その罪を蝙蝠男・金田一へと着せる空想小説を書いた。すると、なぜかその空想は現実のものとなり、しかもその罪は順平に着せられてしまう。不可解な事件の謎やいかに。

    タイトルからじめじめした話かと思いきや、展開もオチもユーモラス。サクッと読める短編で好き。殺人の罪を金田一に着せようとする悪趣味な内容の空想小説は、順平の心理が軽妙に描かれていて滑稽なコントのように読める。その壮大なフリからのラストはあまりの痛快さに声を出して笑ってしまった。30ページほどなのに、ミステリとしてのロジックもしっかり組まれていて無駄がない。

  • 『死神の矢』犯人がクソなのですっきりするけど、何もそこまで自分を犠牲にしなくても…
    『蝙蝠と蛞蝓』短いけどトリックもいいし軽快。第一印象は良くないけど魅力を知るとハマらずにいられない、それが金田一先生。

  • 「死神の矢」は復讐と愛と献身の事件だなぁ、と。一度読んでるはずなのに、よく覚えていなかった…
    「蝙蝠と蛞蝓」は面白い。

  • 2022/03/13読了

  • 事件のあらましがドラマじみているので星3つ。同時収録の「蝙蝠と蛞蝓」は、とても好きな短編でこちらの方がおすすめ。

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著者プロフィール

1902年、神戸市に生まれる。旧制大阪薬専卒。26年、博文館に入社。「新青年」「探偵小説」の編集長を歴任し、32年に退社後、文筆活動に入る。信州での療養、岡山での疎開生活を経て、戦後は探偵小説誌「宝石」に、『本陣殺人事件』(第1回探偵作家クラブ賞長編賞)、『獄門島』『悪魔の手毬唄』など、名作を次々に発表。76年、映画「犬神家の一族』で爆発的横溝ブームが到来。いまもなお多くの読者の支持を得ている。82年、永眠。

「2022年 『真珠塔・獣人魔島』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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