- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041124413
作品紹介・あらすじ
私は幽霊を見ない。見たことがない。さらに目が悪い。心眼でも見えないし、知覚する脳の器官も機能しない……。だけどいつでもどこでも怖がっている筋金入りの怖がりだ。そんな著者は怪談専門誌で怪談実話を連載することに。そこで小学校時代からの恐怖体験を紹介。築百二十年の小学校の女子トイレには、“四時ばばあなる老怪女”や“病院で死んだ三つ子の霊”が出現すること。大学時代の友人たちから怖い話を聞き取りしたこと。友達の友達のお姉さんがイギリスのホテルで胸苦しくて目覚めると、金髪の白人女性がなにかをまくしたてながら首を絞めてきた話や、所属していたカメラクラブの部室の廊下を首のない女が走るという話などを思い出す。芥川賞を受賞し、上京した際には、編集者や出会った人たちからの聞き取りを怠らなかった。タクシー運転手が背負った自殺者の霊の話、マン島で見た妖精のような小さい人と目が合うとウインクしてどこかへ消えた話、自分が殺される夢を見たその夜に殺人事件が起こった話、深夜誰もいないトイレで鳴らされたナースコールなど。心霊体験をしたいがために、徳島県の廃墟ホテル訪問したり、レジデンスで訪れたアメリカで出ると言われているホテルに泊まったが幽霊には出会えず。幽霊には会えていないけれど、幽霊とは何かという問いの答えは知っている。“幽霊とは、生きているときに上げられなかった声”だ。私たちは誰であれ今でも、上げられない声を抱えながら生きているから、こんなにも幽霊を追い求めるのだろう。著者の幽霊探しの旅は続く。文庫化にあたり、書下ろし収録。【解説】朝吹真理子 【カバー絵】アンジェラ・ディーン
感想・レビュー・書評
-
著者初読み。「私は幽霊を見ない」の言葉から始まる怪談蒐集。笑えるのに生々しい不思議話が怖くて夜読むのを中断してしまった。怖がりだと言う著者が先輩達との旅で寝坊したり英語できないのに米国に3ヶ月滞在などと面白くて他も読みたくなった。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
怖がりだけど、幽霊を見たいと思っている著者の
様々な怪談を集めた記録集です。中々幽霊に遭遇
できない著者の思いに少し共感できる部分が多く
ありました。信じていないけども実際に見てみたい
し、体験してみたい。中でも四国に講演に行った時のお話が良かったです。先輩作家と四国の有名な
心霊スポット訪れたのだが、幽霊を見ることが出来なかった。ここまで、アグレシッブに幽霊に対して
興味がでるところが印象的でした。 -
ホラー好きだが、怖がり。でも幽霊は見たいという著者の気持ちに共感。こちらが気づいていないだけで本当は幽霊に出会っているかも…?!
-
ところどころクスッと笑える。
私も幽霊は信じないけれど、幽霊は怖いし、不思議な話を聞くとおおっ!となる。聞くのは楽しい。
著者のこのスタンスで集めた怖い話って読んだことがなかったので、なかなか面白く読めた。
あと、本筋とは関係ないのだけど、ニコラス・ケイジだけでなくドニー・イェンの画像をせっせと保存するようになったと書かれていて、好感度爆上がりした。
私はこの著者を推そうと思う。 -
色んな意味で生々しい
幽霊怖いしチビるほどビビってるけどホラー映画とか大好きやし体験をどこかで求めてるの分かる -
『ピエタとトランジ』がとても好みだったので、同じ作者さんのエッセイだ! とわくわくして読み始めました。
怖い話はとても苦手です。ホラー映画の予告編も見ないようにしているし、「貞子」と文字を見るだけで不安な気持ちになるくらいの怖がりです。
「私は幽霊を見ない」と堂々宣言しているので、幽霊ぜんぜんいないよ〜というようなコミカルな文章を期待していました。
想像していたより怖かったです。
「私は幽霊を見ない」と強調しているところが逆に怖いです。
藤野さんの不思議体験(怪奇に近いものもある)が、飄々とした、ぜんぜん怖がらせるつもりのない文体で綴られており、開いたまま終わる物語じみていて怖かったです。
「怖い話」なら、怖いものが出てきて、怖かったー! となって終われるのに、まあ幽霊とかじゃないからねというテンションが貫かれていて、いや、それ、そうですよね? と不安な気持ちになります。
また、藤野さんが会うひと会うひとに聞きまくった怖い体験や話がたくさん紹介されていて、それはもう普通に怖かったです。
怖いなかに、挟まるニコラス・ケイジが印象的でした。
怖い話が好きなひとには物足りないかもしれませんが、わたしにはじゅうぶん怖い本でした。 -
楽しかった。幽霊を見ないという著者の語り口はユーモラスなのに伝聞の小さな不思議な話が積み重なって地味に怖くなってくる。幽霊を見ないと言いながはも不思議なことはいくつか経験されているのがちょっと羨ましいような気もしつつ、私は怖いからリアルにはいいかなとも思いつつ読んだ。
-
☆4.5
-
実話怪談集までいくと形式性が強くなる。エッセイくらいの語り口がいい距離感を生むのかもしれない。友人の友人の親戚……だと離れすぎ? こわいもふしぎの塩梅。
著者プロフィール
藤野可織の作品





