夏の陰 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 125
感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041124437

作品紹介・あらすじ

実力を持ちながら、公式戦を避けてきた岳。父が殺人を犯し隠れるように生きる岳は、一度だけ全日本剣道選手権に出場する。立ちはだかったのは、父が殺した男の息子だった――圧倒的筆致で描く罪と赦しの物語

感想・レビュー・書評

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  • 殺人犯の息子と その男に警察官の父を殺された息子。
    父親の虐待に苦しんできた息子と 庇護されて育った息子。
    加害者の息子として 被害者の息子として 二人はそれぞれの苦悩の中、大人になっていく。
    そして、亡くなった警察官を想い二人は剣道に打ち込んでいく。
    加害者の息子が社会で息を潜めながらも 真摯に生きる姿に苦しくなる。
    理不尽な父親の死を受け入れられない心情も苦しい。
    過去の清算の意味も込められた二人の一度だけの試合まで とても引き込まれて読みました。

    このラストが相応しいと思いつつ、もう少し救ってあげてほしい気持ちもありました。

    • aoi-soraさん
      これも岩井圭也さん!
      面白そう
      これも岩井圭也さん!
      面白そう
      2024/04/20
  • --------------------------
    殺人犯の息子
    vs被害者の息子

    剣道を介して出会ってしまった岳と和馬。
    ラスト2ページで必ず涙する、罪と赦しの物語!!
    -------------------------
    岩井さん4作品目です。
    突き抜けた落差が激しい(心が揺れる)のは「文身」が一番でしたが、私は本書も好きでした。

    被害者と加害者の家族。
    どうしたって切れない縁。
    だけど、「その日」を境に決定的になる。
    それを著者は本書のなかで、
    自分に名札が付く日と表現していました。

    たらればが溢れて、
    当人たちの気持ちなんて関係なく、
    周囲は騒ぎたて、
    嫌な目で見たり、誹謗中傷したり、
    怖がって近寄らない人も。

    だけど、
    家族は家族、
    自分は自分で。

    死ぬまで囚われ続けるのか。

    どうしようもない父に暴力を振るわれ、
    家庭をめちゃくちゃに破壊された岳。
    立てこもり事件に駆け付けた機動隊として、
    殉職した父を持つ和馬。

    和馬の父を殺したのは、岳の父。

    人の気持ちや感情は、
    正論では片づけられない。

    何とも言えない気持ちでしたが、
    読後は良かったです。

    お互いずれてたフォーカスが合った瞬間、
    二人の青年の未来が見えたような気がしました。

  • とても引き込まれました。

    剣道があるから生きて来れた2人。

    エピローグにホロリ(/ _ ; )

  • こちらのアプリが履歴を見ておすすめしてくれたので読みました。岩井先生は初読です。

    結論からいうと、面白くて一気読みでした。被害者の息子と加害者の息子の両面から描くことで、どちらの苦悩にも思いを馳せることができました。
    事件の真相が段々と明らかになりますが、最後まで読むと様々なことが腑に落ちます。

  • 互いの人生を狂わせた忌まわしき事件から15年、加害者の息子と被害者の息子は剣を交え、対峙する―。日陰に生きてきた第一章の主人公・岳が新たな一歩を踏み出す姿に思わず胸が熱くなるし、彼を支える柴田の役回りも物語に奥行きを持たせている。しかし、第二章の主人公・和馬とその周辺人物のキャラクター造詣は前者に比べて詰めが甘く、両者の対比は物語の牽引力としてやや脆弱な印象を受けた。両者が対話する第三章の試合場面や、取って付けたようなエピローグも些か凡庸的。期待値が高い作家だけに、小さくまとまってしまったのが惜しまれる。

  • 加害者の子と被害者の子。
    二人に降りかかる出来事がどうしようもなく理不尽で辛い。
    孤独と虚しさと憎しみに蝕まれながらも、剣の道に生きる二人の邂逅に引き込まれた。
    最後は思わず涙した。

  •  殺人加害者の息子と、殺人被害者の息子が剣道を通して向き合う話。
     うーん、正直、殺人加害者の息子に恨みを抱く気持ちがわからなかった。だって、事件当時、息子は中学生だよ?しかも父親に暴力を受けて育っている。
     それを知っていてそいつも加害者家族だから謝るべき、加害者の子どもがのうのうと生きているのが不快、という気持ちが理解できない。
     加害者の親なら憎む気持ちはわかる。だってそいつを育てたのだから。高齢父が加害者で成人した息子なら、それはそれで監督責任を考え憎むのもわからないでもない。
     でも、当時中学生の子どもに親の犯罪の責任を問う?しかもそのために人生不幸になるべき?
     坊主憎けりゃ袈裟まで憎い、という気持ちなのかな、と想像はできるけど……。

  • 警察官殺しの父親をもつ岳、父親を射殺された遺児和馬。加害者の家族として、被害者の家族として、自らの責任で無い苦労を背負いこんできた二人が、剣道の道を歩み、全国大会京都予選で竹刀をまみえる。

    加害者の家族なんだから罰を受ける…そんな考えはナンセンスだと思う。そういう考え方は明らかに差別だと思うが、反面、家族を殺された被害者の家族からしたら、一体誰にその哀しみをぶつければいいのかという気持ちになるのも当然である。

    岳が可哀そうで和馬は身勝手…そんな単純なものではないことは、被害者や加害者の家族になったこともない一読者の俺でもとてもよくわかる。正解はない話なんだろう。重たくて読んでてツラい。でも読んでおかないといけない物語なんだとも思う。

    最終章は偉大なる蛇足だと思った。

  • 加害者の家族、被害者の家族。それぞれ違うはずなのに、どちらも生きづらさを感じる。どちらも過去に囚われてしまう。

  • 警察官を殺した父を持つ岳と,遺児の和馬。岳は目立たぬよう生きてきたが,和馬は父殺しの息子を許さない。剣道の才能に秀でていた二人は,やがて試合で相見えることになる。和馬の父が自らの命を顧みず撃たれなければならかったのは何故なのか。/岩井圭也を読むのはこれが3冊目,多分野にわたって力作を発表し続けているようで,感心する。

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著者プロフィール

いわい・けいや 小説家。1987年生まれ。北海道大学大学院農学院修了。2018年『永遠についての証明』で第9回野性時代フロンティア文学賞を受賞(KADOKAWAより刊行)。著書に『文身』(祥伝社)、『水よ踊れ』(新潮社)、『この夜が明ければ』(双葉社)などがある。

「2021年 『人と数学のあいだ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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