ミカドの淑女 (角川文庫)

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  • KADOKAWA (2022年6月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784041124536

作品紹介・あらすじ

その歌の才により皇后の寵愛を受け、「歌子」と名付けられた女官がいた。しかし、その後女は“妖婦”と新聞で取り上げられる。明治の宮廷を襲った一大スキャンダルの真相を暴く、林真理子最初の歴史小説。

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

明治時代を舞台に、女性の力とその影響力を描いた物語が展開されます。主人公は、皇后の寵愛を受けた女官、下田歌子。彼女は、最下級の女官から学習院女学部長という地位にまで登り詰め、その過程で多くの歴史的人物...

感想・レビュー・書評

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  • 赤い表紙が印象的だった、新潮版「ミカドの淑女」が以前からずっと気になる存在であったが、読む機会を逃し続けてきた。あれからしばらく経ち、青い花の装画が美しい角川版の発売を知り、ようやく手に取ってみた。
    時は明治。宮中に出仕して皇后様に寵愛を受け、異例の出世をした後、女子教育の普及に尽力した女性、下田歌子。そんな彼女が、明治のタブロイド的存在の「平民新聞」に、「妖婦下田歌子」という連載で数々のスキャンダルをすっぱ抜かれる。本書は、連載の新聞掲載日に合わせ、歌子にまつわる人々の反応と歌子のこれまでの歩みを絡めながら展開する。
    語り手によって、歌子の人物像も様々に揺れる。尊敬すべき先生なのか、男を手玉に取る悪女なのか…捉え方が語り手の主観でくるくると反転する。一体何が正しいのか、翻弄されながら読み進め…次第に点と点がつながり、徐々に浮かび上がる歌子像。その過程にゾクゾクする。
    伊藤博文、乃木希典等明治の重要人物が多数登場するが、歴史小説の面白いところは、見る角度によって人物像が変わるところ。改めて、彼らの知らなかった面を垣間見ることができ、混沌とした明治時代をもっと知りたいと思わされた。下田歌子についても今までよく知らなかったし、本書で初めて知った人物もいたので。そして、明治の宮中の描写も興味深く読んだ。
    原文のまま載せた「平民新聞」の記事が読みにくかったけど、内容がなかなかに生々しいから…読みにくくてかえってよかったかも。しかし、ゴシップがはびこるのはいつの世も変わらないのかと何とも言えない気持ちになる。他にも色々と、今の世と重なる部分があって、複雑な思いにかられた。
    朝井まかてさんの解説も、大変素晴らしかった!作品と作者の魅力を十分に伝えてくれた。林さんの歴史小説、他にもチャレンジしたい。

  • ミカドとは明治天皇、そして淑女(おんな)とは下田歌子のこと。
    最下級の女官として宮中に出仕した女性が、歴史に名の残る偉人たちとの遍歴を経て、学習院女学部長という、その当時女性では最高の地位にまで登り詰める。
    男性が彼女に翻弄させられる反面、帝よりも皇后が彼女を溺愛し、そして学習院では女生徒たちからの信望も厚い何とも不思議な魅力を持った人物。
    そして驚いたのは乃木希典将軍が、学習院初代学長を務めていたということ。彼は明治天皇から溺愛されていたらしい。
    この本には歴史上の有名人が意外な素顔で登場する。

  • 林真理子さんの描く下田歌子に吸い込まれていった。いったいこの人はどういう人なんだとどんどん興味が湧いてくる。
    宮中に入り皇后に寵愛され歌人として名を上げていたが、一方では薄暗い宮中ではひそひそと噂の的、波風を起こしている。
    社会に戻れば華族女学校、学習院女学部では校長として奮闘していたが、伊藤博文、山縣有朋他、調べればすぐ出てくる男性と浮き名を流す。華やかな鹿鳴館、賑やかな声が聞こえてくる中で歌子への冷ややかな眼差し。
    平民新聞のあれは本当だろうか?指導者として、女としていろんな面をもつ下田歌子がそこにいた。

  • 新聞で紹介されているのを読んで興味をもち、図書館で借りて読んでみた。これまで下田歌子のことは名前すらも知らなかったが、読み終えた今、さらに色々な人物について深く知りたいと思うようになった。30年前も、林真理子の筆力は流石である。

  • タイトルのみで手に取ってみたが、普段は全く読まない時代小説であったので「読み切れるだろうか?」不安に思いつつも読み進めました。

    歴史が違って習わしが違えど、人間の本質は変わらず、、下田歌子をとりまくスキャンダルや人間関係の恨み妬み等はなんとなくですが読み取ることがでました。目立った才能は好奇の目で見られ、何かと噂されてしまう。

  • 下田歌子さんと平民新聞の書くスキャンダルが、帝を含む様々な人の視点から描かれる話。

    まずは明治時代の宮中の描写に驚いた。袴に白化粧、平安時代の流れのまま存在しているようだ。この宮女たちは昭和の時代になったときに消えていったのだろうか。

    下田歌子さんは学生時代にレポートのテーマにしたが、その際は良妻賢母を育てていることの是否を分析した。この本は単純に日本を良くしようという下田さんより、人間としての生々しさがあった。

    そして、こんな小説は戦前は世に出ることはなかっだろうと想像させるのも面白い。

  • 下田歌子という女官を周りから見たらこういう人だったという説明が多く、どんな生き方だったのかよくわからないまま挫折しました

  • 林真理子は好きでよく読んだ。
    時代小説は苦手意識があり、
    今まであまり手に取らなかった。
    題名が現代にも通じる品の良さ、お洒落な
    透明感みたいなものを感じ、
    手に取った。

    朝井まかての解説も秀逸、
    「帝の淑女」ではなく「ミカドの淑女」の
    片仮名表記であることの象徴性、
    明治という時代そのものが「ミカド」であると。

    本作の真髄と魅力の源泉はこの真の
    「野心」にこそあり、
    ゆえに令和の今に乱反射していると。

    この乱反射という言葉が
    言い得て妙であると感じた。

    歴史が重奏となって響いてくる。
    野心の自覚の有無はさまざまなれど、
    世で大きく呼吸したいと願う女たちに
    つきまとう苦難は現代もさして変わらぬのでは
    ないかと思われる。

    だからこそ林真理子の小説に勇気づけられる。
    林真理子の声はやわらかだ。
    ふっくらとしている。と結ぶ。

    確かに!と納得する。
    彼女の小説には、どの時代、
    どんな設定にあっても、
    そこに女が自分で立つ強さとしなやかさを
    感じる。吹き付ける風の強さや長さは
    さまざまだ。
    下田歌子…魅力的だ。
    皇后のご寵愛を受け出世を果たすが、
    やはり彼女は孤独だったように思う。
    妖婦とされ、名だたる男性との関係は多々あれど、
    同性の味方は少なかったように思う。

    ともに並び、時代を走る同性の同士がいたならば、
    きっと結論は違ったはずだ。
    彼女だからこそ、女の中で生きたいと
    「わたくしの夢は、いつか宮中に戻ること」
    であったのではないか…と
    私は思っている。

  • 20220719

  • 明治40年。かつて明治天皇の皇后の寵愛を受け、今は学習院女学部長を務める下田歌子の醜聞が、社会主義の「平民新聞」に連載される。
    女子教育の第一人者にして、女学生たちの敬愛を一身に集める歌子の突然のスキャンダルに、その記事を目にした明治天皇をはじめ明治政府高官や女官、歌子その人は何を思うのか‥。
    一方的な嘘の記事かと思いきやどうやら一定の真実も混じっているようだ、と気づく。(もちろん、この小説の中では、の話。)いつの時代も、物書きの心を駆り立てる女性の人生はドラマチックなだけでなく強かだ。今度は明治天皇の皇后にも興味が湧いた。

  • 乃木希典は最後まで堅物として描かれていてホッとした…。

  • 途中までは面白かったんだけどなぁ。
    宮中のしきたりとか。
    無知で申し訳ないのだか、そもそも下田歌子を知らなかったのてこの本がどこまで史実に基づいてるのかわからない。
    でも男はなにも分け与えてはくれないというのは、正しいなと思った。
    結局、新聞に載ったスキャンダルはどこまで事実だったんだろー

  • 私にとっては馴染みのない時代の本でした。
    けれども、今まで名前しか知らなかった方々が生き生きと動く姿が想像できて楽しく読めました。これを機にこの本で登場した方々のことをもっと知りたくなりました。

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著者プロフィール

1954年山梨県生まれ。日本大学芸術学部を卒業後、コピーライターとして活躍する。1982年、エッセイ集『ルンルンを買っておうちに帰ろう』を刊行し、ベストセラーとなる。86年『最終便に間に合えば』『京都まで』で「直木賞」を受賞。95年『白蓮れんれん』で「柴田錬三郎賞」、98年『みんなの秘密』で「吉川英治文学賞」、13年『アスクレピオスの愛人』で「島清恋愛文学賞」を受賞する。18年『西郷どん!』がNHK大河ドラマ原作となり、同年「紫綬褒章」を受章する。その他著書に、『葡萄が目にしみる』『不機嫌な果実』『美女入門』『下流の宴』『野心のすすめ』『愉楽にて』『小説8050』『李王家の縁談』『奇跡』等がある。

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