- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041124567
作品紹介・あらすじ
大学で日本文化史の教授を務める小宮山香織の元に、教え子の星野はるかから相談事が持ち込まれた。実家の旅館が所有していた明治期を代表する洋画家・高橋由一の油彩画を美術館へ売りに出したところ、贋作の疑いをかけられたというのだ。旅館の経営維持のためには売却が必要で、香織にその絵が真筆であることを鑑定してもらえないかという。関山の隧道を描いたその油絵《隧道図》は、はるかの祖父が地元の名士から譲り受けたものだった。《隧道図》を調べ始めた香織はやがて、明治期の山形での道路事業に絡む、女性失踪事件が鍵を握っていることにたどり着き――。
感想・レビュー・書評
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謎だらけの一冊。
明治時代の隧道を描いた一枚の油絵は贋作なのか、大学教授らが迫るミステリ。
真贋どちらかの謎、描かれた時に前後して起きた女性失踪事件、隧道建設を取り巻く騒動は関係するのか謎だらけの油絵に隠され秘められた意図が次第に浮き彫りになっていく過程は明治と現代を行き来し終始惹きつけられた。
裏向きの意味、遺された言葉の意味といい細かな点も謎の輪を大きく広げ真相へ導いてくれた気がする。
さまざまな心情をも閉じ込める絵画の奥は想像するほど興味深い。
巧みな一計にはなるほど。
そして手紙が動かす人の心、そこにほろり。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
サクサク進んだ。
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話がちょっと複雑で、最後まで読まないと謎は全く分からない。
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若き大学教員に依頼された、高橋由一の油絵の真贋鑑定。その調査は明治12年の、未解決の令嬢失踪事件へと遡る。当事者が残した日記などを基にその事件を調査するが、その最中、敵対する名誉教授が殺害される。明治と現在が交互に展開されてページが進む毎にジワジワと面白さは加速する。史実を絡めていたり、当時の関係者の子孫を巻き込む構図が面白い。ラスト50ページの事件の解明と真贋を見極める公聴会のシーンに興奮しながら読み終えた。
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ちょっと専門的だけど、そんなに読み難いことなくて悪くない。全体のストーリー構成もいいし、終わり方も好き。この手の美術品物は早逝された北森鴻さんを思い出す
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現代の油絵の真贋問題が明治に起きた女性失踪事件にリンクしていく感じがいいですね、面白かったです。その謎のアプローチみたいなものがとても好みだったんですが、真相は「こうなんです!」と提示されても・・・いまいちピンとこないというか。有無を言わせない物的証拠!みたいなものじゃなくて想像が結構補完してないか?と思ったりも。
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大学教員がその専門性と洞察力で粘り強く現在と過去の事件を解決。あまり最近は推理小説を読まないけど、楽しめました。
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斜め読み
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日本文化史の准教授・小宮山香織のもとに、教え子から相談事が持ち込まれた。山形の実家が所有する油彩画に、贋作の疑いがかけられたという。真贋を調べる香織はやがて、描画当時の事件が鍵を握ることに気づくが…。
実在した有名作家高橋由一の油絵に纏わる物語。作者が克明に調べた上での労作で、ノンフィクションかと思わせるほどの美術ミステリーだった。高橋由一を知っていればもっと楽しめただろうけど、そこは私の不徳の致すところ。
(Ⅽ)
著者プロフィール
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