聖女ヴィクトリアの逡巡 アウレスタ神殿物語 (角川文庫)

著者 :
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本棚登録 : 71
感想 : 2
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041124925

作品紹介・あらすじ

アウレスタ神殿の物見の聖女、ヴィクトリアは、霊や魔力を視ることができる。
その力で、エデルハイド帝国の帝位継承にまつわる陰謀と、騎士アドラスの出生の秘密を明かしてから一ヶ月――。
ついに帝国の皇帝が崩御し、十人の候補者の互選によって次代皇帝を決める継承選が始まった。
だが、ある候補者の策によって、帝位を望まないアドラスが新皇帝として選出されてしまう。
再投票のためには、候補者全員の同意が必要で、同意の交換条件として、皇帝の謎めいた死の真相を明かすことを求められる。
ヴィクトリアは物見の力を生かし、真実を解き明かすことはできるのか……?
大反響の西洋風ファンタジー×ミステリ、第2弾! 

感想・レビュー・書評

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  • 霊や魔力を視る能力を持つ物見の聖女・ヴィクトリア。彼女が帝位継承にまつわる陰謀を解き明かして数週間。皇帝の不可解な死に端を発する継承選が始まった!彼女は継承選の中で真実を見通すことができるのか?!

    皇帝の自害から始まる継承選。皇子・皇女たち十人に秘めた思惑。継承選のルールを利用しながら、舞台となる大聖堂から逃げられなくする心理的な密室が構築されるのが面白い。疑心暗鬼&閉じ込められた大聖堂で真実を探すヴィクトリア。しかし、真実を語るには証拠に加えて信用が必要だという壁に立ち向かうことになる。

    聖女という中立な立場である以上、アドラスと親しくするわけにはいかない。何ともやきもきさせられる展開に。そんな中でも、お互いにできることを誠実にするところがアツい。後半のカオスな展開からの真相がさらにカオスで、伏線はあるもののミステリとしてはアンフェアかなと個人的には感じた。いくらなんでもあの概念は推理できないと思うので…。

    継承選を引っかき回す第一皇女・レーゼがいい味を出してた。人間味があって好き。第一皇子・ロディスもレーゼやアドラスたちに照らされて、キャラの輪郭がくっきりしてきたのもよかった。帝国の話はこれにてひと段落で、今後は一気に世界が広がりそう。前作ほどのミステリ感はないものの、ファンタジーとしてはとても読み心地がいい作品だと感じた。たぶん次回作もあるのかな?どう話を展開させるのか気になる。

  • ファンタジー要素(魔法)がトリックに絡むとはいえ、しっかり謎解きが楽しめるのが、この物語の魅力。
    ヴィクトリアは実際、刑事よろしく丁寧に証言を集めていく。
    今回は特に結界の中に閉じ込められた中、つまり外部からの応援も情報もない中、皇帝の死の真相を探っていくという難易度の高い謎解き。
    しかも、結界内でも死人は出るし、まさにクローズドサークル。
    こんな状況で、現場も遺体の再確認すらできない状況で真相に迫れるのかと心配になったのだが、そこはさすがヴィクトリア。
    できてしまうのである。
    そして、結界内ながら、しっかり大立ち回りもある。
    ヴィーが心配でたまらないアドラス、今回もバリバリ腕力で物言わす場面あり。

    様々な人からの助言もあり、徐々に足元固めができてきたヴィクトリア。
    一方で、沈むときは静かに沈む、勝つつもりも引き分けるつもりもない負け戦と自覚しているアドラス。
    ラストの寂しげな笑顔が、自分も忘れられない。
    彼の負け戦がせめて引き分けになる日は来るのだろうか。
    夢見てならない。

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著者プロフィール

東京都出身。医師。2020年、焦田シューマイ名義で『結婚初夜のデスループ 脳筋令嬢は何度死んでもめげません』(双葉社)でデビュー。同年、「無能聖女ヴィクトリア」で第6回角川文庫キャラクター小説大賞〈奨励賞〉を受賞。

「2022年 『聖女ヴィクトリアの逡巡 アウレスタ神殿物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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