砂の宮殿

  • KADOKAWA (2023年3月17日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (352ページ) / ISBN・EAN: 9784041125373

作品紹介・あらすじ

外科医の才所准一は、大阪で海外富裕層向けの自由診療クリニックを運営している。
抗がん剤・免疫療法の趙鳳在、放射線科の有本以知子、予防医学の小坂田卓という優秀な三人の理事とともに最先端のがん治療を提供し、順調に実績を重ねていたところ、久しぶりに訪ねてきた顧問が不審死を遂げる。
これは病死か事故か、それとも――。
高額な治療費への批判も止まず、クリニックに吹き荒れる逆風に、才所はどう立ち向かうのか。

みんなの感想まとめ

医療の最前線を描く本作は、海外富裕層向けの自由診療クリニックを運営する外科医が、顧問の不審死をきっかけに巻き起こる疑惑や批判に直面する姿を描いています。物語はテンポよく進行し、主人公を取り巻く様々なエ...

感想・レビュー・書評

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  • 関西国際空港の近くで、海外富裕層向けのクリニックを運営している才所准一は、優秀な理事3人とともに最先端のがん治療を提供している。

    その才所に降りかかってくるさまざまな批判。
    なんなく収まったかのように思えた顧問の不審死を問題視する輩に次々と湧き上がってくる疑惑。
    どうなる…才所と読み進める。

    最新設備を誇る自由診療の是非を問うテーマかと思っていたが、それに隠されて不審死が重なってくる。
    医療ミステリーだろうが、なにやらスッキリしない結末なんだけど…。

  • 医療従事者にとっては、重い病気や障害を患者に伝える事に躊躇いは、あると思う。でも、本当に病気や障害に向き合う為には、オブラート等には包まずに、ありのままを伝えて欲しい。

  • <走>
    久坂部羊。若い作家かと思ったら,なんと僕より4つも年上だった。始めて読む作家のような気がしたので僕の既読書に彼の作品はあるのかどうか「ブクログ」で調べた。(「読メ」は調べられないつくりになっている。もうこの事は何度も何度もここには書いたが,何度書いても,もう読メ使うの辞めたろかいな,と思うのであったw) で,無かった。もしあって久坂部がどういう作品を書くのか知ってたら本書は読まなかっただろう,位に,プロとしてこんなの書いて出版してホントにいいのか,と思ったのであった。

    物語の展開はとにかく早い。しかも主人公医師の周りのいくつかのエピソードが並行して進んでいて次から次へとそれらの話が展開してゆく。こりゃとてものんびりと読む,という訳にはゆかない作品なのだ。 で,もしかすると久坂部の作品はその時に交わされている「論争」における「優位性」を常に論点にしていて,それはそれでまあ面白いのだけれど,ハッキリ言うとそればかりを強調している。つまりはいわゆる「ディベート」だけを小説の売りモノにしているのか!? ”文学性”は皆無だと思った。

    今作は表紙カバーの絵は最初にチラリと見ただでどんどん読み進めたが,終盤近くになってあらためてその絵を見てみた。おそらく主人公格の医師達と思しき三人の姿が描いてあったが,どれも中身を読み進めて僕が頭に思い浮かべたのと違う。ここまで違うのもまあ目づらしい。普通は描き上がった候補の絵を著者にみせて,それでいいかどうかを確認する筈で 今作もおそらくその過程を経ていると思う。と 云う事は著者の想う主人公たちの見た目と僕の想像したそれとは大きく異なるという事なのだなぁ。僕はこの件で何かを感じた。

    主人公医師が物語の語り手なのだが,その語り手が「物語の進行説明」の際に読者に対して平気で嘘をついて話の謎を深めている。それって小説作品のルールとして許されるのだろうか。登場人物の間で嘘をついて物語を面白く展開してゆくのはまあ普通だが,「語り手」が読者に嘘をつくような作品はもう商業ベースには乗せてはいけないのではなかろうか。(同人誌レベルで留めておいて欲しい) この本を最後まで読んで僕が激しい憤りを感じた事の原因はおそらくそういう事で説明が付くのだと思う。皆様 本書は読まぬ方がよいですぞ!

  • 途中、色々追求されていくのが怖くて、飛ばし読みをして読み終わった。
    ずっと良い人が、追求されて可哀想だなと思っていたら、まさかの悪い奴だった…
    悪い奴だと分かってたら、ドキドキしないで読めたのにな。

  • 主人公をはじめとして登場する医者がみんな自分第一でまったく好きになれない。
    そんな珍しい本だ。

  • 海外からの富裕層の患者を自由診療により診療するカエサル.パレスクリニック。豪華な病室や高価な医療機器で先進的な医療にて保険適用外の診療をする。ウン千万円とかウン億円の医療報酬を得る。一般市民にはかかれないクリニック、国民皆保険制度を覆す。理事長であり外科医である才所の医師としての矜持と黒い疑惑が見え隠れし、顧問の不審死などから他の理事との亀裂に発展。我々とはかけ離れた次元の話であったが、医療ミステリーとして面白くいずれにしても大変だなとため息が出た。才所准一の築いたのは砂の宮殿如く波に崩れたということか。

  • 久坂部羊さんの医療サスペンス!ということで、気合いを入れて読み始めたが、福井教授の謎の死をきっかけに主人公やクリニックが危機に直面するあたりまでは面白かったが‥

    まさかの語り手主人公が犯人だったとは。
    ちょっと掟破りでしょ。ずるいな。
    ブログに感想載せる気は無くなりました。

  • 最初は難しい医学用語が飛び交い読みにくいかも…と思っていたけれど、物語が進むに連れてぐいぐいと引き込まれていった。末期癌の患者に真実を告げるべきか希望をもたせるようにするべきか…大きな石を心の深いところに投げられた気分になった。ひさしぶりに小説を読んで考えさせられる作品に出会った。そんな1冊。
    砂の宮殿はタイトル通りの話だった。

  • 患者に対して誠実・真摯で病名を愚直に伝える医師と、患者に噓の病名を伝え生の希望を与え続ける医師の二択で揺れつつ、同じく大事な人を自殺で失い、ようやくそれは患者次第であることを体得する主人公の姿を描く。目的のために手段を選ばぬ姿勢は偏執的すぎて主人公に感情移入はできないが、久坂部氏のいつもの医療の問いかけ自体は面白い。だが、このプロットと描き方はミステリーとしては禁じ手で小説としての面白さを自分で壊してしまっている。ミステリーとしては読まない方がよい。

  • 先が気になりどんどん読み進めれる小説で、なかなか面白かった。
    患者に何か起こってしまうのか?と思わせぶりな展開で話は進んで行き、終盤からはミステリー小説の色が濃くになって行きました。
    事件の真相暴露が少しあっさりし過ぎでは?とも思いましたが、犯人らしくても実は犯人ではなさそうな人が犯人で、そう来るかぁ!?と思いました。
    エピローグはもう少し深堀して欲しかったです。容易に顛末が想像出来る終わり方でしたが、良しとしましょう。

  • 癌の先進医療をテーマにした作品で保険医療との関係性が学べ、最近歯医者通いで自由治療と保険治療の差を痛感する身としては、生死を分ける癌治療のある意味闇に触れる思いで完読。
    医師の医療に対する考え方の違い、臨床研究と治験医療、検査と治療、専門医科等々の立場による違いで千差万別の治療が有ると感じる。深刻な病状を患者へ告知に関しても主人公の才所も悩み、父の死を教訓とした考えも恋人を真逆の考えで亡くし結局、患者其々の考え方に依ると悟る。

    カエサル・パレスクリニックは理事長のロボット(ダビィンチ)の使い手外科医の才所を筆頭に放射線科女医の有本、腫瘍内科の趙、予防医学の小坂田3人の理事で癌細胞の見える化CCC法による集学的集中治療で海外要人相手の高額治療を専門に営む。
    CCC法治療は、ステージⅣのリンパ転移癌に対しても治療成果を上げ海外の要人から高額な治療患者を受け入れ順風満帆だったが。。。病院設立時に世話になった大阪医師会の重鎮福地の不慮の死から週刊誌ネタで色々と取材を受ける。時を同じくし有る王女の癌治療を受け入れる。才所のこの治療方針に違和感を持った有本が袂を分ち、趙も過去の病院設立、才所の過去の闇を知り病院を去る。才所は恋人がステージⅣの卵巣癌を治す為、自分の病院に転院させるが良かれと思って告知を避けて治療を始めようとする。しかし恋人は自殺をはかり遺書で告知を伏せた事も一つの要因である事を知り父の死で学んだ自分の信念が揺らぐ。同僚理事2人、恋人が去った後、再起を計るべく登院するも小坂田が才所の過去の闇を趙から聞き理事長の座を奪われる。元恋人と訪れたベトナムに向かう途中、病院では小坂田が殺される。小坂田は保険として自分に何かあれば才所の過去の闇が公に晒す事を策略しており、その後は???で終える。

  • 医療小説とミステリーを合わせたような作品。医療小説の面だけを取り上げれば☆3つ。患者への告知をどう捉えるのかと言う真逆な問題を提起していて面白かった。ただ、邪魔者は消して行くパターンは幼稚かな。

  • 題材的にとても面白い。
    医療は国民に公平にあるべきだ、というマスコミの主張に対して、医療だってビジネスと捉えれば投資をして利益を出すというモデルも全く違反でもなくあっても良いのではないか?ということ。
    惜しげもなく設備投資をして、お金持ちの命を救ってしっかりと儲ける。それ自体はおかしくもなく、マスコミと対決をしながらもストーリーは進んでいくのだが。
    我が身を守るために実は…ということが後半になって少しずつベールが剥がされていく。
    途中までは主人公に感情移入しているのだがあれよあれよという間に展開が変わっていき、金儲けもたいがいにしろ、とう気持ちになってしまう。
    お金がかかる最新医療とさらに進んでまだ完成されていない医療技術をどう使うか、問題提起だ。

  • 何を信じればいいのかわからなくなりそうな物語である。
    理想という隠れ蓑の下、利己的な欲望に衝き動かされる浅ましさが、胸をえぐられるような心地にさせる。
    まったく、何を信じればいいのだ!?

  • 海外の富裕層向けに、自由診療で高い水準の医療を提供する「医療ツーリズム」の功罪をベースにおいたミステリー小説。
    大阪のりんくうタウンにある医療ツーリズム施設「カエサル・パレスクリニック」の理事長・才所准一は、優秀な3人の理事とともに、最先端のがん治療で順調に実績を重ねていた。だが、久しぶりに訪ねてきた顧問の福地が不審死を遂げてから、波風がたち始める。
    死因は病死か事故か、あるいは他殺か。福地は元大学の解剖学教授で才所の恩師。その後、「府立病院機構」のトップとして君臨、才所は、開業に際し、便宜を図ってもらっていた。だが、そんな恩義がある反面、顧問料として多額の見返りを要求するなど、強欲で扱いにくい人物だった。
    そんな折り、才所は、海外患者を斡旋するシンガポールの金持ち華僑ドクター・リーから約10億円でブルネイ王室の王女のがん治療をしてほしいという依頼を受け、了承する。
    その後、顧問の不審死や怪しげな仲介者との取り引きを巡って老練なジャーナリスト・矢倉が動き始める。
    彼の切り口は海外富裕層への超高額”詐欺“治療と日本の皆保険制度を脅かす金儲け主義の医療ツーリズムへの批判。利益率の高い海外患者を優先することで、日本人患者の治療が後回しにされ、医療の公益性、公平性が損なわれ、経済格差が命の選別につながるというのだ。
    矢面に立つ才所は、日本の医療の高度化や医療面での国際貢献という立場で弁明する。だが、巧妙に仕組まれた矢倉との討論会で、論破するつもりが、クリニックの新たな疑惑を指摘される結果となる。
    屈辱感を味わった才所だったが、今度は、クリニックで手術を受け、順調に回復中だったブルネイ王女が原因不明の劇症肝炎を発症、危険な状態に陥り、究極の対応を迫られる。さらに、才所と特別な仲にある女流舞踊家・雅志乃の身体にも異変が生じるなど、次々と逆風が吹き荒れる。福地の妻は夫の死因をしつこく追及し、3人のスタッフとの関係もギクシャクしだし、次第に亀裂が生じる。才所にとって、神経をすり減らす日々が続く。
    起伏の激しい怒涛の展開で読み手はどんどん引き込まれていく。
    一方で、ミステリー性とエンターテイメント性にこだわったためか、才所の人物像に首尾一貫性が感じられなかったのが残念な気がした。
    ステージⅣの宣告を受け他の病院で見放された患者をひたすら救おうとするヒューマニズムと、高度な頭脳を持ち合せたヒーロー的なイメージを終盤、一気に崩す展開はすっきりしなかった。
    ただ、才所ががん告知をしたことで父は希望を失い、がんの真実を知らせなかった雅志乃が不信感から、それぞれ自ら命を断ったという設定は心に重く残った。やはり、がん告知が人によって受け止め方が違うのは現実的で、医者も苦労するところであろうと感じた。

  • 久坂部さん、推理小説は…ちょっと…。無理せず医療小説で楽しませてほしい。「予防医学なんて、命が惜しい人間の弱みにつけ込んで余計な検査と治療で金を巻き上げるのが実態」「ガンの手術は取りすぎと取り残しの闘いである」「たとえ絶望的なことでもわたしは真実を知らせてほしかった」「嘘でもいいから希望を持たせてほしかった」どちらも切実な思い…。

  • 富裕層向けの先進医療は、臨床データをとっていると思えば許せる。
    ミステリーとしてはこの書き方はダメ。

  • んー。
    思っていたより個人的にはあんまり。。

  • 海外の富裕層に向けた高額な自由診療をカエサル・パレスクリニックで起こった顧問の不審死。そこから起こった週刊誌記者による追及や世間からの反発で、代表の才所はどんどん追い詰められていく。彼が目指した理想の医療は間違っていたのか、そして相次ぐ不審死の真相は。サスペンスフルな医療ミステリです。
    タイトルが「砂の宮殿」って、それは崩壊してしまうということですよね……。ということでハッピーエンドにはなりえないのだろうなあ、と予測はしてしまいました。医療ツーリズムの賛否についてはどちらともいえませんが、経済力による医療格差というのはある程度は仕方ないと思うのですよね。クリニックの存在意義については否定しませんが。しかし患者のための医療というのはいったい何なのか、真実なのかそれとも希望なのか……才所は彼なりに最善を考えていたと思うので、そのあたりにはなんともいえない切なさを感じました。

  • 正解のない医療の話だった。両極端の患者に翻弄された主人公が少し哀れだった。

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著者プロフィール

久坂部 羊(くさかべ・よう):1955年大阪府生まれ。小説家・医師。大阪大学医学部卒業。大阪大学医学部附属病院にて外科および麻酔科を研修。その後、大阪府立成人病センターで麻酔科、神戸掖済会病院で一般外科、在外公館で医務官として勤務。同人誌「VIKING」での活動を経て、2003年『廃用身』で作家デビュー。2014年『悪医』で第3回日本医療小説大賞を受賞。小説作品に『破裂』『無痛』『神の手』(幻冬舎文庫)、『老乱』(朝日文庫)ほか。新書作品に『医療幻想』(ちくま新書)、『日本人の死に時』『人間の死に方』(幻冬舎新書)、『人はどう死ぬのか』『人はどう老いるのか』『人はどう悩むのか』(講談社現代新書)ほか。小説、エッセイともに著書多数。

「2026年 『医人の夢』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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