白昼夢の森の少女 (角川ホラー文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 520
感想 : 40
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041125960

作品紹介・あらすじ

異才が10年の間に書き紡いだ、危うい魅力に満ちた10の白昼夢。人間の身体を侵食していく植物が町を覆い尽くしたその先とは(「白昼夢の森の少女」)。巨大な船に乗り込んだ者は、歳をとらず、時空を超えて永遠に旅をするという(「銀の船」)。この作家の想像力に限界は無い。恐怖と歓喜、自由と哀切―小説の魅力が詰まった傑作短編集。文庫書き下ろしの掌編「ある春の目隠し」も特別収録!

感想・レビュー・書評

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  • 常川光太郎としては、内容もページ数も小粒な作品の集まった短編集だった。ホラーというよりSFよりの作品が多く面白かったが、永遠に埋もれてしまう可能性がある作品を集めて文庫化してくれたことが喜ばしい。

  • 不思議な11個の短編集。一番、心に残ったのは、「銀の船」。この話は、今の肉体を脱ぎ捨てて、永遠の存在になり、銀の船に乗って、時空を旅するという話ですが、永遠の命が本当に幸せなのかどうか、考えさせられます。その他にも、「焼け野原コンティニュー」、表題作の、「白昼夢の森の少女」が、永遠を生きる存在になってしまった人間の話です。最終的な話の終わりは、読者に委ねるという形で終わっているので、色々と考えさせられ、楽しめました。

    終わりが一番気になったのは、「平成最後のおとしあな」。最後の最後まで、助かるために、知恵をしぼる主人公。彼女が最後、助かるのか、助からないのか。読み終わった後、それぞれ自分なりの結末を考えたと思います。

    よくこれだけ不思議で、変わった話が思いつくなと、つくづく感心させられる一冊でした。

  • 恒川光太郎の短編集

    特化したテーマに反らない11の短編

    古入道きたりて:牡丹餅を夜船と呼ぶ季節があると初めて知りました。幻想的な風景が瞼の裏に広がります。

    焼け野原コンティニュー:滅んでしまいそうな世界に取り残された記憶喪失の男の話

    白昼夢の森の少女:植物に取り込まれてしまった人々(緑人)の話!緑人達は夢を共有する!

    銀の船:空飛ぶ船にノスタルジーを感じる主人公!いつか自分の前に現れる日を待ち望む・・・。
    自分だったら家族を捨てて悠久に世界と時を旅する船に乗れるだろうか?

    海辺の別荘で:自称『椰子の実』から産まれた女とバカンス中の男の話

    オレンジボール:ボールになった中学生の話

    傀儡の路地:人形に操られてしまう人々

    平成最後のおとしあな:平成の最後に謎の電話が掛かってくる!?電話口からの質問に答える森高希実は、ある問題を抱えていた

    布団窟:作者の少年時代の話、謎の空間に飲み込まれそうになる話?

    夕闇地蔵:現実的なものがよく見えず、エネルギーの様なものを捉えることの出来る不思議な目を持つ主人公!?雨蛇さま、冥穴道!?幻想的で残酷な話

    ある春の目隠し:青春と幻想と恐怖!


    色んなベクトルの恒川ワールド!
    個人的には【銀の船】【白昼夢の森の少女】【古入道きたりて】かな・・・


  • 幻想と奇想のなかに漂う独特の抒情。
    人の生き方や罪、生と死、そして自由を時にブラックに、時に寓話的に映し出す恒川さんの魅力がつまった短編集です。

    あとがきによると、様々な媒体で発表したものをとにかく一冊にまとめたものらしく、収録されている作品のバリエーションは、これまで読んだ恒川作品の中でも特に幅広く感じました。
    個人的にこれまでの恒川さんらしさを感じたのは表題作の『白昼夢の森の少女』『銀の船』『夕闇地蔵』の三編。

    突然現れた蔦によって町一体が絡め取られ、植物と一体化してしまった少女と人々の姿を描いた表題作『白昼夢の森の少女』

    永遠に様々な時代を行き来する船に乗り込んだ少女を描く『銀の船』

    普通の人とは違う世界の色を見る少年を描いた『夕闇地蔵』

    いずれの短編にも感じるのは現実と地続きの異界。どこか超然とした冷静な語り口で紡がれる幻想や異質な風景。そして人間の業。

    夢うつつのときに見る幻のような儚く美しい物語世界は、まさに“白昼夢”のように感じます。そうした世界の美しさのなかに垣間見える人間の業があまりに対照的で、
    でも対照的なのにそれを無理なく物語の中に両立させているのが、恒川さんの作品の良さであり、独特の抒情につながっているのではないかと思います。

    そうした恒川さんの魅力が存分に感じられる短編もあれば、それとはまた雰囲気の違う作品も数多く収録されています。

    崩壊した世界で記憶を失った男を描いたロードノベル風の作品『焼野原コンティニュー』
    鞠になってしまった少年を描いた掌編『オレンジボール』
    人を自由に操る人形を抱えた謎の女“ドールジェンヌ”。彼女に憑かれた人々を描いた『傀儡の路地』などなど。

    様々な媒体から集めたことだけあって、一読した当初は「恒川さんってこんな作品も書くのか」と意外にも思いましたが、読み終えてみるとどの作品にも恒川さんらしさを自分は感じました。それは読後感が似ているからかもしれません。

    何か切ない気持ちになったり、懐かしい感情になったり。そして何かを問いかけられているような気持ちになったり。でもその問いかけの答えは作品からは見つからない。末答だからこその余韻が自分の心に引っ掛かり、作品をより味わい深くする。

    様々な恒川ワールドが見られる一方で、その芯にあるものは変わらない。それを認識した作品でした。

  • 埋もれていた作品とアンソロジー収録作をまとめたものということで、良く言えばバラエティーに富んだ、悪く言えば統一感のない短編集。まあ、色々な作風が楽しめるのは悪くない。恒川さんらしい異界ものもいいが、ディストピア的世界観の表題作や、パニックSFミステリー風の「焼け野原コンティニュー」が気に入った。

  • これぞ恒川さん!という作品と、うーんという作品と織り混ざってる一冊。
    私が好きなのは古入道きたりて、白昼夢の森の少女、銀の船、夕闇地蔵、ある春の目隠し

    ある春の目隠しについては状況がドラマのように目に浮かぶしなんとも言えない読後感を感じた。
    共通して言えるのはこの世界観と発想とその緻密な設定、さすがすぎます。これだからやめられない

  • 2022年、3冊目は、恒川光太郎の編集モノ。単著未収録の短編、掌編、11編収録(3編は、アンソロジーで既読)。自分はランダムに読みススめました。

    今回は、気になったモノを幾つか紹介。

    白昼夢の森の少女:表題作。植物に侵食された少女の話。人と植物(樹木)との時間感覚、死生感の違い。

    傀儡の路地:ドールジェンヌ、彼女が抱えた人形の言葉には、どんなに理不尽でも、抗うコトが出来ない。個人的感覚だが、ラストに向かい、主人公の切なさが増して行く。

    銀の船:あらすじ割愛。コレは既読作で、もぅ5回以上再読してる、何度読んでも色褪せない大好物。恒川光太郎との出会いの一編、その思い入れも含めて。

    ダーク・ファンタジー、SF、実話怪談等々、ヴァラエティーに富んでいるが、全体的な統一感はない。

    ★★★★☆評価と迷ったが、掌編
    にあまり入り込めず、「『夜市』の次は
    これを読め!」の帯叩きが納得いかず、★、-1。

  • 幻想的で不思議な話の短編

  • 表題作がとても好きだけど、他の作品もとても面白くまんまと恒川ワールドに引き込まれ、のめり込んでしまいました。

  • 恐怖と哀しみがまじりあう、恒川光太郎を味わう短編集。

    異才が10年の間に書き紡いだ、危うい魅力に満ちた11の白昼夢。人間の身体を侵食していく植物が町を覆い尽くしたその先とは(「白昼夢の森の少女」)。巨大な船に乗り込んだ者は、歳をとらず、時空を超えて永遠に旅をするという(「銀の船」)。この作家の想像力に限界は無い。恐怖と歓喜、自由と哀切―小説の魅力が詰まった傑作短編集。文庫書き下ろしの掌編「ある春の目隠し」も特別収録!

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著者プロフィール

1973年東京都生まれ。2005年、「夜市」で日本ホラー小説大賞を受賞してデビュー。直木賞候補となる。さらに『雷の季節の終わりに』『草祭』『金色の獣、彼方に向かう』(後に『異神千夜』に改題)は山本周五郎賞候補、『秋の牢獄』『金色機械』は吉川英治文学新人賞候補、『滅びの園』は山田風太郎賞候補となる。14年『金色機械』で日本推理作家協会賞を受賞。その他の作品に、『南の子供が夜いくところ』『月夜の島渡り』『スタープレイヤー』『ヘブンメイカー』『無貌の神』『白昼夢の森の少女』『真夜中のたずねびと』『化物園』など。

「2022年 『箱庭の巡礼者たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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