虜囚の犬 元家裁調査官・白石洛 (角川ホラー文庫)

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  • KADOKAWA (2023年3月22日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (400ページ) / ISBN・EAN: 9784041126028

作品紹介・あらすじ

穏やかな日常を送る、元家裁調査官の白石洛(しらいし らく)は、友人で刑事の和井田(わいだ)から、ある事件の相談を持ち掛けられる。白石がかつて担当した少年、薩摩治郎(さつまじろう)。7年後の今、彼が安ホテルで死体となって発見されたという。しかし警察が治郎の自宅を訪ねると、そこには鎖につながれ、やせ細った女性の姿が。なんと治郎は女性たちを監禁、虐待し、その死後は「肉」として他の女性に与えていたという。かつての治郎について聞かれた白石は、「ぼくは、犬だ」と繰り返していた少年時代の彼を思い出し、気が進まないながらも調査を開始する。史上最悪の監禁犯を殺したのは、誰? 戦慄のサスペンスミステリ!

みんなの感想まとめ

元家裁調査官を主人公にしたこのサスペンスミステリーは、猟奇的な監禁事件を描きながら、過去のトラウマを抱える白石洛の内面にも迫ります。彼がかつて担当した少年の死をきっかけに、彼の周囲で繰り広げられる複雑...

感想・レビュー・書評

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  • 櫛木理宇『虜囚の犬 元家裁調査官・白石洛』角川ホラー文庫。

    元家裁調査官を主人公にしたサスペンスミステリー小説。

    猟奇的な監禁事件の真相と監禁犯を殺害した犯人の正体も気になるのだが、主人公の白石洛が家裁調査官を辞めた理由も何やら謎めいていて非常に気になるところ。

    予想外の時間経過と二転三転の展開に加え、かなり複雑怪奇な事件の全貌と余りにも情報量が多い後半の展開に、読んでいて非常に疲れた。

    前半は時間経過が緩やかな割りに展開が速いが、情報量は然したることもなく、安心して読めた。ところが、後半は登場人物が入れ替わり立ち替わりの上に、ストーリーは複雑怪奇、混迷の極みの泥沼。そして、いきなり8年もの時間が経過するのには愕然とした。

    家裁調査官を辞めて、主夫となり、妹の果子と同居する白石洛は、友人である刑事の和井田から白石が7年前に担当した少年の薩摩治郎の件で相談を持ち掛けられる。

    和井田の話によると、薩摩治郎が安ホテルで刺殺死体となって発見され、警察が治郎の自宅を調べると、全裸で鎖に繋がれて異臭を放つ痩せ細った女性を発見したという。殺害された治郎が複数の女性を監禁し、死後にはその肉をドックフードに混ぜて他の監禁女性に与えていたというのだ。

    白石は気が進まないままに事件を調査すると……

    本体価格780円
    ★★★★

  •  ものすごい物語を読んだという感じです。

     虐待が虐待に繋がり、最終的には人間性を否定する屈辱を与えられてからの死へと繋がる。

    そんな人間を生み出してしまうような今の日本という国のことを今一度考えたいと思ってしまいました。

     櫛木さんってこの手の話に容赦がないもんなぁー。

     次はホーンテッドキャンパスを待ってます。

  • 好きじゃない。でも一気に読んでしまった。
    猟奇的な事件に病んだ人々。嫌なことの詰め合わせ。
    読むほどに嫌な気持ちが積み重なった。
    ようやく終わったかとほっとしたところに、エピローグでとどめをくらった。

  • 元家裁調査員が主人公の話。
    ある事件をきっかけに仕事続けられなくなった主人公・白石は、妹と同居しながら専業主夫をやっていた。
    ある日、自分が昔担当した少年が殺される事件が起こる。白石は自主的にニュースの類をシャットアウトしていた為事件を知らなかったが、彼の友人である刑事の和井田に「薩摩治郎を知っているか」と尋ねられる。
    彼は白石が昔担当した少年だ。だが、自分はもう関係ない、そう言うが、和井田は言う。
    「薩摩治郎はただの被害者じゃない」
    そして再度問う。
    「薩摩治郎はどんな奴だったか」と。

    薩摩治郎は自宅の地下室に女性を監禁し、まるで犬のように飼っていた。素っ裸で首輪をつけ、床に置いた皿でドックフードを食べさせていた。
    そこから始まる治郎の周辺の人物への深堀。薩摩家が「犬神持ち」だと言われたのは何故か。治郎の父、伊知朗がした事、された事。大須賀家との関わり。妻の志津という女性。家政婦、庭師。
    色んな人に話を聞いていく白石。そしてそれを和井田と共有しながら警察と一緒に事件を追いかけていく。
    白石は事件を追いかけながら思い返す。
    治郎と会った時の事を。
    彼は言った。
    ーーー僕は、犬だ。

    その言葉通り物語の至る所に「犬」が登場する。
    白石と和井田の話と交差するように出てくる、海斗という少年と未尋という少年の話でも。

    海斗と未尋の話が出た時は、また話が交差するのか、と正直思った。パターン化してるな、と。
    白石達の事件の後か前かどっちかの話だろう、と思いながら読んでいた。

    物語が進むに連れ、「アズサ」という女性が事件の鍵を握っている事にたどり着く。
    アズサは誰だ。
    治郎は監禁していた女性を「アズサ」と呼んでいた。
    そしてときおり弱気になり、ごめんアズサと口ずさむ事もあった。治郎にとってアズサとの関係はなんだ?
    そして家政婦から話を聞き、伊知郎の口からも「アズサ」という名前が出てきていたことを知った。普段とは違い、泣いて縋り付き捨てないでくれと言う伊知郎に怖くなったと。

    事件を追いかけるうちに家裁を辞める事になった事件の事を度々思い出す白石。蓋をずっとしてきた。だが和井田に吐露する。自分が担当した少年に、同僚の女性を送っている最中に会った。でも無視されそのまま気にせず女性と会話で盛り上がっていたら、その少年が仲間を連れ、同僚をハイエースに引きづり混み暴行を加えた。
    少年は言った。あいつが悪い。俺は女と揉めているのに、あいつは女とよろしくやってるから。

    白石はその事件が起こってから分からなくなった。

    「非行少年は、社会の犠牲者」だと思っていた。
    でももうそうだとはわからない。

    色んな非行少年、非行少女が出てくる。
    彼らは親に虐待され、ネグレクトされ、不当な扱いをされている。そこに出てくる少年少女達は白石の言うように「社会の犠牲者」なのだろう。
    しかし、1歩道を踏み外した先にあるのは、この事件の主犯や治郎達と同じ未来。
    だって彼らは皆、元を辿れば、社会の犠牲者だったのだから。
    これは虐待の連鎖だ。主犯も幼き頃虐待され犬になった。
    大きくなり、支配し、子供達に犬がどんなかを教えこんだ。その子供達は大きくなり、また犬を作った。

    虐待の恐ろしさと、自分の体験した虐待を他の人にも与え続ける主犯にゾッとした。
    しかし、魔性の女系好きねぇ、櫛木先生。

  • やっぱり櫛木さんの描く虐待のシーンは凄惨でおぞましい。
    対照的に、洛、和井田、果子のやり取りのシーンは癒される。
    もしシリーズ化(白石洛シリーズ)されたら、次作も読んでみたい。

  • 虐待の負の連鎖…。そんな中でも、親を反面教師にして子供を育てている人もいるんだろうけど、虐待してしまう人の方が現実でも多いんだろうなぁ。成育環境ってやっぱり大事。
    重く暗いなかで、白石と和井田のコンビがホッとする。こういう関係性っていい。

  • 買った理由→
    表紙買い(好きな画家さん)
    「『死刑にいたる病』の人なんだーへー読んでみようかな〜」


    ラストの怒涛の展開で鳥肌立った。
    文体の硬さも程良くて読みやすい。

    犯人の動機とキャラクターが特に良かった。
    主人とは常にそうあって欲しい。
    予想外の着地。どんでん返し大好き。
    エピローグまで読んでプロローグ読むと溜め息が出ちゃう。

    全員キャラが立っていて作り込まれている。
    読んでいて「誰だっけ?」っていう無駄な時間が一切無かった。ストレスフリー。
    フラグが丁寧でわかりにくいのに、解決の瞬間「あれがフラグだったんだ!」と直ぐに気付ける気持ちよさがある。

    この人の小説全部読みたい!

  • わかってはいたけど、残酷すぎて人には勧められない…
    しかし、事件の解明パートは食い入って読んでしまいました。
    そしてラストスパートで畳み掛けるように真相が明かされていきます。後半のスピード感がすごい。

    読み終わると実写版があったか?というくらい登場人物の容貌が勝手に頭で形成されてました。
    家の外観とか、庭木の緑の濃さまでイメージが頭にこびりつく。
    だから現実味を帯びてしまって余計におぞましく感じるような。

    「虐待の連鎖」というテーマがテーマなので、エンタメで消費されるだけで終わらない、考えさせられるところがあるという意味でも現実味はあって然るべきところなのかもしれませんね。
    こんなおぞましい事、現実にはあり得ないと思いたいけど。

    本当に読後感最悪です(褒め言葉)

  • 引っ張るだけ引っ張って 最後の最後に
    ネタのてんこ盛り。
    まるでおお昔の火曜サスペンス劇場みたいな
    終わり方。

  • 巧みな描写と、交差する事件
    残酷で残忍な描写の数々に、櫛木理宇という人の頭の中を覗きたくなる(笑)
    登場人物の多さと、絡みに絡んだ人間関係がとても複雑でちょっと混乱しながらも回収はさすが。
    白石&和井田コンビが大変魅力的だったので、続編が楽しみなシリーズものとなった。

  • やっぱり櫛木理宇さんの小説。
    残虐さが凄い。
    途中から「この話はどんな風に関係してくるんだろ」からの「えっ?」「えっ?」って思う時間の経過。ホントいつも一気読みしてしまう櫛木作品。

  • 白石洛のスローライフ、和井田とのぶっきらぼうだけどもお互い愛のある日常?シーンにほのぼのと心が凪いだ。
    少年2人が仲良くなっていくシーンも歪んではいたが、微笑ましかった。
    事件、支配の連鎖、今回もなかなかえげつなかった。臭いドッグフードを食べさせる、それに人肉を混ぜるなんて考えつきもしない。そんなことを過去にしていたシリアルキラーがいたことも驚き。
    最後は少し文が変わるだけで、見方が大きく変わって衝撃だった。色々なところに伏線が散りばめられ、綺麗に回収して気持ちよかった。

  • 作者読み。

    時間軸トリック!
    海斗と未尋が茨城飼育事件と同時代かと思いきや八年後の話だった。

    黒幕が薩摩家当主の嫁というとが意外すぎた。

    エピローグで明かされる志津の過去を読んで、やはり虐待は連鎖してしまうのだろうか。
    同級生との心中に成功していれば幸せだったろうに。

    全編をとおして犬が出てくるが、犬より鎖のイメージが強かった。

    にしても和井田は白石の妹の果子におふざけでちょっかいかけてるのかと思いきや、結婚したんか。
    白石は再会した紺野とのフラグあり。

    続編があるようなので、そちらも読んでみたい。

  • 初めて「ホーンテッド」シリーズ以外の櫛木先生の作品を読んだ。現在、私自身、法学部生であり、家裁調査官について、少年事件や刑事事件についてとても考えさせられた。展開や回想、組み立て方や登場人物の心の動きの描き方がやはり非常に良かった。櫛木先生は社会問題の描き方がとても丁寧で上手だなと感じる。

  • 主人公のキャラ(二枚目、とあるトラウマによって職を辞した、主夫、密かに警察に協力している)がとても良かった。応援したくなる。
    物語は終盤にかけて登場人物が増え、複雑に交わって行くので誰が何だっけ?って着いていけなくなりそうになりながら読了。虐待の連鎖が広がりに広がって大変なことになってた。
    最後、白石と紺野さんが再開するところが良かった。あの後どうなったかめちゃくちゃ気になる。

  • 白石洛
    白石果子
    和井田英一郎
    名取
    紺野美和

    薩摩治郎
    薩摩伊知郎
    薩摩志津
    善吉
    幸恵
    早瀬医師
    伊田瞬矢
    伊田大悟
    土屋尚文
    橋爪蛍介

    稲葉千夏
    北畠彩香

    大須賀光男
    大須賀弘
    大須賀礼美
    伊藤竜一

    國広海斗
    清水
    鷺谷
    三橋未尋
    三橋亜寿沙
    三橋睦月

    ーケツをこっちに向けろよ。雌犬。

  • 始まりの描写が異常で衝撃が強く、誰がこんなことをしたんだろうという思いで読み進めた。

    犯人フラグの人が何人か現れたが見事に騙された。

  • 昔担当した少年が殺され、その自宅では
    監禁された女性が見つかった。

    びっくりの始まりから、びっくりの女性発見。
    一体何がどうしてこうなったのか、から始まる
    過去の話と、さらなる…。

    突如として主人公が変わったので
    これがどうなるかと思ったら、でした。
    名字が変わる、というのは、これほどまでに
    印象が変わってしまうのだな、と。

  • 休暇で旅行中、某有名ラーメン店の行列に並びながら夢中で読み進めた。おかげで行列が苦にならなかった。
    元家裁調査官の白石洛と幼馴染の刑事・和井田が、元職法少年による監禁殺人事件を追うパートと、未尋と海斗のコンビが親に復習するパート。共通するキーワードは「犬」そして「アズサ」。二つの世界がラストの謎解きで交わる。叙述トリックの一部には気づいたが、見事な物語構成で、”真犯人”には驚愕。やはり外れナシの作者。

  • キツイ。櫛木作品の中でもトップレベルのキツさがある。
    監禁事件の犯人の殺害から幕を開ける物語だが、何度も何度もその重さと報われない人々にため息が漏れた。それでも頁をめくる手を止められないのはやはり文章と構成の巧みさがあってのものだろう。面白い。けれどキツイ。自分の中で複雑な感情が渦巻いている。

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著者プロフィール

1972年新潟県生まれ。2012年『ホーンテッド・キャンパス』で第19回日本ホラー小説大賞・読者賞を受賞。同年、「赤と白」で第25回小説すばる新人賞を受賞し、二冠を達成。著作には「ホーンテッド・キャンパス」シリーズ、『侵蝕 壊される家族の記録』、『瑕死物件 209号室のアオイ』(角川ホラー文庫)、『虎を追う』(光文社文庫)、『死刑にいたる病』(ハヤカワ文庫JA)、『鵜頭川村事件』(文春文庫)、『虜囚の犬』(KADOKAWA)、『灰いろの鴉 捜査一課強行犯係・鳥越恭一郎』(ハルキ文庫)など多数。

「2023年 『ホーンテッド・キャンパス 黒い影が揺れる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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