吸血蛾 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
3.30
  • (0)
  • (3)
  • (7)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 67
感想 : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041126134

作品紹介・あらすじ

木箱のふたをこじあけた瞬間、思わず縫い子たちは後ずさりした。箱の中には、乳房をえぐりとられ、その血だまりに一匹の蛾を浮かべた若い女の死体が……。服飾界の女王として君臨する美人デザイナー浅茅文代。だが、突然アトリエに死体入りの木箱が送り込まれたのを手始めに、彼女の大事な専属モデルたちが次々と殺されていった。犯人の目的は何か? そして、灰色ずくめの服装で暗躍する無気味な狼男とは何者? 全編にあふれる怪奇とロマン、横溝正史の傑作長編推理!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 華々しいデザイナーとモデルの集いに放り込まれた歯形のついた林檎。狼男という怪人からの贈り物は惨劇の序章だった!左胸を食い千切られた上に、恐るべき手段で次々と殺されていくモデルたち。金田一ですら翻弄されるその血塗られたショーの裏側に隠された秘密とは──。

    ああ無残!としか言いようがない連続殺人劇。殺人をファッションショーとでも思っているのか?というほど、見せつけては恐怖を呼び起こすサディズムな犯罪っぷり。アドバルーンの使い方、間違ってるよ!もはやホラーだった。事件自体のインパクトも大きい中で、犯人・狼男の謎にも読者は大きく揺さぶられていく。狼の皮を被った獣は誰なのか。二転三転し、入り乱れる複雑な事件の構成に舌を巻く。

    狼男だけではない。誰もが皮を被っている。虚栄心、愛情、殺意、それらを狼や羊の皮でできた仮面やドレスの下に隠し持っているのだ。真実を隠すために嘘をつく者もいれば、嘘によって誰かを守ったり、真実を解き明かす者もいる。嘘の中に隠された愛情はただただ切なかった。

    事件の構成は見事だったものの、金田一がほとんど活躍させてもらえない点と、『吸血蛾』というタイトルが合っていない点は気になってしまう。どう考えても狼男のイメージが強いので、どうして吸血蛾にしたのかなあと不思議(もちろん鍵ではあるんだけど)。探偵小説というより、サスペンス色が濃い金田一シリーズが読みたい時にはいいと思う。

  • 横溝読んでるぞ!と痛感する陰惨の盛り合わせ。久々に防御力が低い金田一先生を見た。こうでなくちゃ。
    才能がない人間にやたらと厳しい金田一先生大好き。

  • 再読だけど、「なんでタイトルが吸血蛾?狼男ではなく?」ということ以外何も覚えてなかった…アドバルーンとかインパクト強すぎなのに。

  • 双子だったりして騙されそうになるけど真犯人は別。
    ちょっとグロかった。

  • 2022/04/30読了

全5件中 1 - 5件を表示

著者プロフィール

1902 年5 月25 日、兵庫県生まれ。本名・正史(まさし)。
1921 年に「恐ろしき四月馬鹿」でデビュー。大阪薬学専門学
校卒業後は実家で薬剤師として働いていたが、江戸川乱歩の
呼びかけに応じて上京、博文館へ入社して編集者となる。32
年より専業作家となり、一時的な休筆期間はあるものの、晩
年まで旺盛な執筆活動を展開した。48 年、金田一耕助探偵譚
の第一作「本陣殺人事件」(46)で第1 回探偵作家クラブ賞長
編賞を受賞。1981 年12 月28 日、結腸ガンのため国立病院医
療センターで死去。

「2022年 『赤屋敷殺人事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

横溝正史の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×