- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041126141
作品紹介・あらすじ
昭和23年秋、「八つ墓村」事件を解決した金田一耕助は、岡山県警へ挨拶に立ち寄った。ところがそこで、耕助は磯川警部から、無気味な死仮面にまつわる話を聞かされる。東京で人を殺し、岡山に潜伏中の女が腐爛死体で発見され、現場に石膏のデスマスクが残されていたのだ。デスマスクはいったい何の意味なのか。帰京した耕助は、死んだ女の姉の訪問をうけ、さらに意外な事実を聞いて、この事件に強い興味をそそられた。三十年ぶりに発掘された巨匠幻の本格推理に絶筆「上海氏の蒐集品」を併録する。
感想・レビュー・書評
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『死仮面』(☆4)
「八つ墓村」事件を解決した金田一耕助は、岡山県警・磯川警部のもとへ挨拶に訪れた。そこで聞かされたのは、顔もわからぬ女の腐乱死体の話。その死体の上にはなぜかデス・マスクが置かれていて──。
デス・マスクによって特定されたのは、東京で人を殺した女だった。帰京した金田一は死んだ女の姉の訪問を受け、デス・マスクを巡る奇妙な事件へと誘われる。父違いの三姉妹とその母が一つ屋根の下に暮らして、何も起こらないはずがない!デス・マスクよりも恐ろしい生きている人間の執念を感じた。
金田一とタッグを組むのは白井澄子という女学生!彼女を守り、導きながら物語が進むのが新鮮!いつもならラストまで言わない推理の過程をヒントとして伝えるのも面白い。女学園で起こるサスペンスのハラハラ感や派手な演出は、今で言う赤川次郎作品のようでエンタメ感も満載で楽しめた!
「ぼ、ぼくは大丈夫、なにしろ天狗飛び切りの術を心得ておりますからな。は、は、は」
「あっはっは、きみのように賢いひとが、そんな上っつらの観察をするはずがありませんからね」
など、金田一が澄子とユーモアあふれるかけ合いをするのが清涼剤となっていてよかった。
抜けてしまった原稿を中島河太郎先生が補って完成させたという逸話も興味深い。読み終わって解説を読むまで違和感がなかった。完成させてもらえてよかった。
『上海氏の蒐集品』(☆3)
戦争で記憶を無くし、上海太郎として絵を描き田舎に住んでいた男。近くに住む少女・古池亜紀と仲良くなっていく。しかし、団地開発に伴い、土地を売って大金を得た古池家との関係は環境とともに激変する。
都会と農村が錯綜している間隙こそ、犯罪が生まれやすいというのは横溝作品の土台とも言えるテーマ。農村が団地として開発されていく中で、景色も人間関係も破壊されていくのが恐ろしい。記憶喪失の上海氏が無意識と葛藤しながら行動していく姿は、真相を知った時こそ切ない。
上海氏の家は秘密基地みたいな雰囲気があっていいなあ。生活感の中に潜む哀愁がたまらない。ちなみにこちらは金田一耕助が登場しない作品。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
もう、冒頭からかなりおどろおどろしい。デスマスクですもの。
時系列としては八つ墓村後の金田一。
同時収録の『上海氏の蒐集品』は金田一シリーズではなかったけれど、これまた独特の雰囲気で印象的。最後は思わず… -
誰が犯人なのか最後まで分からなくて面白く読めた。最後の話は、なんとも言えない話だった。
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「死仮面」の冒頭にある野口慎吾の手記が大変好き。「その女のいのちは眼にありました」という書き出し、良すぎでは??
「上海氏の蒐集品」は上海氏のやるせなさが半端ねぇ… -
二話収録されていて、一話目の「死仮面」は金田一耕助もので、いつもの複雑な家族関係とおどろおどろしいストーリーでしたが、二話目の「上海氏の蒐集品」は物悲しさが漂う不思議なテイストでした。
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ザ・金田一。血をめぐる骨肉の争い。たぶんそうなのだろうと思いながら、やっぱりそうかと思いながら、映像向きだなあとお話を読み進めました。
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★3
八つ墓村読んだ後に読んでいれば没入感も一層あったかもしれない。面白かった。 -
2022/05/28読了
著者プロフィール
横溝正史の作品





