朝鮮大学校物語 (角川文庫)

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  • KADOKAWA (2022年6月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784041126776

作品紹介・あらすじ

「ここは日本ではありません」全寮制、日本語禁止、無断外出厳禁。18歳のミヨンが飛びこんだ大学は高い塀の中だった。東京に実在するもうひとつの〈北朝鮮〉を舞台に描く、自由をめぐる物語。解説・岸政彦

感想・レビュー・書評

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  • もし私が主人公と同じ立場だったら、考えることを放棄し、何の疑問も持たずに生きるだろうか?常に現状に疑問を持ち、正しいと思ったことを貫くだろうか?感情を上手に隠してしたたかに生きるだろうか?

  • 「国籍なんか気にしない」って言葉を私も誰かに言ったことがあると思う。でもその言葉で相手を複雑な思いにさせたのかもしれないとこの小説で気付いた。
    「悪気がなくて気遣ってくれてることは解ってる。でも正直、上から言われてるように聞こえるっていうか……」正にこの言葉通りだと思った。本当に相手のことを思っていたら国籍を気にするはず。「国籍が違うからこそ、もっとあなたのことが知りたい。」となぜ素直に言えなかったのだろう。自分を大きく見せたいだけだったんだな…

  • 昔、李恢成『伽耶子のために』を読んだとき、立原正秋『冬の旅』を読んだとき、自分の生まれた国や「民族」について普段は、輪郭を持たない漠然茫然混沌とした思念しかもたない日本人には、刺激が強すぎる文学だと感じた。本作は、時代が下がる分ずっと現代的で、個人主義への賛を前面に出してはいるものの、同じ読後感を残す。なぜ、民族の出自にそれほどプライドをかける人々がいるのか、それを賛美強制する政体が存在するのか。これは朝鮮半島の特殊事情なのか、それとも、20世紀前半の帝国主義とナチズムと共産主義のないまぜによって、世界史的にユーラシアの東西で、共通に不幸にも発生した国際政治学的現象なのか、あるいは人類学的な根本に由来する差別意識の原罪によるのか。とにかく、感じ、考えるきっかけになるし、読まないと、こういう問題の存在に一生気づかない能天気な人、粗暴なだけの街宣「テロ」に根源的共感を覚えてしまう残念な人などが今後も量産されるだけだ。こういう本が日本で一般に広く読まれるといいな、と思う。

  • 図書館で偶々見つけた本。題名を見ておもわず手に取ってしまった。
    書かれていた内容はある程度想像がついて、順次進行するように読んでいった。

    ミヨンは自分らしさを大事にして日々過ごしている。こんな当たり前のことを、さも、特別な、特異なことだと感じながら毎日をおくる、過ごすでもなく、暮らすでもなく。息苦しいことこの上ない。

    ミヨンが出会った黒木という美大生が、これまた等身大のミヨンに対して等身大の日本人だ。偶然なのかもしれないけど、現代美術と演劇と…親和性を感じる分野だ。

    芸術は国境を超えていく。人をつなげる。
    芸術は、国がどう、とか、特定の価値観に縛られてはできないものなのだ。

    北朝鮮という閉ざされた国のすべての人たちが自分の思いや考えを否定されることが決してなく、安心、安全に暮らせるようになる日が早く来てほしい。

    岸政彦さんの解説がこれまた響く。読む価値大いにあり。

  • 多様性を考えるなら、相手の声に教えを乞うしかない。相手を理解したと思う傲慢はいつもそばにあるので、耳を傾け続けるしかないということなんだろう。

  • ふむ

  • なんとなく手に取った本だけど、とても良かった…。主人公ミヨンは在日朝鮮人の中でもコテコテに北朝鮮アイデンティティが強い一家の出なのかなと思うけど(北朝鮮人はみんなそうなのか?)、本人はかなりそこに違和感を感じ抗っているので、感情移入しやすい。
    逆に、日本に住んでるにも関わらず、多くの在日朝鮮人が北の体制や思考に違和感を持たず従ってるのもすごいなぁと思った。
    最後卒業式でミヨンは忠誠を誓いません!と叫んで出ていくわけだけど、これは作者がそうしたかったという心の叫びなんだろうなと理解した。もしそうしてたら、家族、特に姉への何らかの影響があったんだろうか。。
    本当に謎に包まれた隣の国のリアリティある一端が垣間見れた気がして、とても良かった。

  • 著者のエッセイを読んでからこちらを読むとリンクする場面が多く、フィクションだけど今までの著者の経験が詰まった小説なんだろうということが実感できた。
    80年代の話だから今とは朝鮮学校の様子も違うのだろうか。自分の進みたい道に進めるようになっていたらいいなと思ってしまうが、SNSもあってより外の世界を知りやすい今の学生たちも祖国のために生きる信念を持っているものなのかな。

  • ウララさんリリース

  • 自分の認識の甘さ、無知を思い知らされた

    読書の自由も服装の自由もなく、就職先(つまり、どう生きていくのか)すら自らの意思で選ぶことが許されない人たちが、同時代にすぐそこにいたこと。
    そして、「僕は気にしてないよ」という言葉が相手を傷つけるものだったということ。

  • 私はわかろうとしてるつもりで、なーんもわかってないな、ってことがわかった

  • 80年代の少し浮わついた時代の空気感に鋭く楔を打ち込む朝鮮大学校での日々。

    物語のハイライトはミヨンの姉が嫁いだ北朝鮮に卒業旅行で訪れる第3章。

    ミヨンは大学校を卒業して自由を探る道に進む。

    裕とのロマンスはやや淡白か。

    丸善高島屋大阪店にて購入。

  • 映画「スープとイデオロギー」を見たのちに、監督のヤン・ヨンヒの本がロビーにあり、思わず手に取ってみた。これまで知らなかった在日韓国人、とりわけ朝鮮総連の人々の暮らしがどんなものなのか初めて知ることができた。思想と人生を考えると、現在曖昧に暮らしている日本の姿がむしろ好ましく見えてきた。

    率直な文章がとても気持ちの良い作品。女性としても勇気をもらえた。
    帯に書かれた「自由が故のしんどさなら、挑む価値があると思った」が良い。

  • 今から約35~40年前の話だとしても朝鮮大学校の生活って自分には耐えられないと思う。今は時代に合わせてずいぶんゆるくなったのだろうか? ミヨンが "理解ある" 日本人の友人たちに「あなたが何人だろうと気にしないよ」と言われ、モヤっとした気持ちになったところはとても考えさせられた。一見差別がない優しい言葉のようで、言われる側からしたら上から目線だったんだな。そういうこと、自分も無意識にたくさん言ってしまっているかもしれない…。「自由が故のしんどさなら、挑む価値がある」そうだな。自分も頑張らなければ。

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著者プロフィール

著:ヤン ヨンヒ
大阪出身のコリアン2世。
米国ニューヨークのニュースクール大学大学院メディア・スタディーズ修士号取得。高校教師、劇団活動、ラジオパーソナリティー等を経て、1995年より国内およびアジア各国を取材し報道番組やTVドキュメンタリーを制作。
父親を主人公に自身の家族を描いたドキュメンタリー映画『ディア・ピョンヤン』(2005)は、ベルリン国際映画祭・最優秀アジア映画賞、サンダンス映画祭・審査員特別賞ほか、各国の映画祭で多数受賞し、日本と韓国で劇場公開。
自身の姪の成長を描いた『愛しきソナ』(2009)は、ベルリン国際映画祭、Hot Docsカナディアン国際ドキュメンタリー映画祭ほか多くの招待を受け、日本と韓国で劇場公開。
脚本・監督を担当した初の劇映画『かぞくのくに』(2012)はベルリン国際映画祭・国際アートシアター連盟賞ほか海外映画祭で多数受賞。さらに、ブルーリボン賞作品賞、キネマ旬報日本映画ベスト・テン1位、読売文学賞戯曲・シナリオ賞等、国内でも多くの賞に輝いた。
かたくなに祖国を信じ続けてきた母親が心の奥底にしまっていた記憶と新たな家族の存在を描いた『スープとイデオロギー』(2021)では毎日映画コンクールドキュメンタリー映画賞、DMZドキュメンタリー映画祭ホワイトグース賞、ソウル独立映画祭(2021)実行委員会特別賞、「2022年の女性映画人賞」監督賞、パリKINOTAYO現代日本映画祭(2022)グランプリなどを受賞した。
2022年3月にはこれまでの創作活動が高く評価され、第1回韓国芸術映画館協会アワード大賞を受賞。
著書にノンフィクション『兄 かぞくのくに』(小学館、2012)、小説『朝鮮大学校物語』(KADOKAWA、2018)ほか。
本書のハングル版『카메라를 끄고 씁니다』は2022年に韓国のマウムサンチェクより刊行された。

「2023年 『カメラを止めて書きます』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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