- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041126783
作品紹介・あらすじ
妾として囲われていたタミエは、ある日旦那に日本刀で切り付けられ左目と美しい容貌を失った。
代償に彼女が手にしたのは、
この世ならざる魑魅魍魎と死霊の影を捉える霊能力だった。
「霊感女性現る」と町でも評判となるタミエ。
やがて彼女の許へは、おぞましい事情を抱えた依頼客達が次々と集まってくるようになり――。
明治の岡山を舞台に、隻眼の女霊媒師の怪異との邂逅を精妙な筆致で描き上げた至高の幻妖怪奇小説。
解説・池澤春菜
感想・レビュー・書評
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読んでいて、怖いくらい鮮明に情景が浮かび上がってきて、その場に居るような感覚になり、さらに恐ろしい。
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ジワジワ〜っと背筋が寒くなる読後感が味わえます。写真屋のお話が好きかな。ろくでもないお客さんばかりで、見た目の描写から人物像を想像して楽しいです。
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明治末の岡山で、片目を斬られて霊媒師になったタミエの元に様々な人たちが不思議な相談事をしにくる。なんとも言えず艶めかしく、不気味で哀しく、どこか懐かしいお話の数々。やはり岩井志麻子面白い。少女小説出身というだけあって、謎なくらい読みやすく、ちょっと内に籠って夢想に耽るような独特な味わいもある。これはホラー小説というよりは、抒情奇譚という趣だった。
舶来品をありがたがる明治期のあれこれもレトロで良かった。ドリップしたコーヒーを一升瓶に詰めて「珈琲液」として売り始めたって本当か。少し多すぎやしないか。日持ちするくらいだからものすごい濃いだろうにブラックで飲んで、苦い苦いと言いながらハイカラの味として有り難がってるのが非常にそれっぽくてホッコリした。
それにしても、関西地方のシャーマンを取材したアンヌ・ブッシィ『神と人のはざに生きる:近代都市の女性巫者』や、笙野頼子作品(三重県出身のシャーマンめいた小説家)にも通じる伝統文化の香りがするのは、岡山という地域がなせる技なのだろうか。どこがどうと具体的には言い難いのだが。もちろん文体やテーマの話ではない。 -
岡山都道府県ランキング落ちちゃうよ