- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041127315
作品紹介・あらすじ
「芦屋さくらまつり」の季節がやってきた。
定食屋「ばんめし屋」はその機会にランチ営業をしてみることに。
初めての客から歓迎されるが、深夜営業にポリシーを持つ夏神は、複雑な気持ちになる。
そんなある晩、大学時代に救えなかった彼女の香苗が霊となって現れ、
夏神は衝撃のあまり気絶してしまう。
一方海里は、後輩・李英と二人で朗読の舞台に上がるため、懸命に練習に励み……。
夏神も海里も大きな一歩を踏み出す第18弾!
感想・レビュー・書評
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〈最後の晩ごはん〉シリーズ第18作。
こちらもこんなに長いシリーズになるとは思わなかった。
いつ出てくるのかと気になっていた、夏神の亡くなった彼女・香苗がついに登場。なぜ今になって?と思っていたが、きちんときっかけがあった。
香苗は夏神の彼女らしい、さっぱりとした素敵な人だった。
そして毎回ロイドの気遣いも素敵だなと思う。
一方の海里&季英の朗読劇の方だが、順調に行っているかと思えた矢先にまたも季英の体調不良が起こる。
何だか季英は不運だなと思うが、俳優・ササクラが言うように良い経験を詰めていると良い方向に考えるしかない。これを乗り越えたら、きっと一皮も二皮も向けた役者になれそうだ。
海里は夏神の周辺で起こっていることを知らず、というよりついに一人になってしまった朗読劇の方で精いっぱい。なのにササクラからの思いもかけぬ提案に更に動揺。だが彼もまたこの朗読劇をきっかけにどんな役者になるのか楽しみだ。
このシリーズのレギュラー陣は悪い人はいないのだが、個人的にちょっと苦手なのは作家の淡海。なにしろ以前海里にひどいことをしたのだから、作家の業がまたどんな形で顔を出すのか気が気でない。
今回も海里が一人でやる朗読劇を淡海に選んでもらうことを頼んだ時、一体どうなるのかと心配になった。
結果は…読まれてのお楽しみに。
それにしても夏神と淡海、対照的な二人が最後にこんな風に思いを共有することになるとは思わなかった。
レギュラー陣それぞれが様々な痛みや辛さを抱えつつ、互いを支え合って気遣って背中を押し合って、少しずつ前に進んで行く様子が良い。
それぞれの将来の姿も楽しみ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「ばんめし屋」のシリーズも、もう18冊目。
「書き飛ばしたら薄っぺらくなる」という、淡海吾朗(おうみ ごろう)先生の言葉通り、コツコツとエピソードを積み上げてじっくりと海里の成長を描いてきたけれど、今回は少し大きな節目に当たるかもしれない。
それにしても、淡海先生が登場すると、また何か企んでいるのではないかと、いまいち信用できなくなってしまった私である。
「小説家としての興味から」という業から逃れることはできないんだろうなと思いつつ、悪い人ではないんです。
プロローグとエピローグがこんなふうに対になっていたとは。
ひとまず安心しました。
夏神が自分の師匠にしてもらったことを、弟子の海里にしてあげる。
素敵なことだと思います。
夏神の亡くなった恋人、香苗さんのことでもようやく晴れる心もあって・・・良い話でした。 -
夏神さん、香苗さんときちんと話が出来て良かった。
出来ることなら香苗さんのご両親にも聞いて欲しかったけど、そうなると色々ややこしいことになりそうなので、仕方ないか。
李英は試練の連続。
まぁまだ若いしね。才能もあるし、周りの人にも恵まれて、これから先もどんどん成長しそう。
海里も、自分のことは見えてないけど、ロイドや淡海先生の言葉で少しは自信持てたかな。
春は別れと挑戦の季節。
前向き、って難しいけど、一歩踏み出せたら後は進むだけ。
夏神さんの一歩は大きい。 -
前を向く、と軽く言うけど、自分がそうなったら、よっぽど大きなきっかけがないと難しい。夏神さんも海里も、前を向けるようになって本当によかった。
感情移入しまくり。こんな文章を紡ぎ出せる作者の力に脱帽。 -
気がついたらもう長い事読んでるけど、一向に飽きがこない。海里たちがこの先どうなるのか最後まで見届けたい!
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面白かった
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読了☆
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変わらず優しい皆がそれぞれに頑張っている。
皆真っ直ぐに進んでいて、辛い時にはフォローし合える関係で、素敵だなと思います。
著者プロフィール
椹野道流の作品





