- KADOKAWA (2022年10月24日発売)
本棚登録 : 205人
感想 : 11件
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
Amazon.co.jp ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784041128121
作品紹介・あらすじ
2年前に結婚し、夫と死別した柚子は昼間はコールセンターのシフト制で働くフリーターだ。義理の母は柚子に息子を殺されたと罵倒する。柚子が味わった地獄は、別の形となって続いていた。それは何の前触れもなく突然やってくる異界のものたちとの闇の取引だ。いつ蹂躙されるともしれない危険と隣り合わせだが、窓の外の哀れな貧しい物の怪たちの来訪を待ちわびる柚子なのであった……。(「やみ窓」)
月蝕の夜、「かみさん……」土の匂いのする風が吹き、野分の後のように割れた叢に一人の娘が立っていた。訛りがきつく何をしゃべっているか聞き取れないが、柚子を祈り、崇めていることが分かった。ある夜、娘は手織りの素朴な反物を持ってきた。その反物はネットオークションで高額な値が付き……。そんなとき団地で出会った老婦人の千代は、ネットオークションで売り出した布と同じ柄の着物を持っていた のだ。その織物にはある呪われた伝説があった……。(「やみ織」)
ほか、亡き夫の死因が徐々に明らかにされ、夢と現の境界があいまいになっていく眩暈を描いた「やみ児」、そして連作中、唯一異界の者の視点で描いた「祠の灯り」でついに物語は大団円に。色気と湿気のある筆致で細部まで幻想と現実のあわいを描き、地獄という恐怖と快楽に迫った傑作。
みんなの感想まとめ
テーマは、現実と幻想が交錯する中での人間の欲望や孤独を描いた作品で、主人公の柚子が異界との取引を通じて直面する苦悩と希望が印象的です。物語は連作形式で構成されており、各話が深い感情を呼び起こす描写を通...
感想・レビュー・書評
-
2015年、第10回『幽』文学賞短篇部門大賞受賞作を「序」として改題し、〈やみ窓〉を媒介とした連作短編集。
受賞作にあたる「序」は、妖しさと哀しさがあり、期待感を抱かせる。続く「やみ織」では、異形との対話が一種の駆け引きとして展開され、怪異そのものよりも異形との「関係性」を描きます。
全五作として 世界観を広げますが、
広がらないという感じでしょうか。
全体として、雰囲気に魅力のある作品ですので
著者の比較的新しい作品は読んでみたいなと思います。
詳細をみるコメント17件をすべて表示-
1Q84O1さん愛情が広がらない…、ホラーです(゚A゚;)ゴクリ愛情が広がらない…、ホラーです(゚A゚;)ゴクリ2026/03/27 -
おびのりさん1Q家は異界?1Q家は異界?2026/03/28 -
1Q84O1さん元の世界に戻りたいです。゚(゚´Д`゚)゚。元の世界に戻りたいです。゚(゚´Д`゚)゚。2026/03/28
-
-
不気味で怖い…なのにどこか寂しい…最後の章は悲しい…
-
起承転結がはっきりしないで読み終わってしまった。あまり救いがなくて読んでいて苦しい。角川ホラー文庫はあまり買わないですが、この作品はどっちかと言えば文学的というのか、読んでいて具合悪くなるような擬音語とか具体的なグロはほとんどないです。しかし形而上的になんだかとてもグロテスクだと思う。連作集なのでまだ続きが作れそうな感じもある。
-
恐ろしいのに幻想的な、夜の取引。
どん詰まりで閉塞感のある現実の描写と、怖い夢のような夜の描写のコントラストが良いなぁ。
夜の取引は非現実のようでいて、少しずつ図々しくなっていく窓の向こうの人々もだんだん上位存在のような振る舞いになっていく主人公も妙にリアリティある。人間の本質ーって感じ。
感触までリアルに伝わってくるような文章、読んでるこちらの現実感も融けてしまいそう。
「窓の向こうの人」視点の話も、切なくて胸が苦しくなるなぁ。
-
とてもよかった。
異界に繋がるのが団地の窓という何でもないところだとか、物々交換をしてるとどんどん欲深くなっていく異界の人とか。
力を欲したり自分勝手に振る舞ったりしていると罰が当たるような描写になっているのにも納得した。
怖さもあるけれど、侘しさや切なさも感じる話だった。 -
終始湿度と淫靡さを漂わせていてとてもとてもとても良かった…。
「祠の灯り」とか最後胸が痛くなった。
なんとなく波津彬子さんの漫画好きな人にも刺さりそう。 -
夫と死別した柚子は寂れた団地で平凡な日々を送っている。
ひたすら地味に、職場でも目立たないよう過ごしているが夜はあるサイドビジネスをしている。それは窓を通じての別の次元の人々との物々交換である。人々は柚子を祠の天女と崇めたり山姥と畏れたりしながら、現世では高値で売れる反物や薬草、熊の肝を捧げて、見返りにペットボトルを受け取る。
数百年前の人々にとってペットボトルは軽くて美しい不思議な壺なのだろう、時空を超えた取引の対価としてそこが面白い。
過去の結婚生活における抑圧された思い出や義母への恐怖からとにかく目立たず、最低限の生活だけをしてきた柚子にとって、闇と繋がる窓は唯一強みを持てる場だったのか。
闇の向こうの住人の畏敬や欲に触れながらこれから柚子がどう生きていくのか気になる。 -
こじつけのような解説もない、民俗学ホラーにありがちな拡げ過ぎの展開もない。ただそういう事実があるだけ。このまま続くような、もうすぐ破綻が訪れるような、綱渡りの危うい雰囲気がいい。
-
これは好きよ、こういうの好き
-
篠たまき先生のデビュー作。ずっと読みたかったのですが、なかなか単行本が手に入らず途方に暮れていたところ、角ホラから出てくれて本当に嬉しいです。楽しみにしてました。
「氷室の華」で篠作品に出逢いましたが、「やみ窓」から幻想的な雰囲気や文章は確立されていたのですね。
恐ろしくてグロテスクなはずなのに、居心地が良いと思ってしまうような…いい香りのお風呂にずっと浸かっていたいような…そんな気持ちにさせてくれる作品だとおもいます。
著者プロフィール
篠たまきの作品
