金田一耕助の冒険 (角川文庫)

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  • KADOKAWA (2022年6月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (480ページ) / ISBN・EAN: 9784041128152

作品紹介・あらすじ

雑踏で賑わう吉祥寺駅前で、金田一耕助と等々力警部が、一人の青年を見張っていた。やがて、動き出した青年を等々力警部が尾行し、金田一は、見当をつけていた現場へ先廻りすることになった。青年は、一年前に不可解な事件に巻き込まれて失った記憶を取り戻そうとしていた。その事件の鍵を握る謎の女は、彼の瞳の中だけに存在するのである。今ようやく、事件の全貌が明らかにされようとしていた…。(瞳の中の女) 一篇ごとに趣向を凝らした、金田一耕助異色の事件簿。

みんなの感想まとめ

多様な短編が収められた本作は、金田一耕助の独特なキャラクターと緻密なミステリーが楽しめる作品です。各話は「○○の中の女」という統一されたタイトルで、サクサクと進むストーリー展開が魅力的です。衝撃的な犯...

感想・レビュー・書評

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  • NHKで池松壮亮を金田一耕助にした『横溝正史短編集』がとても面白い。
    https://www.nhk.jp/p/ts/PNKM3G3R2L/
    原作の一つがこの短編集に入っているので読んでみた。

    表紙の金田一耕助が古谷一行っぽいなあ。こちらの珍映画
    https://booklog.jp/users/junsuido/archives/1/B00005OO54#comment
    から表紙を作ったんだろうか?笑

    金田一耕助と、等々力警部のコンビの「女シリーズ」短編集です。
    短編なのでサクサク人が死に、迷いながらも金田一耕助も間違いなく解決します。

    『霧の中の女』
    ひどい霧の晩だった。宝飾店に顔を隠して入ってきた女客がいる。万引きして、そのうえ追いかけてきた店員を刺殺した。
    その店のすぐ裏にあるサロンに務める女性は「ペンキ塗りたてのポストに触っちゃった」と、服を赤く汚して出勤する。

    『洞の中の女』
    空き家に引っ越してきた家族は、木の根の洞にセメントで固められた女性の死体を見つける。

    『鏡の中の女』
    金田一耕助は聾唖学校の増本女史とカフェにいた。突然増本女史が、鏡の中に映っている男女の唇を読む。それによると殺人を計画しているらしい?だが数日後、計画しているはずの男女の死体が見つかる。

    『傘の中の女』
    海辺に保養に来た金田一耕助は砂浜で寝っ転がっている。その眼の前にはビーチパラソル。中からは男女の睦み合う声。
    だがそのビーチパラソルの中にいた女が殺された。名探偵金田一耕助の眼の前で!!

    『鞄の中の女』
    自動車のトランクから女の足が出ている!通報を調べたがそれは彫刻だったと判明した。しかしその彫刻家の家に女の死体があるようで!?

    『夢の中の女』
    パチンコ屋の看板娘の美禰子は、常連客の金田一耕助に「三年前に姉の田鶴子が殺された事件を解決してほしい」と頼んだ。金田一耕助はどこか夢見るような美禰子に危うさを感じていた。その美禰子が、金田一耕助からの偽手紙で誘き出されたらしい!?

    『泥の中の女』
    「たまたまお邪魔した家に女性の死体があり、もうひとりの女性が家から出ていった!」という通報を受けた警察はその家に行ってみたが死体はなかった。しかしその家の主に関係する二人の女性が行方不明になっていることがわかる。

    『柩の中の女』
    彫刻に女性の遺体が塗り込められていた!彫刻家にはアリバイがある。

    『瞳の中の女』
    杉田弘青年は、一年前に怪我をして道に転がされていた。意識は戻ったが記憶は失っていた。彼はある女性の顔だけをはっきりと覚えていた。

    『檻の中の女』
    薬を飲まされ、檻に入れられて川に流された女性が保護された。女性の家にいるはずの男性は行方不明だ。

    『赤の中の女』
    金田一耕助は海辺のホテルで休暇を過ごしていた。彼の前である夫婦に、夫と妻それぞれに旧知の女と男が声を掛ける場面を見る。
    こんな偶然があるものか?金田一耕助は興味をそそられた。

  • [霧の中の女]
     霧の中に消えた女の正体とは? 現場から消えた服や靴の謎とは? 大都会・東京で起きた奇怪な事件に金田一耕助が挑む。
     偶然と「世間は狭い」に頼りすぎな謎解きだったように感じたが、戦後間も無い東京の裏風俗を見たようでワクワクもした。

    [洞の中の女]
     欅の木の洞が、何故かセメントで固められていて、その割れ目から長い毛髪が一筋垂れていた。掘り返すと、女の死体が!
     不気味且つ猟奇的な導入で惹きつける。複数の男女の愛憎関係が絡み合っていて、ドロドロ⋯。愛情のもつれは恐ろしい。

    [鏡の中の女]
     かつての事件で知り合った読唇術の得意な増本女史が、鏡越しに見た女の唇の動きを読んで、恐ろしい犯罪計画を察知した。
     半信半疑の金田一耕助だったが、実際に事件が発生してしまう。だが奇妙なことに、計画者の女が被害者となってトランクに詰められていたから、事態は混迷を極め⋯
     増本女史が、準レギュラーなのかなと勘違いするくらいの存在感なのが面白い。読唇術の盲点を突く金田一の推理に唸った。

    [傘の中の女]
     海水浴を楽しむ金田一耕助の目の前で、その凶行は行われた⋯。ビーチパラソル越しに起きた殺人事件に探偵魂が燃える。
     同じ柄のビーチパラソル、錯綜する目撃証言⋯短い頁数にこめられた本格趣味満載のシチュが最高。大納得の真相だった。

    [鞄の中の女]
     車のトランクからはみ出していたのは⋯死んだ女の脚!? それを発端として巻き起こった連続殺人事件に金田一耕助が挑む。
     なんと大胆な犯行だろう。堂々としているほど疑われにくいのは納得。些細な違和感から真相を看破する金田一の頭脳がすごい。

    [夢の中の女]
     未解決殺人の被害者の妹の死体が、姉が殺されたのと同じ場所で発見される。同一犯の犯行なのか。犯人に利用された金田一耕助が真相に迫る。金田一の冷静さの中に、後悔と怒りが入り交じっていたのが悲痛だった。

    [泥の中の女]
     死体消失、そして、時間差で川に浮いたふたつの死体の謎に金田一耕助が挑む。謎めいた導入に引き込まれた。結構複雑な経緯を短編に落とし込む作者の練達の筆に唸る。

    [柩の中の女]
     石膏像の中に女の死体が。金田一耕助が猟奇的な犯罪の背後の爛れた人間関係に肉薄していく。胸のすくような名推理、というわけでは無かったけど、納得の真相だった。

    [瞳の中の女]
     1年前、頭を殴られ記憶喪失となった男が唯一覚えていた顔だけの女の謎とは⋯。金田一耕助と等々力警部が、仲良く男を尾行する様子が微笑ましい。意外すぎる結末に呆然唖然。こんなのアリかよ、という感じ⋯

    [檻の中の女]
     霧の隅田川。鈴の音と共に流れてきた小舟に襦袢だけ纏った女が乗っていた。犬の檻に押し込まれて⋯。衝撃の導入だ。猟奇的な血みどろシチュエーションも登場し、横溝ワールド全開且つ、清張ばりの社会派要素も⋯

    [赤の中の女]
     海水浴場を舞台にした連続殺人。意外な真相を看破する金田一耕助の名探偵ぶりが鮮やかな一編だった。等々力警部が海水浴場にいつもヘルメットを被ってくるのは何故?

  • 鏡の中の女が面白い。衝撃の犯行。
    短編集で、サクサクと進み、金田一のキャラのインパクトも十分に伝わる。初めて手にした金田一は、十分に満足できるものでした。
    かなり古い作品なのに、犯行動機や展開に古臭さは微塵もない。海と金田一の組み合わせは違和感しかなく、絵を想像すると笑える。

  • 「週刊東京」に断続的に発表された「女」シリーズを一冊にまとめた短編集。金田一耕助が直面する女にまつわる11編の事件たち。各40ページほどでサクサクと読み進められる。

    以下、各話の感想を。

    『霧の中の女』
    宝飾店「たから屋」で発生した強盗殺人事件。スカーフの女は濃霧の中へ足取りを消した。後日、無関係かと思われた殺人事件現場に、盗まれたはずのイヤリングが落ちていて──。
    二回目の殺人はシリーズを読んでいるとにやりとできるシチュエーション。関連が見えない二つの事件を繋ぐもの。霧が晴れた後の真相を思い浮かべるとなんともシュール。

    『洞(ほら)の中の女』
    キャバレー経営者・日疋隆介が売りに出した家を買った小説家の根岸昌二。その家のケヤキの洞。セメントで埋められたそこから髪の毛が一本生えていて──。
    家を買ってこの仕打ち。セメントから髪とかホラーすぎる事故物件。小説家の買った家が小説よりも奇なりというのが皮肉。

    『鏡の中の女』
    鏡に映った男女の会話をリップリーディングしたら、殺人計画のことを話していた?!そのことを知った金田一のもとに、まさにその内容と同じ事件が飛び込んでくる!しかし、死んだのは計画していた女の方で──。
    栄養満点夫人というキーワードが強すぎる(笑) 鏡の中の女よりインパクトあるっていう。読唇術から始まる殺人、しかも計画者が計画通りに殺されるという導入も上手い。

    『傘の中の女』
    金田一が近くで寝ているとも知らず、甘いロマンスを囁いていた海岸のビーチパラソルの男女。しかし、いつの間にかパラソルの中にいた女が殺されていて──。
    被害者を発見した時の「どうわかく踏んでも三十五より下ではないだろうと思われる大年増だった。」は辛辣すぎる(笑) 傘が作り出す死角と影が活きた短編。これもトリックがわかるとなんともシュール。

    『鞄の中の女』
    金田一の事務所にかかってきた電話。車のトランクから石膏像の脚が覗いていた事件について相談したいという。車の持ち主のアトリエを訪れると、そこには石膏像と抱き合うように女性の死体があって──。
    テープレコーダーを使う金田一が新鮮。ほんの些細な違和感が、人と石膏像ほどの大きな違いを導き出す。鍵穴から覗いて見えるものに碌なものはない(笑)

    『夢の中の女』
    パチンコ店の看板娘・本多美禰子が姉の殺害現場と同じ場所で殺された。しかも、そこへ呼び出した手紙には金田一耕助の名前があって──。
    姉・田鶴子が殺された3年前の事件をなぞらえるように起きた事件。夢見る夢子さんと呼ばれた空想家の美禰子がなぜ殺されたのか。オチがストンと決まって気持ちいい一作。

    『泥の中の女』
    立花ヤス子が迷い込んだ作家・川崎龍二の離れ。そこにはなんと女性の死体があった!警官に知らせて戻るも、そこには何の異常もなくて──。死体はどこへ消えたのか?そこにいたレインコートの女は何者だったのか?
    短い中にも入り組んだ人間模様を泥のように詰め込んだ作品。死体が忽然と消えた導入も面白いし、川で見つかった死体が別人というのも興味をそそる。ラストのあの人の泥の吐き方も滑稽。

    『柩の中の女』
    古垣敏雄が造った石膏像に似せた壺をもつ女。その中にはなんと古垣の元妻・和子の死体が塗りこめられていて──。
    石膏像に死体と言えば乱歩の『地獄の道化師』を思い出す。不可解な状況と容疑者の失踪。柩の中に閉じ込めた謎が開かれた時のゾッとする感じがいい。

    『瞳の中の女』
    記憶喪失になった新聞記者・杉田弘の記憶に残る女。彼を殴ったのは誰なのか。記憶を取り戻す足取りを金田一たちは追いかける。
    記憶を巡る旅から見えてくる事件という導入にワクワクする。記憶が紐解かれても新たな謎が現れる。ラストが駆け足だったけどいい話…だったのかなあ?杉田が激動の人生すぎる。

    『檻の中の女』
    濃霧の中、鈴の音とともに川を流れてきたのは檻に入れられた女だった!彼女を囲っていた男も血だまりを残して行方不明になり──。
    幻想的で猟奇的なシーンから始まる物語。読者も檻に閉じ込められたような閉塞感が続いて、その余韻はラスト後も続く。自由を手にしようとした先に見たのは檻だったのだろうか。

    『赤の中の女』
    海岸にあるホテルでの奇妙な再会。「あなたの奥さんは結婚詐欺の常習犯だ」という告発文が届いた後、榊原史郎の妻・恒子は真っ赤なワンピースを着たままで殺されていた。さらに殺人は続き──。
    この話が一番好きだった。人間関係のもつれとトリックが奇麗に噛み合っていて気持ちいい。それにしても、真っ赤な装いの恒子を「赤い水着に赤いケープ、しかも、帽子まで真っ赤なので、まるでホオズキの化け物が歩いているようだ。」は辛辣すぎて笑っちゃう。時々こういうのあるよね。

  • 長編の時はあまり思わなかったけど
    短編をまとめて読んでみると
    金田一さんも痴情のもつれ系が多いなぁ。
    「孫」も「動機はほぼ復讐」だけど。

    『霧の中の女』『洞の中の女』
    『泥の中の女』『棺の中の女』のように
    警察から協力を頼まれることが
    事件に関わるパターンのようです。

    『傘の中の女』『鞄の中の女』
    『夢の中の女』などで犯人に利用されたり
    『瞳の中の女』や『檻の中の女』では
    謎は解けたけど犯人は
    (ある意味)取り逃しちゃったり。
    『鏡の中の女』の事件も
    防げたっぽいのがモヤっとする。
    トリックは王道のおもしろさなのですが。

    『赤の中の女』が
    後妻業ネタのようでびっくり。
    時代を先取りだ。

  •  1957(昭和32)年から1958(昭和33)年にかけて発表されたもの。
     もちろん、表題は『シャーロック・ホームズの冒険』をもじっているが、さらに、各話のタイトルは「○○の中の女」と統一されている。
     11編入っており、各話は短い。そのため、かなり大急ぎで書いているという感が強い。特に最後の謎解きの部分は切り詰められすぎていて、言い漏らしが多々あり、「え? アレはどうだったの?」などと戸惑わされてしまう。
     横溝正史の語りの巧さはやはり卓越したものがあるし、アイディアもよく練って書いてあるようだが、やはり中編以上、ある程度の長さがあった方が充実していて面白いかもしれない。
     ミステリ短編としては、世界的巨匠と比べるのもなんだが、ディクスン・カーの方が数段上だと思った。

  • 金田一耕助短編集。「女」シリーズ。

    短編集だからサクッと読めるけどあっさり。

    今更だけど、痴情のもつれ、浮気、不倫、詐欺とかそんな動機が多い笑
    あと犯人が時差して終わるのも。

    鏡の中の女は斜め上すぎた。
    泥の中の女や赤の中の女みたいに殺人がブッキングするパターンも面白い。

    傘の中の女は真相を知るとシュールさが凄い。目と鼻の先で殺人が行われて悔しがる金田一耕助。

    等々力警部が割と頻繁に金田一の所に遊びに行ってるのわらう。

    二篇は長編化されてるみたいだからまた読んでみようかな。

  • 短編集。
    やや物足りない感じもするけど、どの作品も面白い。
    「鏡の中の女」は犯人と動機が凄い。
    「夢の中の女」の最後の一言が可愛い。

  • 「ーーの女」で統一された短編集。
    40ページ程度の短さで、おどろおどろしい感じは物足りないものの、人間のえぐさはしっかり味わえる。長編も読み慣れているともっと闇が欲しい気もするけど、入門にはいいかも。

  • 2022/06/17読了

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著者プロフィール

1902 年5 月25 日、兵庫県生まれ。本名・正史(まさし)。
1921 年に「恐ろしき四月馬鹿」でデビュー。大阪薬学専門学
校卒業後は実家で薬剤師として働いていたが、江戸川乱歩の
呼びかけに応じて上京、博文館へ入社して編集者となる。32
年より専業作家となり、一時的な休筆期間はあるものの、晩
年まで旺盛な執筆活動を展開した。48 年、金田一耕助探偵譚
の第一作「本陣殺人事件」(46)で第1 回探偵作家クラブ賞長
編賞を受賞。1981 年12 月28 日、結腸ガンのため国立病院医
療センターで死去。

「2022年 『赤屋敷殺人事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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