うちの父が運転をやめません (角川文庫)

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  • KADOKAWA (2023年2月24日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (336ページ) / ISBN・EAN: 9784041128206

作品紹介・あらすじ

猪狩雅志は高齢ドライバー事故のニュースに目を向けた。78歳といえば親父と同じ歳だ。妻の歩美と話しているうちに心配になってきた。夏に息子の息吹と帰省した際、父親に運転をやめるよう説得を試みるが、あえなく不首尾に。通販の利用や都会暮らしのトライアル、様々な提案をするがいずれも失敗。そのうち、雅志自身も自分の将来が気になり出して……。父は運転をやめるのか。雅志の出した答えとは? 心温まる家族小説!

みんなの感想まとめ

家族の絆と高齢化社会の問題を描いた物語は、親子の関係を深める中で、現代の生活環境の選択について考えさせられます。主人公は、田舎に住む高齢の父親に運転をやめるよう説得しようと奮闘し、さまざまな試みを通じ...

感想・レビュー・書評

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  • 高齢ドライバーによる事故の多発を受け、父親に運転を止めさせたいと考え始めた猪狩雅志は、最終的には仕事を辞めて田舎でスーパーの移動販売員になることを選ぶというストーリー。

    免許を返納したくても、バスの本数も少なく、車なしでは暮らしが成り立たないという状態は、他人事ではないと感じる人が多いと思うが、この作品ではさらに、地域コミュニティの中での人との繋がりや、仕事の遣り甲斐、都会での消費•浪費中心のライフスタイルについても考えさせられる。
    垣谷美雨さんの本はやっぱり面白い!

  • 垣谷美雨さんの本を読むのは9冊目。垣谷さんの本のテーマは、直視するのが少し怖い現実だったりするのだけど、読後感がいつも爽やかなのが素晴らしい。本作もとても面白かった。図らずも最近読んだ稲垣さん/大原さんの早期リタイアに関する本と通じていて、その点でも楽しめた。「人に役立つことをする」というのが2つの本の共通事項。その芯が通っていると、もはや金儲けという領域から脱して、仕事を人生を楽しめるのだろう。表情が生き生きした、という表現が時節出てきたが、やはり人は合う場所で合うことをするのが1番なのだろうなぁ。岩間陽子さん(国際政治学者)によるあとがきにも、日本はかつてのがむしゃらに働く価値観からアップデートが必要という趣旨のことが書かれていたが、それを実感させられるストーリーだった。田舎は田舎で人間関係の煩わしさなどがあるだろうが、大きな家に豊かな自然、美味しい農作物などは心身共に健やかに暮らせる要素であることは間違いないのだと思う。人それぞれ自分に合った環境を選びやすい世の中になると良いなと本書を読んでつくづく思った。

  • 田舎の父親に自動車の運転をやめさせようと説得する話と思いきや、それだけでなく現代社会の問題である、高齢化社会の問題や、核家族化の問題から都会や田舎での生活問題まで幅広い視野で、問題を提起させる物語。

    脱サラして田舎に移住し移動スーパーに転職したり、都会の高校から田舎の農業高校へ転校したりと、思い切った設定ではあるが、とても共感できる部分が随所に散りばめられていた。

    私にはそんな思い切ったことはできないだろう…と感じてはいるが、背中を押してもらえた事は歪めない。『楽しんで仕事をする』こんな事を思い浮かべさせてくれた作品でした。

    ヒマワリ号の明日の助手席の予約は久子さんだ…
    最後を締め括る最高の文章にほっこりしました。

  • 面白かった。
    垣谷美雨さんにハズレなし。
    大好きです。

    星5かなと思ったけれど、男性が主人公より、女性が主人公の時の方が面白く感じるので星4で。
    でも共感できること、ハッとすること、読んで良かったなと思うことはタップリありました。

    いつもスラスラと読んでしまいます。
    そして、あー楽しかったと思う。

    重〜いミステリーを読んだ後に、垣谷さんを読むとホッとするし、絶対面白いという安心感があるので、大事に読んでます。
    ゆっくり読まないと、読むのが無くなったら困る!

  • なんて分かりやすく気になるタイトル、と思い手にとった。

    本書に出てくる父が、高齢で認知が低下しつつあってもなぜ運転をやめないのか、の理由を探る。きっと同じような状況が、今の日本各地で問題となっているのだろうなと思う。
    50代の主人公が出した結論が、素敵だなと思った。私にはこのような田舎の実家はないけれど、真似したい人生の1つだと思った。羨ましい。

  • 高齢者ドライバーの問題は、色々と報道にもあるかと思うけれど、それをテーマにした小説は初めて読むな。

    高齢者ドライバーの問題だけでなく、田舎暮らしの問題。もちろん、良い面も。
    これらの焦点を当てて、考えさせられる話でもあった。
    解決には至らないけれど、こういった形もありなんだろうな。
    やめさせるは簡単かもしれないけれど、じゃあそれからどうする?っていうのは本当に考えなければならない。

  • 読みやすかった。
    どこの家庭にもある問題と、どこの地方も抱えてる問題をテーマにしていて、他人事とは思えずページが進んだ。
    政治家の体たらくを鑑みると国に抜本的な解決を期待することは出来ずこの本のような行動を取る人が必要になってくるのだろうか。

  • 両親と離れて暮らす身としては他人事ではないお話でした
    実家がどんどん過疎化していく不安や大手チェーンの一方的な参入の問題点などがしっかり垣谷さんの文章で書かれていました
    相変わらず読みやすいのであっという間に読了です

    実家にも来て欲しいなひまわり号
    小さな力が集まって問題を解決する展開も好きでした

  • 世代的に全然他人事では話だと思いました。
    しかしなんならついこないだまでうちの父の運転にお世話になったこともあるくらい。
    おいおい。。。

    山本甲士さんのひなたストアに少し雰囲気がにていて、だんだん状況が好転してくところも似ているかも!と思いながら読んでいました。
    サクセスストーリーはやはり気持ちがよいです。
    皆が納得する方向になり落ち着くとこに落ち着き、
    未来のある息吹くんもよかったね、と思います。なんか逞しいです。



  • 都会に住む主人公が、田舎に住む高齢の父親の自動車運転を心配して、最終的には田舎に引越して、田舎をまわる移動スーパーを始める話。

    私も最近になって、自分の父親と母親の運転を心配し始めている。
    私自身は退職をして田舎に戻る選択まではなかなか真似できないと思った。だけど、この本を読んで、父親や母親の気持ちも少しわかるようになったと思う。少しでも似た境遇にある方は、サラッと読めるし、読む価値はあると思う。

    自動車免許は、現在の高齢者世代にとって(特に男性にとって)家族の中で唯一自分だけが運転できる(た)という「誇りである」というような表現が出てきて、ハッとした。ある意味父親の尊厳だったのだ。そうだったんですね?全然考えたこともなくて、一方的にただただ返納を勧めていた自分を反省。何も寄り添っていなかったな。一方的な主張はただただ反感を強めるだけだ。

    あと、若い人は両親が都会に引っ越して来たらいいと簡単に考えがち。しかし、狭い都会のコンクリート生活が、田舎からきた人々にとってどれほど窮屈な思いをさせてしまうものなのか描かれていた。これも考えさせられるエピソードだった。

    自分もすぐに高齢者になることを心に留めて、両親の気持ちに寄り添いながら、運転について一緒に考えていく姿勢が大切なのだ。

    主人公が移動スーパーを始めて田舎の人たちと交流が深まっていくシーンはたまにほろほろと涙が出た。どんな人でも交流を求めているし、いろんなことを知りたい欲求があるのだ。
    高齢者を移動スーパーの助手席に乗せて、仕事をする主人公。いろいろなものを見聞きできて喜ぶ高齢者。助手席に乗る予約をできるノートがある。予約がたくさん入っている。素敵だ。

  • 今回も面白かった!&勉強にもなりました。

    高齢ドライバーの事故は危惧する点ではありますが、頭ごなしに、運転するな!ではダメですよね。
    高齢者の心理、田舎生活の実情が勉強になりました。

    私の住む所は都会では無いけれど、生活や金銭に余裕がないのは主人公と同じ。共感点がたくさん。

    全体的に人間の暖かさが読んでいて心地よくすいすい読めて、読了後も心地よい余韻にひたることができました。

  • リアルな悩みで一気読み。
    確かに田舎で買い物に行くにも必要な地域で車を取り上げることは酷なのもわかるし、でも危険だし、、

    若い世代の説得も「良かれと思って」が逆効果なパターンが多く、そこも見事に物語の中で表現されていた。

  • 書店でタイトルを見て、即買いしました。私の父も70代後半で、本人は自分はまだまだ若いと思っていて運転にも自信があり、当分やめそうになく、何か指摘するとキレるので。主人公は50代男性。都会で生活している、高学歴・高収入のサラリーマン。しかし勤め先はまだまだ古い体質の大企業。働き方改革なんてまだまだで、有給すら取りづらいような会社。とにかく「定年までの我慢だ」「定年したら好きなだけゆっくりしよう」と思いながら、長時間労働を続けてきた。離れて田舎で暮らす両親のために何かできるはずもない。東京では子供の学費も高く、共働きの妻も仕事優先で生きてきた。息子はちゃんと育っているが、気づけば会話は少なく、寂しい思いをさせてきた、と後悔が募る。
    前半は、そんな主人公の「こんな人生でいいのだろうか、でも仕方ないじゃないか、だって生活費が、学費が、子供のために…でもそれは何かおかしいのではないか…でも仕事を辞めるわけにもいかないし…」というグルグル思考がずっと続く。
    高齢ドライバーの事故のニュースを見聞きするたびに動揺し、父親とぶつかり、いろいろ提案してみるがうまくいかず…。
    私自身にもすごく当てはまっていちいち共感しながら読んだ。80歳になろうとするお父さんもなかなか頑固。
    さて、現実では解決策はなかなか見つからないが、そこは小説なので(笑)、田舎ぐらしが気に入ったらしい息子の変化、悩み続けた主人公の思い切った決断などが重なり、終盤は転機がおとずれる。
    主人公は会社を早期退職して、田舎で転職。買い物難民の多い過疎地に軽トラックで商品を運ぶ、移動販売の仕事だ。「一流大学を出たのにそんな仕事をするのか?」という小さな迷いに対して、「本当に必要とされる、やりがいのある仕事と、学歴に何の関係があるのか」という想いが勝る。
    これまで(といっても30年くらい前まで)定着した日本の価値観を、根底からゆるがし、これからの時代は過去の価値観を覆して、若者が切り拓いていくのだというメッセージが込められている。

    解説もすごく良かった。

  • 猪狩雅志は高齢ドライバー事故のニュースに目を向けた。78歳といえば親父と同じ歳だ。妻の歩美と話しているうちに心配になってきた。夏に息子の息吹と帰省した際、父親に運転をやめるよう説得を試みるが、あえなく不首尾に。通販の利用や都会暮らしのトライアル、様々な提案をするがいずれも失敗。そのうち、雅志自身も自分の将来が気になり出して…。父は運転をやめるのか。雅志の出した答えとは?心温まる家族小説!

  • 上手いなぁ。垣谷さんの作品は切り口が鋭くて考えさせられるうえに、フィクションとして面白い!!
    読み終えるといつも唸らされる。
    ラストの一行まで楽しませてくれて思わずニンマリ。

    高齢者ドライバーの痛ましい事故のニュースを見るたび、両親の運転は大丈夫かと心配で仕方がない雅志。
    過疎化の進む田舎での「免許返納問題」は本当に難しい。
    優先されるべきは“人命”だと思うけど、返納したら確実に“買い物難民”となる高齢者にとっては死活問題。
    免許証返納→買い物難民・外出が出来ない→家に籠りがちになる→無気力→認知症が進む。
    年金暮らしでタクシーなんて贅沢は非現実的だし、そもそも田舎ではそうそう見かけない。

    垣谷さんの作品展開はさすがですね。
    社会問題を絡めつつの円満な結末。人と繋がることの難しさや温もりも描かれていて安定の面白さでした。

  • 垣谷さんの本はリアルな生活者目線で書かれててジリジリした気持ちになる〜^^;
    でも、途中に救いようのない状況になるけど、最後は希望を見せてくれるのが好き笑

    いまの社会のあり方への疑問、問いかけを含むストーリーであることが多いから、大衆に人気なんだろうな〜

    この本でグッと来たところは

    50代の主人公が田舎に帰った時に
    自分が学生の時に使っててそのままの部屋を見て
    自由にのびのび暮らしていた当時の自分と大企業で色々なものに縛られて生きている今の自分の間に連続性を感じられない、っていうところと
    いつかこれをしたい、あれに挑戦したいのいつかは定年後なのかも、と気づくところ
    大人は人生の楽しみ方を教えてくれなかった、というところ

    どう生きるかどこで生きるか
    考えさせられるなあ

  • 主人公の雅志は東京に妻と一人息子と暮らすサラリーマン。
    テレビで高齢ドライバーの事故のニュースを見て、田舎の父親のことが心配になり、運転しなくても生活できないかと模索するお話し。

    私も地方住みで、病院に勤務しているのでよくわかる。えっ、この人運転してきたの!!っていうような人が運転してくる。
    私は父は病気のため自ら運転を諦めてくれて、すでに亡くなったけど、もし生きていたら雅志と同じ心配をしていたのだろうなと思った。

    この雅志は一人息子なので、全て自分にかかっているのもあるけれど、高齢の両親のために本当によくやっていて立派だと感心した。

    また都会育ちの妻もよき理解者で協力的なのが救い。夫の実家とあまり関わりたくない人もいるなかよくできた妻だ。

    雅志と一緒に帰省するうちに田舎暮らしと農業の魅力に目覚めた雅志の一人息子の息吹くんの選ぶ進路に大変だろうが幸多かれ!と応援したくなる。

    雅志自身も同級生のおかげで、田舎で仕事まで見つかり早期退職するのに、妻は絶対反対すると思いきや、雅志の仕事も軌道に乗りそうで、ちょっと出来過ぎで、こんな上手くいくわけないよというようなストーリーではあるけど面白かったー。

  • 免許証返還、一言で済ませばたった5文字の中にある物語。本人ではなく家族の人生観さえ変える、町さえ変えるかもしれない事だって改めてしみじみと感じる。

  • うちの義父も運転をやめません。

    少し違う部分ですが、
    「今までずっと将来のためにと考えて、やりたいことを我慢して生きてきた」
    この一文が今の自分に刺さりました。
    受験に始まり、できるだけ前に進む道から逸れないようにとなんの疑問も抱かずに、今の今まできていますが、やりたいことをやれるのはいつ?と問われると、体が動きにくくなったあと、なのかもしれない…どうしよう。

    免許に関しては、ある程度の年齢になると、必要性や個人の差など関係なく、返納する制度にしてもいいのではないか、それが理想な気がしてますが、現実的にはそうさせて、その穴をカバーでききれるもの、そういうものがない。

    若いときには考えもしなかったことに、歳を重ねると気がついたりする。自分がそなの年代になったときはどう思うんだろう。

    とまあ、色々共感したり考えたりさせられました。

  • 高齢の父親に運転を辞めさせたい息子(雅志)が、どう父親に運転を辞めさせようか試行錯誤する話。
    タイトルと装丁から本筋は捉えつつもなんとなくコミカルに進むような印象があったけど、雅志自身の都会での生活スタイル、子育てを振り返って高校生の息子に対して思う事など、高齢者ドライバー問題の他にも現代社会、子育て世代に問題提起しているような深い内容だと思った。
    特に自分はまさに子育て世代で持ち家も購入し
    ローンを組んでいる状況で、教育資金のことを夫と話すことも多く、かかる費用の膨大さに仕事は絶対に辞められないと思っているだけあって、胸に刺さるものがあった。お金と時間、単純に考えれば子供との時間が大切だと思うのに、子供と過ごす心の余裕や子供の将来を思うと、お金を優先しなければならないという状況になってしまうというやるせなさ。色々と考えされられた。

    終盤、保守的だった雅志が自分の殻を破ってひまわり号を始めて色んな人と関わりが出来たこと、息子との関係も良くなっていくのを見て、人の温かさを感じて幸せな気持ちになれた。

    軽い気持ちで助手席に乗ってみますか?と言ったのがきっかけで出来た"助手席予約ノート"

    ラスト一行の"明日の予約は久子さんだ"

    不意に涙ぐんだ。

    素敵な終わり方でした。

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著者プロフィール

1959(昭和34)年、兵庫県生れ。明治大学文学部卒。2005(平成17)年、「竜巻ガール」で小説推理新人賞を受賞し小説家デビュー。結婚難、高齢化と介護、住宅の老朽化などの社会問題や、現実に在り得たかもしれない世界を題材にした小説で知られる。著書に『リセット』『結婚相手は抽選で』『七十歳死亡法案、可決』『ニュータウンは黄昏れて』『夫のカノジョ』『あなたの人生、片づけます』『老後の資金がありません』『後悔病棟』『嫁をやめる日』『女たちの避難所』『四十歳、未婚出産』などがある。

「2023年 『うちの父が運転をやめません』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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