旅する通り雨 (角川文庫)

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  • KADOKAWA (2023年2月24日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784041128299

作品紹介・あらすじ

「雨がくると、覚悟をしなけりゃいけない。家族がひとり、へることを」。
大人たちの不吉な噂話を聞いたハランの家に、ひとりの男が訪ねてきた。雨をつれて――。
しばらく泊めることになった旅人をハランは警戒し、
噂を知らないはずの兄や姉の態度もどこかおかしい。
祖父と両親は一見いつも通りにふるまっているけれど……。
男の目的が明らかになったとき、家族は何を選び取るのか。

※『通り雨は〈世界〉をまたいで旅をする』改題。

感想・レビュー・書評

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  • 「雨がくると家族がへる」って、なんだか分からないけれども穏やかじゃないな。
    不安になりつつ、物語は農業を営む一家と、その家に客として訪れた〈わたし〉とで視点を交互にしながら進んでいく。

    ハランが大人たちの噂話から家族のことを考えるところ、子どもの判定ってこういう目線だよね。
    ナズナが急に自分の見た目を気にし出すところは、思春期の始まりという感じでムズムズするような、微笑ましいような。
    新しいことを知ってそのことにばかり未来を見てしまうセージの気持ちも分かる。
    そういう子ども時代を経て自分の生きる場所を選択していくのは現実と同じで、でもこの物語の世界は何か違う。秘密があるようだ。

    自分がこの物語の世界にいたとしたら、どういう選択をするだろうか。なんてことを、本気で考えるまではいかないけれど、年代の違う家族それぞれの視点で語られるパートを読むうちに、自然と自分の半生を振り返っていた。
    これまでの生き方を肯定されているような、動きたいと思っているなら背中を押してくれるような、そんなふうに感じた。

  • 装丁の雰囲気が私の好みのどストライクでした。中身が想像と違いいい意味で新鮮でした。この世の仕組みにおどろきましたが、牧歌的な雰囲気がすきなのでこの世界にいすわってもいいなあと思いました。

  • 牧歌的な世界にしのびよる、悪い予感や暗いうわさ・・・というファンタジーかと思いきや、こういう世界システムがあればいいのかもしれない・・・と思わされる、優しいSF。
    のびやかに育ち、恋や村の外を夢みる子どもたちの姿がとてもいい。世界の仕組みがどんなものであっても、子どもが自由に空想し、疑問をもち、それを大人や友人たちと共有できるこんな社会なら希望をもって生きていけるんじゃないかな。
    "アメ"という職は、かなり夢見がちなものではあるけれど、あったら面白いかもなぁ。

  • 通り雨が旅をする?
    この世界がそういう仕組みで成り立っているとは
    そういうあり方も有りかもしれない
    究極的な認め合いといえるのかな

  • 『記憶の果ての旅』に続いて沢村凛さんの本を読んだ。物語に入り込むまでに少し時間が掛かったのは『記憶の〜』と同じ。最終盤、涙がこみ上げるような感動に包まれた点も。著者の持つ人間や人間社会に対する本源的な信頼が、得がたい希望のように読者にも与えられる。それがあれば、それさえあれば人生は生きていくに値すると思えた。福音みたいな読書体験。

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著者プロフィール

1963年広島県生まれ。鳥取大学農学部卒業。91年に日本ファンタジーノベル大賞に応募した『リフレイン』が最終候補となり、作家デビュー。98年、『ヤンのいた島』で第10回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞。骨太な人間ドラマで魅せるファンタジーや、日常のひだを的確に切り取るミステリーなど、様々な世界を展開している。その他の著作に『瞳の中の大河』『黄金の王 白銀の王』『あやまち』『タソガレ』『ディーセント・ワーク・ガーディアン』『猫が足りない』「ソナンと空人」シリーズなど多数。

「2023年 『旅する通り雨』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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