であいもん (14) (角川コミックス・エース)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 71
感想 : 2
  • Amazon.co.jp ・マンガ (180ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041128602

作品紹介・あらすじ

緑松の和、瀬戸屋の紅季、八天の一太。各々の店で修業を積む若者たちは、思い悩む日々を過ごしていた。店の伝統や家族の想い、そして何よりも「代を継ぐ」とはどういうことなのか――。

感想・レビュー・書評

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  • ラストに妙な不穏さを残した前巻だったけど、まさかこういう展開になるとは……(笑)
    秋世の件が有ったからそれと重ね合わせてしまったけど、確かに本人から欠片も悲壮感というか追い詰められた感じがなかった事を思えば、誰もが余計な心配をしすぎたというパターンか

    その中で描かれた意外な描写と言えば、大旦那の発言だろうか?
    政さんが過去を語った53話では剽軽な人格者といった印象だっただけに、結婚を意識する克子に対してあのような言葉を放ってしまうとは意外…。きっと大旦那としては何の悪気もなかった発言、それでも気の強い克子を反発させるには充分過ぎる一言だったようで


    若い挑戦者の意地が描かれる68話。メインとしては一太になるけど、そこに沖や緋色、和の藻掻きを並列的に描く事で深み有る話になっているね

    進学校で周りと自分のレベルを比べ藻掻き続ける沖に対しての一果の言葉が良いなぁ。前々からこの2人は恋愛的な意味というよりも親友として良い感じに見えるのだけど、今回もそれを感じられる描写だったな
    沖は藻掻き苦しむことは有っても、一果を通して見る自分や世の中に拠って丁度よいバランスを取れているね

    緋色は若手職人チームが作られた事で作品をより世に出せる場を得られたようで。ただ、それは実績を認められたというよりも挑戦する機会を手にしただけに過ぎなくて
    試食会での厳しい言葉、後押しする言葉に晒される緋色達若手は藻掻きながらもやり甲斐に満ちた日々を送っているのだと判るね

    そして一太は緋色と異なる立場故に見えるものも少し異なるようで
    跡継ぎとして責任ある立場として気負ってきた。けど、以前はミスが多く思えた若手も頼りになり実力を発揮する機会を得るようになってきた。だというのに自分にはまだ不出来な部分が存在している。
    それらは彼らの前を走ってきた筈の一太としては穏やかでは居られない事態。いわば自分と周囲のレベルを比べてしまっている状態

    そんな一太が頼るのは自分と似たようなレベル・環境で藻掻いているだろう和になるわけか
    和は改めて考えると特殊な立場にいるね。一果の件、出奔していた期間、そして実力。和のそういった内心が積極的に描かれないために判りにくい部分もあるけれど、土台が曖昧であるために信念を揺らがすものは幾らでもある

    和と一太の違いはそういった部分に関わるもの。今の一太は周囲と比べて多少揺らいでしまっても、それまでに培った実績があるし、見てくれている人もきちんと居る
    彼の葛焼きを藻掻き続ける人々や顧客が評価するシーンはジーンとくるものだったよ


    長きに亘って和への恋心を募らせてきた美弦の顛末が描かれる69話……
    大学生という年齢、大人びた色のリップ。大人である和に高校生という子供の頃から心を寄せてきた美弦にとって力強い一歩を踏み出すきっかけとなる誕生日は美弦にとって千載一遇の好機となったようで

    まるでデートのような一幕、2人だけの時間、捧げられた心籠めた曲
    美弦としては恋心が煌めく夢のような空間。けど、ここで和が返した和菓子が決定的だったよなぁ……

    美弦は和の作った玉すだれに和を想起し憧れを見た。和は美弦の為に作った玉すだれに隔たりや向こう側の意味を捉え、触れられない存在と形容した
    美弦は大人に近づく年齢の誕生日に大人っぽい格好をして向こう側へ行こうとしたのに、和は同じ側に来たとは捉えなかった。
    おまけにこれが以前は彼女である佳乃子にした誕生日祝と同様の形式でありながら、対面した美弦に全く恋愛的な感情を向けていないとなれば……

    直接的な言及はない。けれど大人になろうとして付けたリップは取れ、心を籠めた曲名を消していたのは美弦にとって恋の時間が終わった事を示唆しているのだろうな……

  • 代を継ぐ若者たちの苦悩と、それにそっと助言するかたちの和。美弦の思いのかなったはずの和との誕生日会食にかえって距離を感じてしまう一幕。和のふるまいは鈍感からかあえてのものなのか。そして最後は和が祖父の思いを継いだ和菓子「和稜」を作りあげるまでの一幕。

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著者プロフィール

「であいもん」(KADOKAWA刊)

「2017年 『マンガ酒』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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