大迷宮 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 76
感想 : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041129111

作品紹介・あらすじ

「あっ、ベッドの天井が!」滋の叫び声に振り向いた謙三は、思わず息を呑んだ。剣太郎少年が寝ている箱形ベッドの天井が、音もなく降りてきたのだ。二人は慌てて剣太郎を助け出そうとしたが、もう遅かった……。サイクリングの途中、夕立にあった立花滋少年と従兄の謙三は、古びた洋館に泊めてもらった。奇怪な造りをしたその建物には、10年前、行方不明になった世界的なサーカス王の遺児、剣太郎が家人と共に住んでいた。推理ジュヴナイル不朽の名作!

感想・レビュー・書評

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  • 滋と謙三が避暑先の軽井沢で偶然に立ち寄った洋館。その主は10年前に行方不明になった世界的サーカス王の遺児・剣太郎だった。そこから巻き起こる大冒険!滋は金田一耕助とともに謎へ挑むことになる!

    『少年クラブ』に昭和26年から一年間にわたり連載された長編ジュヴナイル小説。中学生の滋が体験する奇妙な出来事たちにハラハラする。謎の洋館!隠された大金塊!そこへ導く黄金の鍵!同じ顔の少年!迷ったら出られない迷宮島!などなど、少年をワクワクさせる要素てんこ盛りな一冊。

    様々な陣営が金塊を狙い入り乱れるスリリングさ。その中でも滋たち少年の知恵と勇気が揺るがず、まさに黄金の鍵となって謎や事件を解いていくところがアツい。それにしても、鍵の隠し場所―!って思わずツッコみたくなる(笑) あと、迷ったら生きて出られない迷宮島を観光地化は大丈夫なのか?

    あと、滋のこの言葉が好きだなあ。決して説教臭くなく、あくまでジュヴナイルとして自然と心得を落とし込んでいるのが響く。これは大人も心に刻んでおきたい言葉。

    p.67
    なんでもないことにもよく気をくばり、注意ぶかく目をみひらいていたからこそ、この人はえらい名探偵になれたのにちがいない。そして、そのことは探偵にかぎらず、どんな仕事にも必要なことなのだから、じぶんもこの人といっしょにいるあいだに、できるだけ見習うようにしようと、滋は考えたのである。

  • ジュブナイルを読んでると少年になったような気分になる。かっこいい名探偵の金田一先生と思いきや、防御率はいつも通り。

  • 2022/09/15読了

  • 横溝正史の少年探偵もの。不思議な洋館に秘密の鍵、大捕物、そして孤島に広がる大迷路…。ジェットコースターのような展開に引き込まれる。

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著者プロフィール

1902 年5 月25 日、兵庫県生まれ。本名・正史(まさし)。
1921 年に「恐ろしき四月馬鹿」でデビュー。大阪薬学専門学
校卒業後は実家で薬剤師として働いていたが、江戸川乱歩の
呼びかけに応じて上京、博文館へ入社して編集者となる。32
年より専業作家となり、一時的な休筆期間はあるものの、晩
年まで旺盛な執筆活動を展開した。48 年、金田一耕助探偵譚
の第一作「本陣殺人事件」(46)で第1 回探偵作家クラブ賞長
編賞を受賞。1981 年12 月28 日、結腸ガンのため国立病院医
療センターで死去。

「2022年 『赤屋敷殺人事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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