蝋面博士 (角川文庫)

著者 :
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041129135

作品紹介・あらすじ

蝋細工の面のような顔をした奇怪な蝋面博士。人間を殺して蝋人形に仕立てあげる、この怪人の暗躍に、等々力警部と御子柴少年は手も足も出ない。謎を追う名探偵、金田一耕助!

感想・レビュー・書評

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  • 顔が蝋のような怪しい男を追った“探偵小僧”御子柴進が見つけたのは、蝋人形にされた死体だった?!金田一不在の中で繰り広げられる冒険活劇を描く表題作をはじめ、全四作収録の中短編集。

    『蝋面博士』
    横転したトラックに積まれた木箱から現れたのは、蝋人形にされた人間の死体だった!顔が蝋のような怪しい男を追った“探偵小僧”御子柴進は、アトリエで恐ろしい光景を目にする!金田一耕助がアメリカに滞在中に起こった怪事件。予定を繰り上げて帰国した金田一が見たものとは?!

    蝋人形の中から死体が出てくる!江戸川乱歩にも通じる猟奇性!それを少年探偵の勇気と行動力を中心に据えて、あくまで冒険活劇として描くのが面白い。進が被害者の少女・アケミを助ける時計塔のシーンの知恵とアクションが魅力的。怪人の逃走と言えば軽気球!みたいな王道も楽しいよね。

    「だれだーっ、きさまはいったい何者だ」
    「ウッフッフ、おれかね。おれは蝋面博士だ」
    このやり取りが好き。帰国早々の手荒い歓迎!二転三転する物語!意外なゲストキャラたちも!推理というよりは怪人との攻防を楽しむ作品。でも、金田一が見えないところでこそこそと重大なことをしていて、いやいやそこどうやったん?!ってなるのが玉に瑕。

    『黒薔薇荘の秘密』
    元子爵・古宮一麿(ふるみやかずまろ)が建てた黒薔薇荘。彼は一年前の夏に密室の屋敷から忽然と姿を消した。そこを訪れた富士夫少年は、眠りから目覚めた時に寝室で謎のピエロに襲われて──。

    迷路研究家でもあった主人が失踪したいわくつきの屋敷に、失われた宝石。顔に傷がある男と怪しいピエロ。短編ながらワクワクする要素満載!ちょっとした謎解きもあるジュブナイル。でも、よくよく読むと失明した夫人の執念ってもしや──となるところが一番怖いのでは?

    『燈台島の怪』
    燈台島に現れた旅人・野口は嵐の夜に島から姿を消した。その時から夜になると地の底から変な声が聴こえるという。旅行で訪れた金田一と立花滋は燈台守の島崎から頼まれ、島に泊まって謎を追うが──。

    怪現象から始まる事件は、消えたはずの野口が姿を現して新展開を迎える。玄関で衰弱死した彼はいったいどこに居たのか?!彼の腕にある刺青や持っていた穴の開いた紙の謎は?!燈台下暗しな真相と、鎖のような因縁が切なかった。

    『謎のルビー』
    志摩貞代夫人が持っている時価何千万円もするルビーの指環が盗まれた。盗んだのは金を無心に来ていた従弟の波越(なみこし)恭助では?貞代が彼を訪ねると胸を刺された恭助の死体と、短刀を持って立つ彼の親友・深尾史郎の姿があった!

    犯人は史郎なのか?さらにルビーの行方は?今回の謎を解き明かすのは、名探偵・藤生(ふじお)俊策の息子である俊太郎。兄の無実を信じる由美の言葉を信じ、俊太郎は調査を始めていく。ルビーの隠し場所には驚かされたし、それがドラマを深めていて素敵だった。

  • ジュブナイルはあんまり人が死なないのが物足りない。やっぱり何の陰謀もないただの一般市民の執念が引き起こす血生臭い事件が合ってる。八つ墓村とかが恋しい。

  • 2022/09/24読了

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著者プロフィール

1902 年5 月25 日、兵庫県生まれ。本名・正史(まさし)。
1921 年に「恐ろしき四月馬鹿」でデビュー。大阪薬学専門学
校卒業後は実家で薬剤師として働いていたが、江戸川乱歩の
呼びかけに応じて上京、博文館へ入社して編集者となる。32
年より専業作家となり、一時的な休筆期間はあるものの、晩
年まで旺盛な執筆活動を展開した。48 年、金田一耕助探偵譚
の第一作「本陣殺人事件」(46)で第1 回探偵作家クラブ賞長
編賞を受賞。1981 年12 月28 日、結腸ガンのため国立病院医
療センターで死去。

「2022年 『赤屋敷殺人事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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