- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041129173
作品紹介・あらすじ
翼から鬼火のような青白い光を放ち、夜空に舞う無気味な金色のコウモリ。探偵小僧の御子柴進少年は、金コウモリが自動車の中から銃を発砲し、女性を殺害する現場を目撃した。三津木俊助とともに事件の調査を行う進少年のもとに、催眠術を駆使する金コウモリの魔の手が迫る……(「真珠塔」)。刑務所を脱走した悪党を追いかけた先で、脳の移植手術が秘密裏に研究されている骸骨島を見つける進少年の冒険劇「獣人魔島」を併録。
感想・レビュー・書評
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ジュブナイルミステリ復刊シリーズの一冊。探偵小僧・御子柴進と記者・三津木俊助のコンビが活躍する二つの中編が収録されている。登場人物だけではなく、真珠というキーワードが共通していたり、とあるキャラを彷彿とさせる怪人も登場する作品集。
『真珠塔』
夜空に舞う金色のコウモリが現れると事件が起こる。探偵小僧・御子柴進少年は、金コウモリの怪人が女性を射殺する現場を目撃した!三津木俊助とともに事件の調査を始めると、怪人の目的は柚木(ゆのき)が作り上げた何十億もの価値がある真珠塔だと知る。怪人の魔の手から宝を守り通すことができるのか?!
いつものコンビの前に恐るべき強敵現る!走る車から相手の急所をピストルの一発で撃ち抜くってシティーハンターレベルの達人かよ?!しかも今回も催眠術が強すぎる!怪しげな金色のコウモリまで従える怪人!三津木たちも読者も翻弄されまくる大冒険が待っている。真珠王と呼ばれる柚木老人が全財産をかけて作り上げた真珠塔!いや、その執念がすごいわ!しかも娘の弥生が15歳ってどうなってるの?!そこのドラマが気になる(笑)
今回もワクワク読ませてくれる仕掛けがたくさん!真珠塔にまつわる暗号!秘密通路!時計塔!秘密の屋敷!謎の女神像!バイオハザードの洋館かな?とツッコみたくなるほどの仕込み。水攻めに遭うと「ネズミのように水におぼれて……」はお決まりパターンなのか?!仮装舞踏会で怪人の変装をした三人がかち合ってコントみたいになったり、コミカルなシーンもあって飽きさせない。ジュブナイルにしては人が死にまくるのはいいのだろうか。
『獣人魔島』
刑務所を脱走した死刑囚・梶原一彦。彼は自分を死刑にした三芳判事一家へ復讐をしようとしていた。それを防ごうと探偵小僧・御子柴進少年は奮闘する。梶原の後を追いかけてたどり着いた先は、骸骨島といういわくつきの島!そこで行われようとしていたのは、梶原の脳をゴリラに移植する手術で──。
この話は進が大活躍!三芳一家をつけ狙う梶原と、それを阻止しようとする進の執念のぶつかり合いがすごかった。一矢報いたかと思いきや、物語は思わぬ方向へ。骸骨島って名前からしてヤバい!中にいる人間も三角形の黒頭巾をかぶっていて怪しい!しかも人間からゴリラへ脳移植!あれ?どこかで聞いたような──。今回はかなり冒険譚寄りのスタイルで楽しい。探偵アイテムが登場するのもいいよね。
あと、こちらにも真珠王と呼ばれる老人が登場!志賀恭三という老人のお祝いに作った真珠の宝舟!真珠塔に負けず劣らず、50億円相当の価値があるという!真珠とお金の量がすんごい!悪党たちはこれにも目をつける。結局、この宝舟ってどうなったんだっけ…。終盤の緊迫感があるアクションや明かされる意外な真実に押し流されてしまったけど、取り戻せてないんじゃ?!まあ、悪は滅んだからよかったということで…。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
怪獣男爵といい、この設定にはまってたんだなぁ。
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2022/11/28読了
著者プロフィール
横溝正史の作品





