准教授・高槻彰良の推察9 境界に立つもの (角川文庫)

  • KADOKAWA (2023年3月22日発売)
4.19
  • (112)
  • (148)
  • (45)
  • (4)
  • (0)
本棚登録 : 1518
感想 : 88
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784041129517

作品紹介・あらすじ

4月。尚哉は3年生に進級し、友人の難波と共に晴れて高槻ゼミの一員となった。
尚哉と難波は、初回ゼミのあと、数少ない男子学生どうし5人で仲良くなり、学期中に行われるグループでの研究発表を一緒にやろうと話す。
動画サイトで話題の「幽霊トンネル」を題材にしようと取材に赴くが、帰り際、尚哉は耳元で「どうして」という女の声を聞き――!?(「第一章 トンネルの中には」)

高槻が講義で、口裂け女やかまいたちといった「鎌」が絡む怪異について話したところ、大学の演劇サークルの代表から相談が。
先日、夜道を一緒に歩いていた次の舞台の主演女優の髪が、まるでかまいたちの仕業かのように、ばっさりと切られてしまったのだという。
高槻と尚哉は調査のため、サークルを訪れる。部員に一通り聞き込みをし、いざ帰ろうとした瞬間、高槻の従弟・優斗から着信が。なんと、高槻の父が刺され、病院に運ばれたという。
一緒に病院へ行こうと言う優斗に、高槻は「僕は行かない方がいいと思う」と呟き……。(「第二章 黒髪の女」)

高槻から「難波くんと何かあった?」と聞かれた尚哉。実はある理由で、難波との関係がぎくしゃくしているのだ。
悶々とする尚哉に高槻は「気分転換に旅行に行こう」と提案。運転免許を取り終わった尚哉の練習も兼ねて、桜を見に箱根に行こうという。
しかし宿の従業員から、桜の隠れ名所である、旅館の向かいにある山には鬼が出る、と言われ――?(「第三章 桜の鬼」)

己の「耳」の、己の「過去」の謎と向き合うふたりに、異界の魔の手が迫る――?
高槻をマークしている警視庁捜査一課・異質事件捜査係(通称:異捜)の動きも不穏さを増し……!?
高槻と尚哉、それぞれに試練が訪れる、目が離せないシリーズ第9弾!


イラスト/鈴木次郎

みんなの感想まとめ

テーマは怪異と人間関係の複雑さで、物語は高槻ゼミの新たなメンバーとなった尚哉と難波の成長を描きます。彼らは大学生活を通じて様々な事件に直面し、特に「トンネルの中には」では悲劇的な過去と向き合うことにな...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 尚哉と難波くんは高槻ゼミにはいり、3回生スタートです。「トンネルの中には」は悲しいお話。事件があった場所に供えられるお花。それを供えている人にとっては決して忘れられないこと。だけど多くの人にとっては、時間が経つにつれてもう忘れてしまいたい出来事。悪気はないのだろうけど、立場が違うとこんなにも捉え方が違うのだなと考えさせられました。
    「桜の鬼」はついに難波くんに耳の秘密を知られてしまい、悩んでいる尚哉を気分転換で旅行に連れ出した彰良と健ちゃん。和気あいあいな3人が楽しそうな反面、最後には異捜の山路が出てきて不穏な感じに。
    何とも先が気になる終わり方でした。
    巻末のお話の舞台は丸岡食堂。大学生の彰良のお話です。
    あっという間にこのシリーズも9作目。まだまだ続いてほしいなぁ。

  • 気づいたらもう9弾。
    尚哉は3年生になり、高槻ゼミの一員となったところから話が進みます。
    きちんと季節が進んでいるんですね。

    異捜も徐々に近づいてきていて、やや不穏な感じがします。
    難波くんは本当にいい奴でよかった。10巻も楽しみです。

  • 難波くん、存在感増してきた!高槻先生にとってのけんちゃんのような身体的な逞しさはないけど、精神的な逞しさは感じる。

  • シリーズ第9弾です。
    再読。audibleにて。
    今回は本編3編に番外編1編。

    大学3年生になり、高槻ゼミを受講する、尚哉と難波、グループ研究にトンネルの怪談を選び‥。
    ゼミの男子5人で殺人事件のあったトンネルに行ってみるが‥。

    難波との仲が深まる巻です。

    3話目には難波の人間の大きさに感動します。
    あと3話目のもう1人の高槻がいなくなった尚哉に気がつき、佐々倉を蹴り起こして「ボウズがいない」と教えるのもなんかツボです笑

  • シリーズ9の一冊。

    今作も良かった、濃かった。

    トンネル、かまいたち、サトリの怪異、旅行、友情、extraと盛りだくさん。
    トンネルが境界という解釈には納得感。

    箱根旅行は笑いと桜と怪異と…楽しかったな。
    みんなそれぞれちょっとした壁にぶち当たっていたけれど、やっぱりこの絆なら何があっても大丈夫と信じられちゃう。

    アキラ先生を一人にしたくない尚哉のサポートも良き、難波くんもほんと良き。

    尚哉の進路も固まりつつあるかな…と思いきや、まさかのあの人に目をつけられていたとは。
    "もう一人"もやっぱり謎。
    善か悪か、境界ゆらゆら。

  • 待ちに待った尚哉の高槻ゼミ生としての大学生活がスタート!!同じゼミに難波くんもいるので、面白くなっていくこと間違い無しです。

    今回ももちろん怪談に関する話は面白かったですが、尚哉と難波くんの友情に関する進展が個人的に目玉でした。
    遂に難波くんに嘘を聞き分けられる能力がばれた尚哉。尚哉が自分の心に折り合いをつけて打ち明け、向き合っていく過程が良かったです。

    異捜の2人も本格的に登場するようになって、尚哉を勧誘するわで面白くなってきました。尚哉がどういう進路を選ぶのかがこれから楽しみです。
    異捜の方の能力(?)のようなものも気になります。

    次は最新刊の10巻です。読むのも11巻の刊行も今から楽しみです。

  • 2023年3月角川文庫刊。書き下ろし。シリーズ9作目。トンネルの中には、黒髪の女、桜の鬼、それはかつての日の話Ⅲ、の4つの連作短編。異捜の山路に誘われた深町の話も興味深いが、友人の難波に異能力感づかれた話も面白い。物語りは佳境にはいった感がある。どこに着地するのか?次回が楽しみ。

  • 難波くんに秘密を知られて悩んでいたがそのまま逃げずに告白。難波くんは物怖じせずに面白がるのは純粋な子でウソをつく必要のない生き方をしていたのだろうなぁ

  • 1巻や2巻で根付いていた先入観を取り除いて読みました。
    そしたら「言い伝え」「妖怪」などが生まれた経緯が
    スルスルと入ってくるようになり、面白いと思いました。
    キャラクターに頼ったストーリーではない「教養」もあると感じました。
    高槻先生の物語も進みます。
    「まだ終わらないで」と思いながら読んでいます。

  • 高槻と深町それぞれに試練が訪れる?!民俗学ミステリ第9弾!
    深町も大学3年生になり、難波とともに高槻ゼミの一員として活動することに!しかもゼミは20人近くの大所帯!怪異の謎に加えて、深町は人波を乗り切れるのか?!

    幽霊トンネル、口裂け女、かまいたち、サトリなどがテーマになる9巻。怪談の歴史を絡めたミステリは安定の面白さがある。その一方で、高槻は家族と再会、深町は耳の秘密がバレる?!という節目もあり、ここから先の展開が楽しみになる一冊。気になってたあの人もついに登場?!

    以下、各話の感想を。

    『第一章 トンネルの中には』
    深町は難波も含めた高槻ゼミの男子5人でグループ発表をすることになった。動画サイトで話題の「幽霊トンネル」を題材に選んで調査へ向かう。その場所は昨年6月に女性が刺殺された現場だった。昼間は異常なさそうだったが、帰り際に「どうして」という女の声を聞き──。

    よくあるトンネルの怪談がどんな歴史を潜り抜けてきたのか。高槻先生の講義内容が相変わらず面白い。今の形の怪談になった由来がそこだとは知らなかった。そして、メディアの役割も大きいよね。昔は心霊番組が多かったし、ホラー映画なども増えてきて、怪談に対する向き合い方が一変してしまったんだなと。そういう社会だからこそ、超えてはならない倫理という境界が必要なんだろうね。

    『第二章 黒髪の女』
    演劇サークル「エッグ」代表・堀田大智(ほっただいち)から、サークル内で起きた髪が切られる事件を相談された高槻。主演女優・月村まどかの髪が、強風によって切断されたという。さらに、高槻の父・智彰が誰もいないところで腹を刺されたという報せも入り──。

    口裂け女の解説から派生して、凶器として持つ鎌の呪具的な意味合い、かまいたちのことなども語られて興味深かった。かまいたちや風切鎌の話は『かまいたちの夜2』で出たところだ!ってウキウキしてた(2はかなり伝奇ホラー寄りのゲーム)。そこからの、まるでかまいたちが発生したかのような二つの不可解な事件。その謎もさることながら、高槻が家族と顔を合わせたシーンは、こちらの心臓も押し潰されそうな緊張感が伝わってきた。家が異界になってしまったとしても、深町や佐々倉との生活はまぎれもない日常なのだ。戻る場所はここにあると高槻が信じられるようになれたらいいな。

    『第三章 桜の鬼』
    深町の耳の秘密がバレてしまった?!その戸惑いを見抜いた高槻は、彼と佐々倉を誘って桜を見に行く計画を立てる。箱根まで桜を見に行く楽しい旅行だったはずが、旅館で山に人の心を読む鬼がいるという噂を聞いて雲行きが怪しくなり──。

    旅行へ行くと事件に巻き込まれる体質になりつつある高槻たち。人の心を読む鬼と自分を重ね合わせて、異界へと迷い込む深町にはハラハラした。嘘を聞き分ける能力については、さらなる揺さぶりが投げかけられる。だが、そんな深町を日常へと連れ戻してくれる人はすぐ傍にいるのだ。彼を窮地から助け出したやさしい嘘が素敵だった。自分が大切にしたいものを選ぶ勇気を彼は持っている。

    p.18
    怪異というのは、日常性からの逸脱だ。ゆえに、イレギュラーな行動によって引き起こされるものなのかもしれない。予定外の行動を取ったがために、留まるべき日常からはみ出していってしまうのだ。

    p.29
    「けれど、『境界』も『異界』も、固定されたものではありません。そのとき僕達が世界をどう見ているかで、たやすくそれは変化する。今この教室の中にいる僕達にとって、廊下に立つ人は『あちら側』の存在です。あの扉は『境界』ですね。でも、チャイムが鳴れば、僕達は皆、『あちら側』に出て行くんです。廊下に出てしまえば、誰もいなくなったこの教室は『異界』と化す。……だから結局は、立ち位置の問題でしかないのかもしれませんね。何を『異界』と見なし、どこを『境界』とするかというのは」

  • 深町が!3年生に!進級!!!
    難波と共に、高槻のゼミに!!!
    同じ年頃の息子を持つ身としては、「大きくなったねぇ…深町…(しみじみ)」という感じである。

    第一章「トンネルの中には」
    事件自体は人為的なものだったが…これも、前巻の「押し入れに棲むモノ」みたいに、最後に本物の…怪異…?という感じで終わる。

    第二章「黒髪の女」
    大学サークル内のいざこざに“髪切り”…
    事件自体は人為的なものだったが、髪切り事件よりも高槻家の重要人物たちが一気に登場してパニック!!
    高槻智彰(高槻の父)、高槻清花(高槻の母)、伯父(従弟・優斗の父)、そして高槻の祖父…
    一気に出過ぎ、しかもなかなかバックボーンが不穏に濃そうで、この華族の大問題を越えないと結末にいかないだろうな…というのが見えて、どんより…
    さらに、この話の最後には、難波に高槻の耳のことがバレて終わるという、、、
    事件そのものよりも、まわりのエピソードの方が、気になって仕方がない事件だった。
    ちなみに事件そのものは人為的で、怪異なし。

    第三章「桜の鬼」
    8巻に引き続き、旅行の話がラストに。
    そして、ナチュラルに危ない感じでサトリが登場。
    サトリを追ってきた林原と、その隣に御崎(「憧れの作家は人間じゃありませんでした」登場人物)がいそうな描写もあって歓喜!
    でも、事件が終わっての構内に、あの嫌味で腹黒い山路まで登場…(林原の上司、異捜の係長。「憧れの作家は人間じゃありませんでした」登場人物)やだー!!
    深町を追い詰めるように異捜へ勧誘するし…山路め…!!

    難波に耳のことがバレた件、難波は「深町が怒っているから、自分のLINEがスルーされていた」と解釈していて、深町の能力を気味悪がるどころか「すごいじゃん!!」と嘘のない言葉で深町に伝える展開に…ホロッときてしまったよ…
    嘘がわかる耳を持っていても、友達ができた。
    深町は孤独ではない。

    「extra それはかつての日の話Ⅲ」
    高槻いきつけの丸岡食堂の話で、丸岡食堂の十和子目線で話が進む。
    高槻が大学1年生の時に丸岡食堂と出会うのだが、その時の事件と、現在の関係性が見えてほっこりする話。
    本編がハードモードな分、こういうほっこりは大事。

    主なキャラクター紹介は、8巻と同じく遠山宏孝・海野沙絵がプラスのもの。

  • 色々な意味で、物語のターニングポイントになる巻だった。嘘を見抜く能力を知られても、何一つ変わらずに傍に居続けてくれる親友(難波)が尚哉にいてくれて、本当に良かったと心から思う。作中の「他人の僕達にはただの『物語』でも、そこにいる人達からすれば『事件』であり『記憶』であり『傷』」という高槻先生の言葉は、怪談に限らず現実の人間関係にも通じる。他人の心に触れるときは忘れないよう、私も肝に銘じたい。

  • 久々に読んだから、忘れてた部分を思い出しながら楽しんだ。神奈川県が沢山出てくる。逗子のお化けトンネルが懐かしい。

  • なんだかんだで、9巻まで一気に読んでしまいました。高槻彰良准教授の過去の事件について早く知りたいです。
    次の巻が出るまで気になって眠れそうもないです。

  • 尚哉は3年になり、高槻ゼミへ。難波君も倍率勝ち抜いて同じゼミへ。グループ発表などの必要から数少ない男子学生が集まって幽霊トンネルに現地取材しに行ったらなんと殺された女性らしき声が聞こえて…。
    二章は学内演劇サークルの代表が、高槻の授業でかまいたちの話を聞き、ゼミ室に相談に来る。主演女性の髪が突然何かに切られたと…。同時に高槻の父も何かに襲われる。いったい何が起こっているのか?
    最後はGWに箱根へ高槻、佐々倉と三人で旅行に行き、異界に近づいてしまい、異捜とも近づいてしまい、難波にもついに気付かれる…。おまけで高槻の大学時代のエピソード。
    うん、今回も大変面白かったです。異界と民俗学と現実の話のバランスがとても良い。続きが楽しみです。

  • 作中の時間軸と同じ、ちょうど桜の咲く時期に読めてよかった。
    深町くんもついに大学3年生。
    無事に高槻先生のゼミに入れた模様。
    自分は理系出身で、こういったゼミを経験していないので、具体的なゼミの内容まで踏み込んだ大学生活を見せてくれるリアリティさもありがたかった。
    先生の講義風景も変わらず入れてくれてたし。
    毎回先生の講義が楽しみで楽しみで。

    それでいて、異捜の人たちの登場頻度も上がっているから、現実との乖離もまたあるのだけれども。
    まさか異捜の「あの方」まで登場するとは思わなかった。
    (+あの先生も)

    今回はトンネルの幽霊に口裂け女やかまいたち、髪切り、そして鬼とサトリのお話。
    ちゃっかりいつもの3人で旅行もしているのだけれども、やっぱり怪異に巻き込まれるという。
    本物の遭遇率が本当に上がってますなあ。
    あちこちからスカウトのかかる深町くんの進路も気になるところです。

    番外編は高槻先生とある食堂とのご縁の話。
    これが本編で明かされた内容とも相俟って泣けました。
    高槻先生にとって、実家は「実家」ではないから。
    今回、先生が家族に会う山場シーンもあったので、それの救済の物語としても受け止めました。
    食堂の二人がまたいい人なのですよ。
    これからも、高槻先生の心の実家であり続けてほしいと思います。

  • このシリーズは人との繋がりというのはなんと温かで柔らかなのかを教えてくれる。

  • 深町君がついに高槻ゼミに!しかも難波君も一緒!
    安心感がすごい。
    今作もなかなかに濃い1冊でした。
    これからどうなるの!?っていう種がたくさん撒かれた回だった気がする。
    これから本当にどうなるんだろう……

  • 【収録作品】
    第一章 トンネルの中には
    第二章 黒髪の女
    第三章 桜の鬼
    【extra】それはかつての日の話Ⅲ

    ついに異捜の山路が登場して、ホラー感が増す。

  • 3年になり、高槻のゼミに入った深町。
    研究としての怪異という今までのスタンスを保ちつつ、別作品とのリンクも深まりオカルトファンタジー要素が強まる。
    深町異捜にスカウトされていたけど、彼の立場でフリーランス契約は保険や年金が損するのでは、と別の要素でやめたほうがいいと思ってしまった。
    そして難波はやっぱりいいやつ。一生の友達は付き合いの長さだけじゃないんだよ。

全73件中 1 - 20件を表示

著者プロフィール

神奈川県横浜市出身、在住。2016年に『憧れの作家は人間じゃありませんでした』で第2回角川文庫キャラクター小説大賞《大賞》を満場一致で受賞し、デビュー。同作はシリーズ化され1~3巻を数える。21年夏、「准教授・高槻彰良の推察」シリーズが実写ドラマ化され話題に。キャラクター文芸界再注目の作家。

「2023年 『憧れの作家は人間じゃありませんでした4』 で使われていた紹介文から引用しています。」

澤村御影の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×