ecriture 新人作家・杉浦李奈の推論 VI 見立て殺人は芥川 (角川文庫)
- KADOKAWA (2022年8月24日発売)


- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041129852
作品紹介・あらすじ
都内で改造ガスガンを使った殺人事件が発生。被害者2人のうち1人の胸の上に芥川龍之介の「桃太郎」が小冊子に綴じられて置かれていた。これまで文学に関わる難事件を解決してきた李奈は、刑事の要請で今回も捜査に協力することに。一方で本業の小説執筆ははかばかしくなかった。加えて母の愛美が三重から上京。気持ちが落ち着かずにいた。謎めいた事件と停滞気味の自分。李奈はこの2つの問題を乗り越えられるのか!?
感想・レビュー・書評
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見立て殺人は芥川?
使う物語は『藪の中』とか『蜘蛛の糸』かな…なんておもったら、『桃太郎』???
恥ずかしながら芥川が桃太郎を描いていたなんてしらなかった。
『蜘蛛の糸・杜子春・トロッコ 他十七篇』は読んだことがあるはずなのだが…
そしてこの芥川桃太郎は、不思議なおわり方をする。
本作でも言及されているが、執筆当時の時代背景を考えないといけない。
それにしても、本作は新興宗教だとか、親子の関係だとか、戦争だとか、どうも最近の事情を入れ込んでいるように感じてしまう。
だとしたらすごい執筆スピード。
プロは違う。
なお、好みの問題を言えば、本作、いままでの杉浦李奈シリーズの中では一番好きだ。
李奈自身の家族の問題、被害者の家庭の問題など、本当に丁寧に描写される。
誰もがこれは私のことかなと思わせる内容だ。
また、知識も自然と増え、よみつづけたら知性のあるひとかどの人物になれそうな気がする。
次は、何かなー詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
今回は見立て殺人か・・・
それにしても、芥川版「桃太郎」なんて知ってる人どのくらいいるんだろ?
そして毒親って誰?ってか -
ミステリーとは言え、まさかの設定と犯人、そして動機に驚きました。若い女性の気持ちをこの作家さんは、何で解るのでしょうか?それがミステリーでは。
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テンポが早く、サクサク読めるのに内容はしっかりしていて、読んでいて引き込まれる。
しかもしっかりキャラクターの成長まで書いていて、ラストも驚きがあり、すごいと思う。
あと本に関する知識が少し増えるのも嬉しい。 -
母親と分かり合えて良かった。
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このシリーズの集大成になるのかな?前回のシンデレラの原典の話と似ているかと思いましたが、全く違うアプローチでした。今回は皆もよく知る芥川龍之介(このシリーズの基本中の基本)ですが、「桃太郎」を書いていたことを初めて知りました。また、ミステリーの点でも最後まで犯人が想像もつかず、更に、李奈と母親の確執もこの本でしっかり伏線回収しており、あっという間に読めますが、中身はとても凝縮しており、最終版(?)と思える内容でした。次の松岡作品が楽しみです。
著者プロフィール
松岡圭祐の作品





