- KADOKAWA (2022年12月21日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (192ページ) / ISBN・EAN: 9784041131121
作品紹介・あらすじ
黒須は激怒した。必ず、かの邪知暴虐のぼったくりバーを除かねばならぬと決意した――。大和八木の実家に暮らす独身無職の黒須は、大阪に住む悪友・瀬川を訪ねる。久しぶりの再会を喜ぶ二人は、一晩飲み明かそうと宗右衛門町のキャバクラへ。しかしそこは法外な値段設定のぼったくりバーだった! 手持ちが足らない黒須は、瀬川を人質として店に残し、奈良の実家へ現金を取りに戻るため走り出す。(「走れ黒須」)ほか全11篇。
みんなの感想まとめ
文学の名作を現代の奈良を舞台に大胆にアレンジした短編集は、笑いと共に文学愛に満ちた作品です。特に『走れ黒須』では、主人公が友人を人質にしてお金を取りに行くというユニークなストーリーが展開され、奈良の地...
感想・レビュー・書評
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久々に本を読みながら笑いました。
走れメロス、浦島太郎、竹取物語などを現代の奈良を舞台にしたパロディー短編集です。走れメロスなら太宰風に、竹取物語なら文語体風にしたりと原作に寄せていて、おふざけ満載です。
一番のお気に入りは『走れ黒須』。『走れメロス』のパロディーです。
黒須は激怒した。― から話は始まります。
黒須は友人の瀬川と一緒に大和八木から近鉄電車ではるばると大阪の宗右衛門町にやってきた。居酒屋で一杯ひっかけた後に入ったキャバクラがぼったくりだった。請求額49万8千600円。瀬川をキャバクラの事務所に残し、お金を取りに自宅に戻る黒須。期限は本日の営業時間が終わるまで。間に合わなければ瀬川は大阪湾に沈められます。
折り返し大阪方面行の電車に乗るが、途中の五位堂駅で終電がなくなり、黒須は自転車を盗んで大阪に向かう…。
大和八木も五位堂も、大阪の通勤圏なのにめちゃくちゃ遠いんです。知り合いが住んでいましたが、一度行ったら二度と行きたくないくらい遠いんです。著者がこの絶妙な遠さの駅を選んでいるところにニヤニヤさせられます。
主人公が虎ではなく鹿になってしまった『若草山月記』もツッコミどころが満載で笑いっぱなしです。
二十歳(菊池寛の『形』のパロディー)では主人公が行基前で待ち合わせしていたり、どん銀行員(ごんぎつねのパロディー)では銀行員の主人公が十津川村の支店に飛ばされたり、と、奈良県民向けの小ネタが散りばめられています。奈良県にゆかりのない人には物足りないかもしれません。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
文学を愛するすべての人よ。奈良を愛するすべての人よ。踊れ、狂え、抱腹絶倒の文学パロディに。
奈良ネタがふんだんに詰め込まれ、ときには現代風に、ときには奈良に昔から伝わる説話のように語られる。
特にすごいなと感じたのが、元ネタの作品に文体が寄せられている点。単語の選び方や文章の調子など、坂口安吾や中島敦といった豪華な面々が奈良県にやって来て書いたのかと思うほどだった。奈良への愛だけでなく、文学への愛もにじみ出ている。
元ネタの文学作品も読み返したくなったし、奈良への愛も再認識できた。最高の一冊でした。 -
数々の名作文学を、奈良を舞台にして大胆にアレンジした短編集。登場する地名やなんやが奈良県民ならとってもなじみ深くって、そりゃもう奈良県民なら必読の一冊かも。抱腹絶倒です。
お気に入りは「三文の徳」。うんうん、そうだよね。この言葉の語源はこういうことだって説がありますよ。それがまさかこんなミステリ調の物語に化けるとは。
「若草山月記」……なんてこったい。鹿なのか。鹿になるのか。そして鹿せんべい貪ってしまうのか。原典よりも切なくなってしまうかもしれません。
「大和の桜の満開の下」は原典も大好きなあの作品なのですが。なかなかにホラーな作品に仕上がっています。でも猫好きとしては、怖いよりもどこかしらほっこりしてしまうなあ。 -
面白いのが多い。けど読むのが難しいのもある。短編の良さは飛ばして読める事かもしれない。
大和桜の木の下がストーリーとしては良かった。
1時間ぐらいで読めるが印象に残るほどではなかったかな。 -
コンセプトが尖りまくってるが、刺さる人には刺さる。
どちらかというと奈良在住歴よりも文学好きに刺さると思われる。
ただし、ギャグやネタに寛容な…。
ターゲットがピンポイント過ぎるとは思うが、作者が好きなことを好きなように表現した上で、魅力的な作品になっている。
その情熱が伝わってくる点で、作品としては成功していると思う。 -
世界よ、奈良色に染まれ。名作文学×現代奈良エンタメ-。
初めての、あをにまるsan。
面白ーいっ!
名作「走れメロス」をモデルにした「走れ黒須」から「耳成浩一の話」まで、現在の奈良を舞台にした全11話。近鉄電車の駅名や大阪の飲み屋街、鹿や妖怪まで出てきて、一日も早く奈良に行きたくなりました。
お気に入りは「奈良島太郎」と「ファンキー竹取物語」。
いじめられている亀(オヤジ)を見つけて、”こりゃあひどい、ポリスメンを呼んであげよう”というセリフや、かぐや姫が月へ帰る時に泣いている翁(おきな)の理由が、Youtubeの再生回数が減ってしまうことなど。まさに現代奈良のエンターテイメントですっ! 知らんけど。
☆Special Thanks to ackky-san☆
【はてなインターネット文学賞】 -
正直な感想として、物足りない。
名作文学を、現代奈良を舞台に再構築する…というものなのだが、ワンパンチツーパンチ足りないと言うか…。
「再構築」の部分に、単に登場人物や地名を現代奈良のものに置き換えるだけではなく、作者が原典に抱いた思いや解釈、そこから発展した濃厚な妄想というものが絡んで、それで面白みと独特みのある、面白い小説に昇華するのであろうが…。
本作においては、その部分がまだまだ浅いというか、作者さんの、独自の、豊潤な味付けをしたうえでの、名作と奈良との合体妄想絵巻だったらもっと面白かったかなと思いました。
森見登美彦さんの走れメロスを読んだことがあったから、このように、感じたのかも知れません。本書単体としては、会社帰りで疲れていて小難しい本を読むのは無理…というリフレッシュタイムにちょうど合う、面白くライトな小説だと思います。
作者さんの今後に期待したいなと思います。 -
奈良県民にとっては面白さがさらに増す。
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2023/4/24 読了
走れ黒須、であんまり合わないかも、、と思ったけど、奈良島太郎など話毎に話のタッチが変わり、悲しいのも、鬱陶しいのも、楽しいのも、ほんのりなのもたくさんあって楽しめた -
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奈良を舞台にしたパロディ短編小説集、と書いても全く魅力が伝わらないのがもどかしい一冊。
たくさんの名作が、今の奈良を舞台に再構築されます。
奈良で生活したことのある人間には、ありありとその風景が浮かぶ。奈良の土地であり、その人間性を非常によく理解した人だからこそ書ける作品集。
ただ…この作品の本当のおもしろみはそこではなくて。
原作のよいところを理解した上で、その作品のえぐみのような部分を引き算して、大変優しい作品に仕上げているところ。
それを一番強く感じたのは「大和の桜の満開の下」という短編。この短編集の中では比較的強い表現のある作品ではありますが、これを読んですぐその元となった坂口安吾「桜の森の満開の下」を読んで…そこを残してそうしあげたか…と思わずうなった。
もしこの原作を読んだことがない人は(自分もそうでしたw)、この短編を読む前でも読んだ後でもいいので原作も読むことをおすすめします(青空文庫に公開されてます)。
できれば高田の桜の花を眺めながら、と言いたいところですが、今年の桜の花はもう散ったかな?
パロディってなんとなく「足し算」してしまいがちなんですが、元の良さを知っていれば「引き算」になるんだ。
それをなにより感じさせてくれた一冊でした。 -
面白~
文学少女全員に勧めたい。
時代との整合性の付け方素晴らしい -
卑屈な奈良県民botのアカウント名で奈良のあれこれをおもしろおかしく語るツイートが人気の著者が古典を奈良ベースの物語に置き換えて盛大にパロった短編集。
古典をその雰囲気はそのままに現代奈良に設定を置き換えているのがすごい。古典文学に苦手意識がある人が読んだら興味が持てていいかも。 -
名作文学に奈良の要素を加えたパロディ作品集。パロディなので、あまり奈良要素が必要だったかよく分からないものもあったが、宮沢賢治の「やまなし」を原作にした「うみなし」は奈良要素が詰まってて好きな話だった。
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いこまブロック予選 全国大学ビブリオバトル2024で紹介された本です。
2024.10.27 -
SNSで紹介されていた「ファンキー竹取物語」がめちゃくちゃ面白かったのでこちらを入手。
ファンキー竹取物語は何度読んでも面白い。この文体をリアルに楽しめるのは“いま”しかないんですよね。10年も経てば「ぴえん」などは懐かしさを伴う言葉になってしまいますから。
「どん銀行員」も良かったな。作者は優しい。
笑えるものもあれば、シリアスなものもあり、作者の自由な発想が面白いです。時々、思わず声を立てて笑ってしまったので、電車の中で読まなくてよかった。
原作の方にも手を伸ばしたくなりました。 -
カクヨムで「ファンキー竹取物語」を読んで結構面白かったので購入。元ネタを知ってる話は楽しめた。奈良近辺在住だったら細かいネタがわかって更に面白かったんだろうなー
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名作文学をモチーフに、現代の奈良に関わる物語に再構築した物語集と云う発想は面白い。ただ、それぞれの作品がイマイチって感じはする。まあ、軽く読める1冊ですな
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図書館。
奈良にはさほどゆかりはないけれど、近鉄奈良線に親しみを感じているため、ニヤリとするところはいくつかあった。
思ったほどネタ本という感じではなく、ちゃんと名作を背景に書いてくれているのが面白い。
