去年の雪 (角川文庫)

  • KADOKAWA (2023年2月24日発売)
3.10
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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784041131152

作品紹介・あらすじ

双子の姉妹、千奈美と真奈美は2人だけにしか聞こえない声を聞くことがある。事故で死んだはずの謙人は、気がつくと数百年前の見知らぬ家の中に佇んでいた。黒猫のトムは、住み慣れた家の中に時々現れる別の世界を知っている……。100人を超える”彼ら”の日常は、時代も場所も生死の境界をも飛び越えて、ゆるやかに繋がっていく。
江國香織ワールド全開! この世界の儚さと美しさが詰まった、ちょっぴり不思議で愛おしい物語。

【解説】凪良ゆう

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

さまざまな人々の断片的な日常が、時代や場所、生死を超えて繋がっていく様子が描かれた物語は、まるで多彩なインクが重なり合って一つのアートを成すような魅力に満ちています。100人以上のキャラクターがそれぞ...

感想・レビュー・書評

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  • 100人もの人たちがそれぞれに抱える、日常のあれこれ。
    それらは時代も場所もさまざまで、ほんの2ページほどの短い文章の中で、断片的に延々と綴られている。
    前に出てきたあの人がこんな所で…とか、人との関わりが網の目のように見えて、世の中はこんな微妙な繋がりでできているのだなぁと確信する。
    自分が幽霊にでもなったかのように、あっちこっちへ飛び回って、他人の生活をのぞき見しているみたいで面白かった。

    生き方も考え方も人それぞれ、老若男女さらには死人までもを書き分けている、江國さんの豊かな感性がほんとうに凄いと思った。
    時代を飛び越えて、失くなった腕時計が平安時代に落ちていたり、コーラの缶がシャワシャワと泡立っていたり、遊び心もたくさん含まれていて、なんとも心憎い。

    決して終わることのない日常。いつまでも回り続ける日常。
    降り積もっては溶けていく雪のようにはかない、何気ない日常が、ほんとうに愛おしく思えてくる。

  • 現代のみならず、平安時代(?)と思える時代の人たちも含め、そこここにいそうな人々の日常を切り取って描いた話。それぞれのエピソードは、2ページ弱くらい。

    どんどん場面が変わり、初めはどこかで関係性が明かされるのかと思いつつ読み進めたが、時々関連しそうなエピソードもあるものの、多くは回収されないまま語られていて、なんだか落ち着かないまま読了。

    元来、江國香織さんの不思議な世界観が好きだったが、残念ながら、この作品はよさがわからなかった。

  • 心地よかった。
    当初は、ざわざわした環境で読んでいたこともあり、混乱した。だけど、読み進めて、どんどん文章が染みていった。

    たくさんの人を垣間見る。生死も時間も超えて、みんな、なにかを考えて行動している。その断片が描かれている。読んでいくうちに繋がったり、ふとさっき居た誰かを思い出したりする。自分のなかで繋がりを見いだしたりもする。
    気になったり発見したり自分に引っかかる箇所について考えたり。
    わたしにとっては、言葉で説明するより、感じる読書だった。
    またふとしたときに、繰り返し読みたい本。

  • さまざまな色のインクを落として重ねて、意味のない集まりのようにみえて、遠くから見ると形造られているアートのような作品。
    江國香織さんの独特の湿度を含んだ流れるような文体が活きておりファンには堪らない物語。いつまでも読んでみたい。どこから読んでも面白い。一方、ストーリーとして深掘りがないため、江國さんに馴染みのない方には物足りなさを感じてしまうかも、、。

  • 人々の何やらとても興味深い物語の沢山が、それぞれ少しずつ少しずつ絡み合って進行。色々な人生を覗く、僕の好きなタイプの小説。読み終えたくないような、そしてなぜだか癒されるゆったりとした読書時間でした。

  • 沢山の人が入れ替わりながら、少しずつ物語が進んでいく。

    うっかりすると気付かないまま通り過ぎてしまうので、個人的には少し苦手な構造の小説。

    でもまあ、そんな雑な読み方の自分だから、次の話にぴょいと飛ぶ時に、ミスリードしたりして、面白い。

    名前。モチーフ。どことどこが繋がっているのか、とりあえず初読は分からないまま終わってしまうのもアリかもしれない。

  • 数多の登場人物(100人超え)と様々な時代のエピソードが交差する断片的な物語

    一人につき数ページのエピソードが次々と展開される
    死んだ夫と交信する女性、妻の乳房に執着する夫、自分が死んだ事に気づいた人、飼い主が亡くなった猫、双子である事が普通で双子でないのがどんなものか想像できない姉妹

    現代のエピソードかと思って読んでいると、携帯電話を持っていたらしないであろう行動を取る人がいて、昭和の時代であると推測されるエピソードもあったり

    変わった名前の人が出てきて、描写から「平安時代?」と思われる人もいる
    でも、地の文では御帳台にベッドとルビが振られていたりヒステリーという言葉が登場したりと、不思議な感覚を覚える

    平安時代、江戸時代、1970年代、そして現代

    様々な時代や場所で生きる人々の日常が並列して進んでいく中
    ふと時代を超えて人の言葉が聞こえたり、
    時には過去の人と現代の人がぶつかったり
    シャボン玉、腕時計、内服薬、コーラ、消しゴムなども謎のカラスによって未来から過去に運ばれたりと交差する人々の日常


    また、夏レンコン、豆腐、餅の白さについて言及する人たちという共通点
    彼ら彼女らの繋がりはあったりするのか?


    人々のエピソードが降り積もっては消えてゆく様を模したのがタイトルの意味だろうか?


    全編通じて、江國香織さんの小説らしさにあふれている
    風景描写や人物の心情など、そこかしこにそれっぽさを感じる
    しかし、物語の続きを読みたくとも次々と視点が変わるために何らかのフラストレーションも感じる

    例えるなら、パッチワークで作られたタペストリーのようなものでしょうか

    江國さん好きにとってはらしさを感じるけど、何も知らない人にとってこの小説はどういう印象なんですかね?

  • あまりにも登場人物が多くて、読んでる途中で挫折するんじゃないかと思ってたけど、やっぱり江國香織さんは凄かった。
    気がつけば少しずつ繋がっていく世界に夢中になって、どんどん惹き込まれ、気がつけば最後まで読んでましたw
    時代も生も死も超えた物語は圧巻です。

  • 久々の江國香織。数ページでどんどん変わっていくので、もっと続きが読みたいともやもやしたんだけど、途中からこの空気感を楽しむものだとわかってからは楽しく読めた。
    何というか、全く関係のない人々の、緩やかな繋がりを思う。この世(とあの世)もこんな感じで繋がっているのかなと。

  • 私には向かない小説だった
    短編とも言えないし、こんな小説はじめて読んだ
    時代も場面も違う様々な人の日常の寄せ集めといった感じ

  • 百人を超える登場人物だとか。前の話と繋がっていたり、繋がっていなかったり。読み始めは頑張って全部を把握しようとページを行き来したけど、これは大変だと途中で諦める。ただ身を任せて、ぼんやり目の前を流れていく景色を眺めるように読み進めると、だんだんこの世界への浸かり方が掴めてきたような。(これが正しいのかはわからないけど。)
    昨日すれ違った誰か。一昨日電車で隣の席に座っていた誰か。今、隣を漂っているかもしれない誰か。そんな"誰か"と私は繋がっていたり、繋がっていなかったりする。ただ、きっとみんなこの世界で重なっている。
    ただ現代を生きている人だけじゃなくて、過去の時代の人々や亡くなって魂だけになった人々が交差するように出てくるのが、この「重なり」を一層懐深いものにしている。

  • 失恋後21作目
    登場人物が多過ぎる!それぞれの登場が短いので、なんだか読み足りない気がするものの、人数が、多いので脳内処理が難しい。
    ふとしたセリフがなかなか江國香織ぽいな、と思ってしまった。
    珍しく読むのに時間がかかった。

  • まず、小説に必ず起承転結を求める人には向かない。江國香織さんを普段から読む人なら、江國香織さんらしい文章が読めて満足できると思う。

    私はこの本を読んで、生々しいなぁと思った。現実だなぁと。この本の中に、自分もどこかで登場するのではないか?自分の知ってる人が出てくるのではないか?と思わせる、そういうリアルな人間生活が描かれてると思った。江國さんってすごい。100人もの生活を、どこで見て想像して、こんなに肉付けできるのだろう。創作とは思えない。

  • たくさんの人たちが出てきて、生活という様々な場面がくるくると万華鏡のように展開される。
    掃除の人とラブホの人と妻の乳房が好きな人は覚えた。が、もはや何人出ているのか、どこでどう繋がっていたのかはわからない。
    丁寧に読んでいたらくるくると入れ替わり立ち替わり与えられる光景にめまいがしてしまいそうだ。

  • 文庫にて再読。時代がくるくる入れ替わる。「ストーリー」はつかめなくて、韻文のように言葉の心地よさを楽しむ。

  • すごい小説だった。
    人間の一生、なんて短くて儚いんだろう。
    なんていろんな人がいるんだろう。(当たり前だけど日々実感するのが難しいこと)
    でも、だからこそそれを知ると、生きるのが楽になる。

    ああ、そんなに一生懸命にならなくてもいいんだな。なんでもいいんだな。みんなどうせあっという間に"それ"の1つになって、世界のどこかをふわふわ漂う。同じになる。
    じゃあそれまでの短い間、毎日少しでも楽しい美しい瞬間を見つけるだけでいいのだ。

    解説で凪良ゆうさんが仰っていた「ある種の無常感」、これを感じられた人はこの作品に救われると思うし、低評価をつけた人は感じ取れなかったんだろう。
    こんな新しい書き方で、こんな感覚を伝えられる江國さん、本当にすごい。

  • 難解
    登場人物が次々現れて時代設定も次々変わる
    死者と生者が交錯し、この物語の落ちはどうつけるのか、うーんといった感じでなんとか読みきった

  • 江國ワールドが好きな私は楽しく読みました。
    『つめたいよるに』の中の一遍、「いつか、ずっと昔」を長編にしたかのよう。

    夜、高い山の上から夜景を見下ろして、「この灯りひとつひとつのもとで人ひとり・家庭ひとつがそれぞれの人生を生きているのだ」と考えると、気が遠くなるような、命の営みに圧倒されるような気分になることがあるけど、この本もそんな感じ。
    ただ人間以外の命も登場するし、もう生きていない命もいるし、時間軸も現代を超越していて。そこまで書けるのは、さすが江國さん。

  • 私の日常がこの中にある
    時空を超えて登場するカラスが気になった
    こんな小説初めて
    斬新な試みでとても面白かった

    去年の雪 消えてなくなってもそこに「ある」

  • この小説の感想の中に
    『小説に必ず起承転結を求める人には向かない』
    という一文を見て、
    あ、私だ。とも思ったし、
    小説への見方がいかに固定されているか、知らされた。

    こういう小説もあるんだ。

    一つの川があり、その川が下っていく先、
    川辺にはさまざまな風景や、人物たちがいる。
    それを船に乗ってみている感じ。

    ゆっくり流れて、
    ゆっくり物語はすすんで、
    だけど、その一つ一つの物語の行末はわからない。
    それは過去の話。過ぎた話。
    ただそれだけ。

    江國さんの小説はこういう書き方が多いらしい。
    小説を読むのも楽しみだけれど、
    いろんな作風を読むこともまた、
    小説を一段と楽しめるのかもしれない。

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著者プロフィール

江國 香織(えくに・かおり):1964年東京生まれ。1992年『きらきらひかる』で紫式部文学賞、2002年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で山本周五郎賞、04年『号泣する準備はできていた』で直木賞、07年『がらくた』で島清恋愛文学賞、10年『真昼なのに昏い部屋』で中央公論文学賞、12年「犬とハモニカ」で川端康成文学賞、15年『ヤモリ、カエル、シジミチョウ』で谷崎潤一郎賞など数々の文学賞を受賞。他の小説作品に『つめたいよるに』『神様のボート』『東京タワー』『抱擁、あるいはライスには塩を』『彼女たちの場合は』『去年の雪』『ひとりでカラカサさしてゆく』『シェニール織とか黄肉のメロンとか』『川のある街』など多数。『絵本を抱えて部屋のすみへ』『いくつもの週末』『雨はコーラをのめない』『旅ドロップ』などのエッセイ集や詩集・童話・翻訳など多彩なジャンルで活躍。 

「2024年 『読んでばっか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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