- KADOKAWA (2023年3月29日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (352ページ) / ISBN・EAN: 9784041134658
作品紹介・あらすじ
植物が「下等生物」などではなく、「知的生命体」だと知ったら、あなたの世界の見方は一変するだろう。
植物が驚くほど高い知性を持ち、自分が置かれた状況を把握して、未来を予測し、他の生物とコミュニケーションすら取っていると知ったら――どうだろうか?
気味が悪い? 伐採したり、食べたりするのが可哀想? 人間は彼らとどう付き合うか考え直すべき……?
そうしたすべての反応を引き出し、考えるヒントを提供するのが本書、『プランタ・サピエンス 知的生命体としての植物』だ。
世界で唯一植物の知性を専門に研究する「MINT研究所(ミニマル・インテリジェンス・ラボ)」の代表研究者、科学哲学教授の著者が描き出す植物の知性についての先端研究内容は、ページごとに私たちを驚かせる。植物研究の成果にとどまらず、植物を他の動物やコンピュータ、人間の脳構造などと比較することで、植物のイメージを「声なき背景である下等生物」から「プランタ・サピエンス(賢い植物)」に引き上げていく。
植物は脳を持たず、人間や動物のように動き回ることもできないが、人間とは異なる驚くべき内面世界があることが今、明らかになりつつある。
植物は計画を立て、学習し、仲間を認識し、リスクを評価し、決断を下すことができる。そして本書の導入部分で明らかにされているように、植物を「眠らせる」こともできる。
我々が思うよりもはるかに、植物は活発に、規則正しく、そして「知的に」生きているのだ。
人間が「動物中心主義」の古い考えを脱し、本当の意味で持続可能な社会を実現するために、植物という「知的生命体」を見直し、理解し、協力関係を築くことを大胆に提案した本書は、人類にとって初めての「教養としての植物本」である。
みんなの感想まとめ
植物が知的生命体であるという新たな視点を提供する本書は、私たちが持つ「知性」の定義を問い直します。著者は、植物が未来を予測し、他の生物とコミュニケーションを取る能力を持つことを示し、これまでの「下等生...
感想・レビュー・書評
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タイトルはホモ・サピエンスならぬプランタ・サピエンス。ただし植物を「賢い存在」として持ち上げる本というより、人間が当然視してきた「知性」の定義を問い直す本なのだと感じた。
著書のパコ・ガルボはスペインを拠点に植物の知性について研究を続けてきた。多くの科学者の批判にもさらされてきたというが、「脳を持ち、素早く動き、即座に判断する」といった動物的な基準だけを知性の条件にしてきたのは、人間の側の都合だったのではないか、という疑問がこの本に通底するテーマ。デカルトの動物機械論の批判を植物まで広げたといえる。
トマトがイモムシに食べられると揮発性化学物質を発生し、しまいにはイモムシ同士を共食いさせてしまう、芝刈りの後の芝の匂いは仲間に気をつけろのサイン、木は根っこで細菌と共存関係にある、といった話しは稲垣栄洋さんの本で読んだ記憶があったが、改めて知性的な行動を知り、楽しくなる。
おもしろいのはその背景だ。植物は移動ができないことが知性がないことの根拠とされるが、本書で描かれる植物の知性は従来思考を乗り越えようとする。判断は局所的に行われ、記憶は身体全体に染み込むように蓄えられ、時間をかけて環境と折り合いをつけていく。この「遅く、動かず、しかししぶとい」知のあり方は、効率や即応性を重んじてきた近代的な合理性とは異なる。だが環境への適応という点ではきわめて理にかなっている。最後に出てくる植物を手本にしたロボットやシステムの話も、生物模倣(バイオミミクリー)がここまで来たのかと感心。宇宙開拓で根を張ってじわり活動範囲を広げるロボットというのは面白い。単なる応用例以上の説得力を持つ。
一方、著書が唱える植物倫理については、人間中心の物差しが動物倫理よりさらに進んだ地点を示した点に価値があると思う。温暖化対策として、食糧対策としての植物を守るという視点は今もあるが、著書がいうようにいずれも人間中心の考えにすぎない。「知っているつもりだった生命観が実は狭かった」という気づきを得られたのはよかった。
植物への感傷的な親近感ではなく、人間とは何者かを考え直すための視点を得られた。まだ確立されたわけではない研究テーマというがこの先の発展に注目だ。研究仲間のステファノ・マンクーゾの植物知性本も読まねば。
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植物は、人間の背景に過ぎない、と考えられてきた。いわゆる、知性を持たない存在。
最新の研究では、植物は知性を持つ、というのが結論である。
知的生命体として、未来を予測したり、他の生物とコミュニケーションをとっている。
本書で印象的だったのは、植物は、栽培化を意図的に受け入れたこと。
栽培化されることで、水や養分、外敵からの安全性の確保など、多くのメリットを手に入れた。
植物は知性を持たない背景すぎないというのは、過去の話。
植物は、知的生命体として賢く生きている存在である。
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●2025年10月3日、池袋ジュンク堂本店にあった。
本棚に面出し陳列されてた。減ってて売れてた。 -
植物に神経系のような器官や、認知能力があるのかどうかに関する実験結果や議論は興味深かく、自然に対して新たな視点となった。けれど、植物に対する倫理は考えにくい問題だと感じた。
ソフトロボティクス分野で、より植物の能力を活かし、ブレイクスルーとなるような未来を期待。
