- 本 ・本 (496ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041137222
作品紹介・あらすじ
累計50万部突破『代償』の著者渾身。角川文庫75周年記念、文庫書き下ろし!
浪人生の堀部一平は、バイト先で倒れた葛城に付き添い、自宅アパートを訪れた。
そこでは、晴子、夏樹、多恵という年代もバラバラな女性3人と小学生の冬馬が、共同生活を送っていた。
他人同士の生活を奇妙に感じた一平は冬馬から、女性3人ともに前科があると聞く。
一方、政治家の息子・吉井恭一は、執拗に送られてくる、過去を断罪する写真に苦悩していた。
身を寄せ合う晴子たちの目的、そして水面下で蠢く企ての行方は――。
暗い過去への復讐を描いた、心震わす衝撃のサスペンスミステリ!
「信頼、裏切り、後悔、敬愛、憎悪、憧れ、友情、希望。
そんなあれこれをぎっしり詰め込みました」
――伊岡瞬
感想・レビュー・書評
-
二つの物語が交錯して、真相にたどり着く物語。
前半、なんだかよくわからない展開でしたが、謎が謎のまま進んで、最後の最後で明らかになるパターン。
浪人生の堀部一平は、バイト先で倒れた葛城に付き添い、葛城のアパートまで送り届けます。
そのアパートでは、3人の女性と小学生の冬馬が暮らしている設定。
みな、葛城の事を大切にしている人たち。
いったいどういう関係?
そして、この人達にに巻き込まれていく物語。
何が起こるのかがさっぱりわからない。
3人の女性には過去があり、前科があることを知る。
何か知らの犯罪に自分もまきこれていくのか?
もう一つのストーリは、政治家の息子の物語。クズ男で、小さな子供や若い女性を嗜虐することに快感をもつ男。
その男のもとに、脅迫写真が...
誰が送ったものなのか?
この二つのストーリが絡んでいき、3人の女性たちがやろうとしていたことが明らかになります。
そういうことだったのね。
そしてクライマックスでは..という展開!
エンターテイメントとして楽しめました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
前科持ちのお姉ちゃん達とバイト仲間のおっちゃんに、巻き込まれる浪人生。
作者違うけど、詐欺が前提にあったのか、「カラスの親指」などを連想してしまった。
しかし、ええもん側も悪いもん側も、何か過去がキツ過ぎちゃうか…
まぁ、悪い方の罪状は、どんな事あっても、許せるもんではないけど…
事前に、これを止めるのは、議員さんのお父ちゃんやとは思うけど、ボロカス言ってるしな…あかんわ。
話はそれぞれ並行して進んでいくんで、コイツ悪過ぎ〜!って分かっても、それがどう繋がっていくんか分かるのが後半。
しかし、安易というか、忠告も守らんと、衝動に駆られて動いてて、今まで上手くいき過ぎてたんとちゃうの?
あっさり、お姉ちゃん達に嵌められて…
でも、コイツも悪いけど、コイツのお父ちゃんもな…
そら、それなりの終わり方になるわな。
お姉ちゃん達は、これからは、自分達の為に生きて下さい!
しかし…惜しい!
「特別招待券」
使い〜や!ムリせんと! -
伊岡瞬『残像』角川文庫。
角川文庫75周年記念文庫書下ろしのサスペンス・ミステリー。
謎に包まれた3人の女性と小学生、癌に冒された初老の男性と浪人生の堀部一平の物語と、政治家の息子で裏で善からぬことを行う吉井恭一の物語が同時進行する。何処かで2つの物語が交わるのは間違いなく、どんなミステリーを見せてくれるのかと期待は膨らむ。
しかし、期待は空振り。予想以上のことは何も起きず、微妙な結末を迎える。
浪人生の堀部一平は、アルバイト先のホームセンターで倒れた初老のアルバイト、葛城に付き添い、自宅アパートへと送り届ける。そのアパートには晴子、夏樹、多恵の年代も様々な3人の女性と小学生の冬馬が不思議な共同生活を送っていた。一平は、何度かそのアパートを訪れるうちに冬馬から3人の女性には前科があり、葛城が元弁護士で3人の身元引受人であることを聞く。何やら訳のありそうな3人の女性と葛城。
一方、政治家の息子の吉井恭一は若い女性たちに次々と手を出し、酷い仕打ちを行いながら、何者かにより恭一の過去を断罪する脅迫写真が送り届けることに苦悩していた。
定価960円
★★★ -
伊岡さんの新刊。
暗い過去への復讐を描いた心をえぐる圧感サスペンスとの帯宣伝。
伊岡さんらしいタイトル。
浪人生の一平くんが、謎のお姉様方3人の仕掛けに巻き込まれていく物語。
一方で、政治家の息子のどーしよもないクズ野郎の物語も同時並行で進み、後半繋がりあっていく。
中盤まで不気味すぎて、読むスピード上がります。
最後の最後が少し物足りないものの(伊岡さんファンとしては)、しっかりとダメ人間を描き切ってるところと描写、言葉選びが斬新。
面白かったです!!
伊岡さん来月も新刊出すのかな?あれ?夢かな。
期末期初で忙しすぎて、全然読めてなく久しぶりの読書、積読本はまだまだあるので、読書の秋を楽しみましょう。読む時間と体力もないくせに、本屋さんだけは訪れていたのです。
お仕事小説系はしばらく読めない、そんな中の残像は今の私にピッタリと現実から離れるワールドに引き込まれ読書にてストレス解消〜!
ホームセンターは小さい頃家族と行った思い出あるけど、最近全然行かないし、近場にないな。
ホームセンターといえば、
ホーマック、昔は石黒ホーマ、
そーいえばこっちにないな〜 -
浪人生の堀部一平は、バイト先で倒れた葛城に付き添ってアパートまで送る。
その隣りの部屋から次々と現れた年齢ばらばらの女性たちに小学生の冬馬。
アパートのお隣りさん同士かと思っていたが、何やら奇妙な関係だと…。
何度か葛城が胃痛で倒れるたびに、アパートへ訪れる回数も増えてきて、いっしょに食事したりするなかで、彼女たちの隠された目的が明らかになっていく。
それに並行して動いているのは、議員の息子・吉井恭一の嗜虐的行為である。
犯罪も悲劇も連鎖するというのが、なんとも堪えられないことである。
うやむやになっている犯罪が、闇に葬られているのかと思うとやるせない気持ちになる。
終わって、スッキリとはどうもならなかったのだが。
みんなそれぞれのところへと黙って行ったのが、引き摺らない潔さということだろうか。
-
浪人生の一平と大物議員の息子の恭一、二人の視点から描かれるサスペンス。
500ページ近い長編ですが、読みやすさと不穏な空気、先が気になる展開はさすがです。
お人好しの一平が、ひこばえ荘で暮らす訳ありの女性三人(と小学生男児)の思惑に巻き込まれていく物語。
元弁護士、探偵が登場したり、過去が明らかになったり、点と点が繋がっていく過程はスリリング。
何となく「カラスの親指」を思い出してしまいました。
クズ人間が出てくるのは伊岡瞬さんらしいけれど、まぁライトな方というか…
読み終えてみれば意外にも、一平の冒険や淡い恋、成長を描いた青春物語といった印象でした。 -
残像最初はあまり怖くないなと思っていたけど、怖かったです。でもとても面白かったです!
-
作風が、本当に「伊岡瞬」?と思うほど、最近の伊岡ワールドから随分と違和感を感じる、爽やか青春ストーリーという印象。
文庫版での新刊なので過去作品?
・・・だから悪いかというと、そういうわけでは無いのですが・・・
-
アマゾンのおすすめ本に出てきたので読んでみました。
表紙の印象ではサイコパス的な内容かと思ったのですが、全く違いました。
私はミステリ部分よりも、女性三人(晴子、夏樹、多恵)の生い立ちから、「家族をどうやって守っていくのか」について考えさせられました。
私はかなりネガティブ思考なので、残酷なニュースを見聞きすると、夫に「コレどう思う?」と話し合いが始まり、うちで起きたらどうする?と徹底的に話し合いする。(我が家でも同じことが起きないとは限らないからね)
その根底にあるのは、下記のフレーズが常に頭の中にあるからだと思います。
”わたしはね、ときどき思うのだけれど、わたしやきみが、私生活において重い犯罪ーとくに殺傷事件の被害者とならずに、ここまで生きて来られたのは、きわめて幸運なことだったのではないか。”(抜粋)
現在まで命にかかわる事件に巻き込まれなかったのは”運”、それしかないと思っています。
どこで誰と出会うか、何が起きるか。
そして、残酷な事件の被害者になってしまうかどうか。
どれも自分でコントロールできません。
生きていれば大なり小なりリスクはつきものです。
リスクを恐れて何もしないわけにはいきませんので、
リスクに優先順位をつけて、万一恐れていることが起きた時にどういう対応をとるのか、家族で話し合っておく必要はあると思いました。
我が家では、子どもがいじめにあった場合、夫が職質質問で警察に連れていかれた場合、等は夫と頻繁に話しています。(それだけ見聞きする頻度が高いという事ですね)
子どものいじめに関しては、子どもも含めて話してます。とにかく「命を守ること」を最優先に対策をとろうという結論に至っています。(死んだら終わり)
家族間で風通しを良くしておくと、結構便利です。
息子は私に言えないことは夫に言ってたりしているようで、夫から息子の話をまた聞きしたりします。(子供も誰に話すか選んでいる節がある。笑)
書いてて思いましたが、家族ってチームとか組織に近いような感じがします。(1名欠けただけで、チームが成り立たなくなるのが家族なのでは)
人間が考えられることは発生する可能性がある。
この本は最悪の事態が起きた時に家族をどう守るのか、考えるきっかけを作ってくれると思いました。
著者プロフィール
伊岡瞬の作品





