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Amazon.co.jp ・本 (192ページ) / ISBN・EAN: 9784041137451
作品紹介・あらすじ
太平洋戦争さなか、幼くして母を亡くしたイコは父の再婚相手になじめぬまま、生まれたばかりの弟と三人で小さな村に疎開することに。家のそばにある暗く大きな森がトンネルのようで怖くてたまらなかった。同級生たちはあの森に脱走兵が逃げ込み自殺したのだ、と噂をしていた。ある夜、森の奥からハーモニカの細い音色が流れてくる。数日後、沼で失くしたイコの下駄が森の出口に置かれていた。「あり・が・とう」イコはちいさく呟いた。戦争は激化し、東京大空襲で半死半生の父が見つかる。不安に押しつぶされそうになったイコは森に入る。「兵隊さーん」そこでイコが目にしたものは……。「「魔女の宅急便」の著者が描く少女の戦争。(解説:小川 洋子)
みんなの感想まとめ
幼い少女が戦争という過酷な時代に直面し、我慢や苦悩を強いられる姿が描かれています。主人公イコは、母を亡くし、継母との関係にも悩みながら、疎開先の村での生活を余儀なくされます。彼女の心の中には、戦争の理...
感想・レビュー・書評
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【『魔女の宅急便』の著者が描くトンネルの
向こう側】
ラジオから流れる戦争に祭りのように浮かれる大人たち。
「お国のために、陛下のために、贅沢はしません勝つまでは」
そうして少しずつ我慢が増えていく。
いつしか食べるものもなくなり、大切な物、大切な人が周りから居なくなっていく……。
孤独感や寂しさ、不安が、ページをめくる度にひしひしと伝わってきました。
9歳の少女の目線で描かれていたのは、戦争という時代の息苦しさ、生きづらさ、そして目を背けたくなるほどの過酷な現実でした。
先の見えない真っ暗なトンネルの森。
森の中に現れる謎の兵隊さん。
「イコが通ります」の呪文は、未来が見えない暗闇を進むための心のバリア、そして魔法の言葉。
一見あっけなく終わってしまったように感じますが、これが時を経て、あの『魔女の宅急便』のキキの「魔法」へと繋がっていくのだと思うと深すぎます。
戦争という暗いトンネルの中で「自由」を奪われた経験があるからこそ、角野栄子さんは、ほうきで空を飛ぶキキのような「どこへでもいける自由」を願いあんなにも生き生きと描けたのかなと思いました。
最後にイコちゃんが掴んだあの光が、どうやって『魔女の宅急便』のキキの飛ぶ空へと繋がっていくのか。彼女のこれからを、続編の『イコ トラベリング 1948-』で追いかけてみたいと思います。
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まだ9歳の少女が、我慢しなくてもいいようなことを我慢して、経験しなくてもいいようなことを経験していく姿に、悲しさと怒りが込み上げました。
戦争がどれほど理不尽で、無意味なものか…
角野栄子さんの実体験から生まれた物語だからこそ、戦争を二度と起こしてはいけないという思いが深く残ります。
これから先も、何十年と読み継がれてほしい一冊です。 -
産経児童出版文化賞ニッポン放送賞
先日読んだ同じ作者の「イコトラベリング1948」に先立つ自伝的小説。
東京の下町で生まれ育ったイコは、継母と弟と3人で、田舎の村に疎開するが、学校では東京の言葉をからかわれ、家でも継母とぎくしゃくする。児童文学なのだろうが、戦争中で皆が「欲しがりません勝つまでは」と我慢を強いられている世の中で、感情を押さえ込むしかない少女の姿に静かな感動を覚えた。 -
戦争は我慢の連続だったことがよくわかる。
笑いも冗談も言いづらい、苦しい時代。
継母との関係も苦しそうだった。
明るい角野さんも戦争体験者なのだなと感じた。
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角野さんの楽しい児童書の根底には、こんなツライ体験があったんだな。
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角野氏の幼少期,戦争が激化の一途を辿り疎開する前後から,戦中の疎開が終戦日まで描かれる.フィクションのような主人公イコの,欺瞞に満ちた世界への赤裸々な思いはフィクションの体を取っているだけに一層読者に戦争の悲惨さと空虚さを感じさせ,同時に,人の精神世界の脆さも突き付ける.
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イコちゃんに会いたい
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太平洋戦争中の、ごく普通の小学生が見て、感じた日常を描いた一冊でした。
毎年、八月になると何かしら第二次世界大戦、太平洋戦争、そして原爆や終戦のことが話題になります。けれど、ここ数年、『はだしのゲン』や『火垂るの墓』のような作品を毎年取り上げるようなことはなくなってきたような印象です。マンネリだと思っているのでしょうか。それとも、毎年のことで食傷気味と感じる方がいるのかもしれません。でも、あの日があった八月に、終戦を迎えた八月に、祖先の霊をお迎えする八月に、それを振り返ることは、意味があるのではないかと思っています。
今回この本を選んだのは、八月だからこそあの戦争のことを題材にしたものを読んでみようと思ったのと、今まで読んだことのない視点での『戦争』を描いた作品に興味があったからでした。
ジブリ映画でおなじみの『魔女の宅急便』の原作を書かれた方の作品であることや、タイトルのどこか不思議な何かにつながるようなイメージも決め手の一つでした。
主人公は、母を亡くし、父と後妻さんと東京の深川で暮らす女の子。おばあちゃん子で快活。父は一度戦地に行ったけれど、戻ってきてからは東京で商いをしている。初めは連戦連勝ですぐに終わるように思われた戦争は、いつまで経っても終わらない。そのうちに東京にもB-29が飛んできて、爆撃されるかもしれないと言われるようになり、疎開をすることになってしまう。疎開先は田舎のボロ屋で、学校までは歩いて一時間と少し。しかもそこには、まっくらな森を通り抜けるトンネルに入っていかなくてはいけない。ただでさえ怖いトンネルなのに、脱走兵が隠れているかもしれないという話まで出てきて……。
話の展開は、驚くほど普通の女の子の生活から始まります。けれど、その普通の日常のそこここに、ごく当たり前のように戦争の影が映り込む。服装も、食べるものも、遊びも。戦時中の、一市民のリアルがそこにある気がして、こんな普通の生活が、戦争によってどんどん歪んでいってしまうのが切なかったです。疎開先で知る東京大空襲のこと。東京に残ったはずの父を探しに飛んで行った義母のこと。どこか遠い国の物語のように感じるほど現実離れしたことが、実際起きているのだとじわじわと理解されていく様子。主人公の女の子を通して、色々な感情を抱えて彼女たちが生きていったことを感じました。
ラストはきっと、八月十五日。
戦争が終わったと知った彼女は、その先をどう生きたのか。改めて人々の生活の中にあった『戦争』というものを、考えさせられる話でした。
今日本が平和でいられるのは、祖先の方々があの時代を生き抜いて、『報復』ではなく、『恨み』でもなく、『平和』を願ってくれたからなのだろうと思います。今も、世界のあちこちで内戦や戦争が絶えない昨今ですが、だからこそ平和を叫ぶ意味を、考えていきたいと思っています。 -
戦争中の生活が、幼い少女の体験と気持ちを通してひしひしと感じられる。疎開先の辛い生活や、友達との関係、空襲で祖母を失ったり、父の安否不明に怯えたり。
ただ、イコちゃんの健気さ、かわいさのおかげか、それほど暗くはなかったのでよかった。
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著者プロフィール
角野栄子の作品
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