猫目荘のまかないごはん (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041137598

作品紹介・あらすじ

入り組んだ住宅地にある、古ぼけた下宿屋「猫目荘」は、建物はオンボロながら2人の大家が作るまかないつきが魅力で住人が集まってくる。29歳の伊緒は、これまで住んでいたアパートが取り壊されることになり、知人から話を聞いて、朝・夕食付きながら格安の家賃に惹かれて引っ越してくる。安い家賃から覚悟はしていたものの、令和の世にまさかこんなボロ住宅が存在するなんてと唖然とする。想像以上の貧相さと面倒くさそうなシステムに尻込みするものの、ほかの住居探しをする時間もお金もなく、ほかに行くあてもないため、渋々住みはじめることに。木造建築のプライベートのなさや、知らない人間と一堂に会して食事をするわずらわしさ、一癖も二癖もある住民たちに辟易するが、男性同士のパートナーである2人の大家のつくる料理は素朴な家庭料理ながら絶品だった。食卓を通じて、いろいろな価値観に触れ、主人公は少しずつ、ここが自分の居場所だと感じるようになる。

感想・レビュー・書評

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  • 主人公は再就職も婚活も上手くいかず焦る新入り
    俳優志望 YouTuber 
    オープンリレーションシップ
    アセクシャルなど
    個性的なメンツをリスペクトしつつ
    自分の道を見つけるまでの物語

    主人公の考え方が
    柔軟になっていくのは
    やっぱり人との出会いしかないよねぇ

  • 書名に思いっきり惹かれました。
    カバーイラストも可愛らしくて手に取りました。
    昭和レトロな所で美味しいまかない料理があって、と想像をしていました。
    もちろん、美味しいまかない料理はあったのですが、少し私が思い描いていた内容とは違っていました。

    三十歳手前の女性、降矢伊緒。
    父親の呪縛や劣等感に悩まされ、自分の人生、生き方が解らなくなりもがいていた。
    そこに友人の紹介で猫目荘を紹介されて入居。
    住民との交流の中で様々なことを知り、自分と向き合い自分らしさを大切にしていく物語でした。

    猫目荘が「多様性」をギュッと凝縮したような場所で、こういう場所に引っ越して触れたからこそ、伊緒は自分らしさを見つけることが出来たのだろうと思いました。
    大家を含めて住民は、世の中の「普通」では当てはまらない部分を持っている人がいるけれど、しっかりと自分を持って、それを大切にしていて魅力的な人ばかりでした。
    もし続編があるならば、住民一人ひとりに゙スポットライトを当てた物語を読んでみたいです。

  • 最初、人まかせで文句ばかりの主人公に少しイラッとしたが、彼女が猫目荘の住人たちと話をしていく中で、気づけば彼女を応援していた。自分の嫌な面と被っていたから苛立ち、住人たちの言葉にハッとしたり、スッと心に入ってきたからだろう。
    トラウマは、他から見たらそうでもないことはある。そこで大したことないと言わず、苦しいと感じる気持ちに寄り添う事が大事だと思った。
    そして自分の人生を自分で引き受ける覚悟。ズーンときた。価値観を広げ、自分にピッタリの形を見つけたい。そのためには動こう。
    猫目荘の関係性、私には理想的だ。

  • 美味しくて栄養のあるものを食べていれば、すべてうまくいく。夢や目標、充実や楽しみ、それぞれの住民のライフスタイルは輝いている。主人公が刺激を受けながら自分を見つけていく姿に元気をもらった。

  • タイトルと文庫背表紙の印象から猫目荘で作り出される美味しいご飯食べて癒されて…なんて温かくほのぼのとの〜んびりとしたゆるい系小説と思って読んだらそんな事はなかった!
    いや、そういう一面もあるけれど、それだけではなかった。
    それだけではなかったのがすごく良かった!

    家族との確執から家を出て東京へ、東京へ来ても就職、婚活もうまくいかず自信をなくした伊緒。
    まかない付きに惹かれ猫目荘へ入居した。
    そこで出逢う人々、事柄が自分の人生と向き合う覚悟をくれる!
    自分の足で一歩を踏み出そうとする伊緒の葛藤が描かれている。

    ふっと刺さる言葉が、改めて噛み締める言葉が、猫目荘の住人の人生の中に散りばめられている。
    伊緒を通し、自分自身もいかに狭い世界の中で生きているか思い知らされた気分。
    とにかく動け、自分の人生の中で自分自身がコントロール出来る事を増やす、その覚悟…そして世の中の多様性…頭で理解する事と心が理解する事はまた別なのだという事…自分の中では分かっていたと思っていた事は実はいかに頭の中でしか理解していなかったのか、そして息苦しいと思う身の回りは実は自分自身が壁を作りどんどん狭くしてしまっていた事…今更ながら思い知らされた。
    自分の今を生きる事が手一杯で必死すぎて気付けば雁字搦め…身動き取れなくて苦しくさせているのは自分自身ということに気付けなかった。
    視野を広げるって、自分を解放するってこういうことなんだよ!となんだか腑に落ちて気持ちが少し軽くなった!
    本書との出会いに感謝!

  • 深読みしようとしないで、素直な心で。
    出来過ぎみたいな出会いと、もつれた心がほどけていく様を祝福するのがいいと思う。
    拾ってくれる神様はいるんだよ、きっと。
    リアルワールドではなかなか出会えないけれど。
    フィクションの中でくらい、ホッとしようよ。

  • 猫目荘、いろいろな生き方をしている人がいて、みんなしっかり前を見ていて勇気をもらいました。
    ドラマ化できそうな

  • まかないつきの下宿屋さんというと住人同士の関わり方が難しそうなので、猫目荘の住人同士の関わり方を強要しない!というポリシーがとても心地良さそうだと感じました。
    猫目荘で暮してみたい!

  • 誰かの当たり前に合わせて生きる必要なんてない、
    帯に書いてある言葉に共感します!

  • 封建的な考え方の父親 父親に逆らわない生き方をしている母親

    それにうんざりして 東京にやってきた伊織

    友だちの紹介で 賄いつきの猫目荘に入る。

    昔ながらの下宿屋さんの建物

    私が所帯を持って住んだ45年前の 東京の建物みたいで 懐かしく読みました。

    そこは賄いつきじゃなかったけど。

    猫目荘に住む人と一緒に銭湯に行ったり
    コーヒー牛乳を飲んだり まあ懐かしい!

    アルバイトをすると クレーマーのおばさんに捕まったり

    それでも 料理に関わる仕事はしたくない

    父親のしばりから 脱却したい

    でも 自分には 何が出来るかわからない

    それでも 周りに支えられて 猫目荘のスタッフになる。

    帰省して 親にも報告して 区切りをつける。

    独り身なら 何歳でも 混ぜて欲しい猫目荘です。

    可愛い猫のボタンちゃんも寄り添う

    いいなあ!と羨ましくなっちゃう猫目荘です。

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著者プロフィール

1972年大阪府生まれ。公務員退職後、『パチプロ・コード』で第八回『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞を受賞し2010年にデビュー。

「2017年 『散り行く花』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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