准教授・高槻彰良の推察EX2 (角川文庫)

  • KADOKAWA (2023年9月22日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784041138878

作品紹介・あらすじ

その日、高槻が扱ったのは、電話にまつわる都市伝説。
中でも有名な「メリーさんの電話」についての講義が終わったあと、
尚哉は友人の難波から、話があると誘われる。
そして現れたのは、難波の彼女・愛美。
彼女は「なくした人形が、だんだん近づいてくるみたいなの」と言って……。(――「やがてソレはやってくる」)

建築設計事務所を営む遠山宏孝は、尚哉と同じ、嘘を聞き分ける力を持つ。
その力を手に入れてしまった幼い頃から、彼はひとりになった。そんなある日……。
懸命に生きようとする二匹の猫たちと、ひとりぼっちの遠山との出会いが招く、素敵な奇蹟。(――「遠山と猫の話」)

高槻を「特別な友達」だと思っている小学生の智樹。
6年生になり、中学受験で周りがピリピリし始めた頃、彼は不思議な話を聞く。
ある廃工場で工場長が失踪し、なんと異次元に行ってしまったらしい。
「その工場は、今でも異次元とつながったままなんだって」
早速高槻に連絡する智樹だが……。(――「大河原智樹の冒険」)

他、尚哉の秘められた力に気づいてしまった難波の葛藤や、
佐々倉と高槻の喧嘩など、全5編を収録!
シリーズファンにも、ここから読む方にもお薦めしたい、
キャラクターたちが愛しくてたまらなくなる、珠玉の番外編集!

感想・レビュー・書評

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  • きゅうん♡の一冊。

    きゅん♡じゃなく、きゅうん♡がいっぱい。

    それぐらいスポットを当てられた誰もの胸の内と姿に優しさ、せつなさできゅうん♡とせずにはいられない番外編ならではの味わいだった。

    難波くんの葛藤からの尚哉のそばに居てくれる嘘偽りのないゆるぎない友情には感謝の涙。

    尚哉と同じ苦しみを抱える遠山さんのつらい過去に涙し、クールな印象の彼の猫との出会いと優しい姿が微笑ましかった。

    アキラ先生たちを守るために…の健ちゃんの今後にも目が離せない。

    あの時のあの裏側で…読後は登場人物誰もの株が爆上がりすること間違いなし。

  • 番外編第2弾。本編の裏側が別視点で描かれています。

    遠山さんの話は切なかった。でも、とても優しい人ですね。クロコとシロコと出会えてよかったし、尚哉も遠山さんと出会えてよかったなぁと思います。
    自分の子供が智樹みたいだったら本当ハラハラしそうです。
    難波も健司も本当いいやつで、ずっとこのままの関係でいて欲しいです。

  • 2023年9月角川文庫刊。書き下ろし。番外編シリーズ2作目。通算11作目。やがてソレはやってくる、遠山と猫の話、大河原智樹の冒険、俺の友達の地味メガネくん2、それはまるで祈りのように、の5つの連作短編。異能の遠山、友人の難波、刑事の佐々倉、異捜の二人とアンデッドの紗絵の話が興味深い。お話世界が強固に形造られて行くのが面白い。本編での大きな動きを期待したい。

  • 現象と解釈
    わからないもの、は怖く、
    怖いものを解釈して理解することで怖さがなくなる。

    解釈できないこと自体が人間には不快なのかもしれない。

    インスタ等SNSで顔を晒すのはやめたほうがいいよとか、世の中はいい人ばかりじゃ無いとか、若者にも良い警告にもなるのかもしれない。

    世の中で生きていく時の杖にもなるし、十分萌え要素もあり、エンタメとして秀逸なシリーズ。
    これから、本編がどのように進むのか。楽しみ。

  • 本編では描かれなかったキャラたちの魅力を描く番外編第二弾!物語が進んできたからか、ほぼ本編と言っても過言ではないドラマで読み応えあり。9巻まで読んだなら、ぜひこちらも読んでもらいたい。

    第一章『やがてソレはやってくる』
    深町は難波の恋人・愛美(まなみ)から奇妙なできごとの相談を受けた。愛美は高校時代に友人とお揃いで買って鞄につけていた人形を失くしてしまったという。インスタで人形の写真を公開して探していたのだが、怪しげなアカウントから『メリーさんの電話』のようなコメントが書かれ始めて──。

    電話にまつわる怪談の講義から幕を開ける。メリーさんよりも『足はいらない?電話』の方が怖い!「いる」でも「いらない」でも詰んでないか?!(「いる」だと首に足が生えるらしい。はた迷惑な!) 足を奪う系の怪異が強すぎる(笑) 『リカちゃんでんわ』のサービスは初めて知った。リカちゃんが途中から一方的に自分のことを話して電話を切り、「通話できませんでした」で終わるの怖すぎる。

    メリーさん対策が着信拒否はなんとも切ない。着信アリが着信拒否になる哀愁感。しかも、その後も対策が丁寧にも用意されていて面白い。その三はジョジョ四部を思い出してしまう。とはいえ、それを考えたり、逆手にとってくる人間が一番怖いね!

    第二章『遠山と猫の話』
    まさかの『おじさまと猫』が始まった!深町と同じく嘘を聴き分ける耳を持ち、孤独になる運命を背負っている遠山。彼はひょんなことから出会った子猫たちと生活していく。遠山が体験した祭の記憶、妹・桃花との悲劇がやり切れない。そこからまさに孤独の中で戦ってきた遠山の人生はすごいなと。そこに猫という癒しが加わったのは何よりだった。深町とも仲良くしていけたらいいなあ。

    第三章『大河原智樹の冒険』
    怪異を解決してくれた高槻を信頼している小学生の智樹。彼はとある廃工場で起きた工場長消失事件と、異次元に行けるという儀式の存在を知る。母からの受験のプレッシャーに追い立てられ、自暴自棄になった智樹は廃工場で儀式を試すために一人向かうが──。

    読んでいて背筋がヒヤッとする大冒険物語。ぼくはあんな儀式、怖くてできないよ!現実と怪異の揺らぐ境界を描く筆致はさすがの一言。ジュブナイルとしても読み応えある短編。

    第四章『俺の友達の地味メガネくん2』
    深町の耳の秘密に気づいた難波の心境が描かれる。そもそも深町のことを気にかけたきっかけがすごい。
    「深町とよく話すようになって、気づいたのだ。
    ああたぶんこいつ昔は友達多かったんだろうな、と。
    実は面倒見が良いこと。会話の流れを読むのが上手くて、ふざけ方や相手のいじり方をちゃんと知っていること。困った奴を放っておけない性格らしいこと。たまに素で笑ったときの顔は普通に明るくて、サシ飲みしているときなどは結構表情も豊かだ。」
    ここからわざとモブに徹しようとしている何かがあると察する観察力とやさしさ!耳のことを知ってもブレない友情に胸が熱くなった。

    第五章『それはまるで祈りのように』
    深町と難波コンビの仲直りの次は、高槻と佐々倉コンビの仲直りが描かれる。怪異が関係する事件を担当する部署“異捜”のことを知りながら、その存在を黙っていた佐々倉。高槻は自分が巻き込まれた怪異についての情報を知りたがっている。しかし、佐々倉は異捜の係長・山路と高槻を引き合わせたくはなかった。山路は高槻を人間として扱うかわからないからだ。

    佐々倉が高槻のことをどんな存在だろうと友人だと思っているからこそ、大切に思っていたことが裏目に出るのが切ない。しかもそこに山路本人からの揺さぶりまでくるという。ぼくも今の関係性がずっと続けばいいと祈るしかない。異捜についてはまだ謎が多すぎるし、本当に嫌な予感しかしない。山路も何かしらの能力があるのかもしれないね。これから本編も佳境に突入なのかな?読むのが怖くなってくる。

  • ポクポン人形、私も持ってるなぁ。そんな意味のある人形だったのね。
    SNSで個人情報特定されそうなものは気をつけないと。
    遠山と猫の話が良かった。2匹の猫が遠山の孤独を癒す存在になってくれて良かったと思う。

  • シリーズ番外編。
    どのお話もよかったー。
    遠山さんのお話と難波のお話がとても良かった。
    遠山さんはとてもとても孤独に感じたので、猫ちゃんとはいえ癒しができてなんだか安心。
    そしてやっぱり難波くんはいいやつ!

  • シリーズの中から生まれたいくつもの単話。それぞれの思いやその人目線の話が面白かった。
    本編では高槻先生と深町くん目線の話でも、難波くんや健ちゃんの目線からだとこう見えてるんだなって思う。
    遠山さんと猫の話もなんだか可愛くてほっこり。自分も猫を飼いたくなる話だった。
    個人的には難波くんと深町くんの話が好き。友情っていいなって思うし、難波くんみたいな友達が1人でもいたら救われるなって思う。

  • 【収録作品】
    第一章 やがてソレはやってくる
    第二章 遠山と猫の話
    第三章 大河原智樹の冒険
    第四章 俺の友達の地味メガネくん2
    第五章 それはまるで祈りのように

    外伝は楽しい。

  • 健ちゃんにはいい意味で甘えられる、素でいられる高槻。2人の関係性をかいた、それはまるで祈りのようで、が良かったなぁ。
    あと、猫好きなので遠山さんと猫のエピソード読んで、猫飼いたくなった!

    頭空っぽでゆるゆる読めて良かった。

    2024.1.22
    11

  • Amazonオーディブルで聴いた。

    あ〜これでオーディブルで配信されてるこのシリーズ聴き終えちゃったよー。
    10巻は8月配信予定。

    遠山さんの猫の話が良かった。

  • 番外編の2冊目。
    高槻先生と深町くんを取り巻く人達目線のお話5話。面白かったです。
    一番好きなのは、難波くんのお話。難波くん、いい子だなぁ。深町くんの耳のこと知っても気味悪かわらずに接してくれる。
    佐々倉さんのお話には「憧れの作家は…」の林原さんが登場して楽しかった。
    大好きなシリーズなので本編の続きも楽しみにしてます。

  • メリーさんの電話、、、昔聞いて戦慄したなぁ〜と思い出した。

  • 難波君の株が爆上がったEX2巻。
    彼の出番多かったうえに、どっちもエピソードがよすぎた。
    しかも今回まさかの彼女さんと一緒に登場とか、めっちゃ好待遇ではないですか。
    よかったね難波君、末永く爆発してください。

    尚哉視点ではなく、他の第三者から本編中のお話を追えたり、サブキャラの掘り下げ話が読めたりする番外編集2巻。
    高槻先生や尚哉たちのことを客観的に見えるとこんな感じなのかと知れるのがいい。
    また番外編ながら、ちゃんと高槻先生の講義も受けられちゃうのは嬉しいのだ。

    今回の人選がちょっと意外だなと思ったり。
    まさか智樹くんが出てくるとは思いもせず。
    子どもから見た先生はこんな感じなんだと新鮮に思えた一方で、子どもながら「本物」に出会ったのであろう展開も意外だった。
    きみ、結構危ない綱渡りをしていたのでは。

    そして、遠山さんも意外。
    何が意外って人選もだが、内容が猫という。
    え、癒しのコーナーですかと半ば本気で思ってしまった。
    今回の彼の掘り下げエピソードで想像よりも大変な人生を送ってきていたのが分かったので、せめて猫で癒されてくれとこちらは割と本気で思ってしまった。
    名前はどうにかならんかったのかとツッコミは入れましたが。

    健ちゃんは本編でも多少あるので意外性はないですが、3人で横浜中華街を満喫している様はほっこりエピソードでよかったです。
    本文でもツッコミ入ってましたが、珍しく怪異絡んでませんでしたし。
    尚、健ちゃんの場合はそこにたどり着くまでに異捜との絡みもあったし、いつぞやの高槻先生との喧嘩のエピソードでもあるので(別視点からの補完あるのは本当に嬉しい)特に前半は不穏なんですけれども。
    うん、あの食べ歩きで相殺ということで。
    たまにはそういう休日があってもいい。

    そして前述の難波君はまさかの2話分登場。
    彼女さんとの話はまさかの事件の方に発展して驚いたし、もう一つの方はね、最後の一文で涙腺崩壊してこちらがガチ泣きしました。
    いやもう、本当にいい子なんだようおうおう(号泣)
    こんな奇跡みたいな子が尚哉のそばにいてくれるのは、もう本当に奇跡なのではないかと(何言ってるんだお前は)
    難波君の話だけでもファンなら読破必須エピソードだと思う。
    いやもう、こんな友達本当にうらやましいです。
    難波君、どうぞこれからもそのままでいてください。
    そして、改めて末永く爆発してください(二回目)

  • 2024.04.07 Audibleにて

    いつも息抜き感覚のEXだけど、今回はちょっと、トオヤマさんの過去が辛すぎた

    以下、ネタバレあり
    妹が好きだからこそ起きた出来事で、妹もお兄ちゃんが好きだからこそ、声が出なくなるという切なすぎた
    シロコとクロコと出会えてホントに良かったね

    あと、ケンちゃん、やっぱり好きだな
    神隠しにあった後の高槻先生への態度が唯一変わらなかったっていうの凄いよな
    不思議な関係だとも思う
    でも、この2人の関係性は、この先も変わらないだろうっていう安心感もある

  • 普段客観的に見ているぶん、主役になるとまた違った印象や知らなかった事が描写されており面白かった。

  • 番外編ということで、遠山さんが猫を飼うことになった経緯や難波くんの人知れず悩んでいることなど、普段は見られない面から描かれていて面白かったです。何も考えていないように見える人ももちろん様々なことを考え、悩み、過ごしているんだよねと。やっぱり難波くんはいい人です。きちんと向き合ってくれる。

  • 彰良や尚哉の周辺の人物目線で語られるスピンオフ第2弾。
    やっぱり、難波くん、好き。
    ほんとうに、なんていいやつなんだ。
    彼が尚哉を見付けてくれて本当によかった。
    耳のことを尚哉に訊いたことでの難波くんの葛藤が、、、
    2人が仲直りできて、そのなりゆきに泣きそうになる。
    健ちゃん目線の話もよかったー。
    あの人が不穏な空気を醸し出してはいるけど、でも、みんな一緒ならきっと大丈夫。
    こういうスピンオフもまた読みたいし、本編の続きも早く読みたい。
    欲張りな私であるw

  • 今回は全5編の短編で構成された番外編です。登場人物達の話や描写から時列的がわかるという発見や同じ作家さんの「憧れの作家は人間じゃありませんでした3」の話がチラッと出てきて面白かったです。悪意を持った人間はいるけれど、登場人物の信頼関係や相手を思うがゆえに秘密をもったり、すれ違ったり、だけど仲直りをしたりという細やかな描写が印象的でした。最後の佐々倉の視点で描かれた「それはまるで祈りのように」が一番好きな話です。

  • シリーズ番外編2

    本編の間を埋めてくれる主要キャラたちのエピソード
    これで益々好きになるぅ~

    「やがてソレはやってくる」「遠山と猫の話」
    「大河原智樹の冒険」「俺の友達の地味メガネくん2」
    「それはまるで祈りのように」5編を収録。

    今回も難波君がよかったぁ。
    まぁ難波くん視線ですからね。
    友達モドキたちの中でも、合理的ではない
    「普通であるべき部分」が感知した特別な存在。

    それは友達のヒロに教えられた事でもあり、
    おかげで尚哉との距離が一気に縮まった。
    これは泣けたなぁ~

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著者プロフィール

神奈川県横浜市出身、在住。2016年に『憧れの作家は人間じゃありませんでした』で第2回角川文庫キャラクター小説大賞《大賞》を満場一致で受賞し、デビュー。同作はシリーズ化され1~3巻を数える。21年夏、「准教授・高槻彰良の推察」シリーズが実写ドラマ化され話題に。キャラクター文芸界再注目の作家。

「2023年 『憧れの作家は人間じゃありませんでした4』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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