父がしたこと

  • KADOKAWA (2023年12月19日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784041140161

作品紹介・あらすじ

●週刊現代(2024年1月13日/20日号)書評掲載(評者:藤沢周[小説家])
●東京新聞(2024年1月27日付)書評掲載(評者:内藤麻里子[文芸ジャーナリスト])
●小説新潮(2024年2月号)書評掲載(評者:杉江松恋[書評家])
●小説幻冬(2024年3月号)書評掲載(評者:細谷正充[文芸評論家])
●しんぶん赤旗(2024年1月28日付)書評掲載(評者:清原康正[文芸評論家])
●女性自身(2024年2月13日号)


目付の永井重彰は、父で小納戸頭取の元重から御藩主の病状を告げられる。居並ぶ漢方の藩医の面々を差し置いて、手術を依頼されたのは在村医の向坂清庵。向坂は麻沸湯による全身麻酔を使った華岡流外科の名医で、重彰にとっては、生後間もない息子・拡の命を救ってくれた恩人でもあった。御藩主の手術に万が一のことが起これば、向坂の立場は危うくなる。そこで、元重は執刀する医師の名前を伏せ、手術を秘密裡に行う計画を立てるが……。御藩主の手術をきっかけに、譜代筆頭・永井家の運命が大きく動き出す。

感想・レビュー・書評

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  • 御藩主の病状を父から秘密裏に告げられた重彰
    全身麻酔での外科手術なのだが…

    前半難しい!この時代の医学は漢方医学であり、蘭学や医学書などの名前、医者は華岡青洲くらいしか知らないし…

    御藩主の手術成功から怒涛の展開でびっくり
    そういう話?だからのタイトルか⁈

    真相が語られない終わり方
    たぶんわたしの考える「父がしたこと」は違うとは思うけど…
    たぶん…
    だったら切ないなぁ…


    • みんみんさん
      青山文平、木内昇さんは制覇してみようかなぁと
      青山文平、木内昇さんは制覇してみようかなぁと
      2025/03/29
    • 1Q84O1さん
      時代は江戸ですか?
      時代は江戸ですか?
      2025/03/30
    • みんみんさん
      江戸でーす
      江戸でーす
      2025/03/30
  • 最期の最期までミステリと気づかずに読んでました……。
    てっきり医療系の人情ものかと読み進めていたのですが、最期にミステリだったのか、と気づきました。(鈍感なもんで)

    結構詳しく江戸時代の医療の流派について語られているので、その辺の知識が肝になるストーリーなのかと思い慎重に読んでいったのですが。(とにかく漢字が多いのです)
    ミステリに関わるところではあまり関係がない感じなんですよねぇ。
    肩透かしを食らった感じです。
    医療知識もミステリに絡めてあるとよかったのでは?と個人的には思いました。
    全体の2/3までは医学の話で、残りの1/3はミステリとストーリーが分断されている感があります。
    今までミステリ要素が全くなかったのに突然話の流れが変わって「?」な違和感がありました。
    ストーリーを急展開させなくてはならない理由が突如出てきてしまったのですかね??

    感想です。
    権力者にとって、一番怖いものは「身内の裏切り」なんだろうな、と思いました。
    自分の仕えている主にどこまで忠誠心を誓えるか。
    そして、他人も自分と同じレベルで忠誠心を持っているのか。
    どちらにしても約束できるものではありません。
    今の時点では裏切っていない人間が未来永劫、裏切らないとは限らないんのです。
    実際、ちょっとしたことで人を裏切るのが人間じゃないですか。(諸行無常と言ったものです)
    この本の父(元重)はそういったものを見越したうえで、ある決断をします。

    うーーーむ。
    ミステリ部分は妙にしんみりするのですが、とってつけたような感じになってしまっているのが残念なんですよね。(あくまで個人的感想です)

  • 野性時代2023年7月号〜9月号掲載のものを2023年12月角川書店刊。医療、それも藩主と生まれたばかりの赤子の外科手術を話の中心に据えた時代小説。父、母、妻、子そして藩主と医師が登場し、会話や所作が興味深く、静かながらも、緊張感のある展開が続きわくわくする。深く考え良き方向に向かう人たちは清々しくもある。ラストで明らかになる父の藩主を護るための所作は青山流の武家社会の解釈の一つなんでしょが、納得し難いです。父はやらかしてしまった…か。

  • っぽく無いタイトルですが、生粋の時代小説です。
    英邁な藩主。その身の回りの世話をし、藩主からの信頼の厚い小納戸頭取の父。そして目付の主人公。藩主の持病は痔。領内に住む蘭学の医者に全身麻酔下での手術を受け、成功するのだが・・・。
    痔、あるいは主人公の子の鎖肛(肛門が生まれつきうまく作られなかった病気)と、蘭学に関係して下半身の病気を取り上げたのはなかなか面白い試みです。
    相変わらず厳しい文体で、武家の生き様を描いていきます。父と子のみならず、母や嫁も、みな異常に張り詰めている感じです。そして、他に登場する脇役(武士以外)たちも悪人が居ないというばかりでなく、弛緩した人物が出て来ません。もともと奇矯と言っていいほどの武士の倫理観を描くのが得意な青山さんですが、ちょっと行き過ぎかも。デビューして10年以上たち、もう少し肩の力の抜けた作品が出てきても良いような気がします。
    一種のサスペンスドラマで、最後に謎解きがありますが、少々無理があるかな~。

  • 印象的な言葉が出て来る。『褒められたいのだと思う』藩主が親同然の家臣に求めたものは褒められたいであった。領民の為の良政は、シンプルに褒めてもらえそうというところから来ていた。妙に納得がいった。私も仕事しながら、褒めてもらいたいと素直に思ってるのを得心したら、笑ってしまった。あぁそうか褒めてもらいが根本の本音だ。カッコよく社会の為とか、そんなんじゃない。好きな人がいたら、尊敬する人がいたら尚更だ。分かるぞ。
    もうひとつ、躾についても言っていた。躾とは気持ちが動かずとも身体が動くようにするのが躾だと。
    そのままの言葉を引用する。『人なら、疲れ果てもするし、塞ぎ込みもするでしょう。目の前の用に、手が出せなくなるのもめずらしくありません。それでも気がつくと、ひとりでに身体が動いて、やらねばならぬもろもろをやっている。そういう者に育つように仕込むのが躾なのです。なんで、そうするのか、わかりますか?当人が楽になるからです。生きていく、ということは、日常の用をこなしていくということです。人です。獣ではないのです。汚れたままの皿で物を食べるにはゆかぬのです。誰かが皿を洗わなければなりません。自分で洗わなければ、何者かが洗ってくれているのです。もろもろな事情で、その何者かがいなくなるさのはいくらでもあることです。そうなったとしても躾られていれば、なんの痛痒も感じません。日常の用を、自分で苦もなくこなせるというのは、それだけで縛られるものがなくなるということです。自由になるということなのです』

  • ある御藩主と名医、そして家臣たちの物語であると読み始めるが、最後に予想しない結末が待っていた。

    蘭学や漢方医、時代背景など、細かな情報が精確に著され、表現も会話も、そして物語も武家社会そのものを感じさせる、独特の世界。
    「跳ぶ男」「本を売る日々」を読んで3冊目の作者。どれも一分の隙もなく、時に非情でさえある。しかし、どの人物も人としての魅力に惹かれる。

  • 目付の永井重彰視点で語られる静謐な物語。
    蘭方が認められ、発展し始め、漢方医からの反発が強まるなかで行われた藩主の外科手術。執刀医の向坂は重彰の息子の恩人だった。藩主の信頼厚い小納戸頭取永井元重は、失敗したときに孫の恩人を守るため、策を巡らし、息子と二人だけで藩主の手術・療養を乗り切ることにする。

    医師を志したことがあり、世の中の流れにも敏感で、思慮深く、柔軟な思考をもっている元重。先進的な考えを持つ英明な若き藩主。父と同じく医師を志したことがあり、息子の療養に際しても妻を守り、夫婦協力することを当然と思う重彰。芯の通った聡明な母と妻。良心的な名医向坂。
    どこをとっても悲劇になりそうもないのに、静かな語り口が不穏を孕む。

    そしてあってはいけない出来事が起こる。

    遺書で全ては明らかになるが、が!
    結局のところ自己満足にしか思えないのは仕えるべき主をもたない、現代人だからか。
    聡明で柔軟だと思えた人が犯した二つの罪。二つめはずるいなとすら思ってしまう。封建制の呪縛からまだ逃れられない世代というべきか。

  • 青山氏の向かわんとするところに疑問を生じた時代劇ミステリー。
    小納戸頭取という役職にどれほどの重みがあるかを理解できぬまま、自らの命をとして「暴走」としか受け取れなかった「父 元重」
    最期まで己の考えを突き進めていった先に、何を観たかったのか、何を伝えんとしたか、不可解なままで幕を閉じた感がある。

    紀州の山奥の蘭方医 華岡青洲
    たまたま私が住むところの近くでもあり、その館を幾度も訪れた事もあって非常に親近感を覚えている。
    それだけに向坂医が滑落していくときの想いはどうだったんだろうと、暗然とした。
    名医と言われる彼のほか、子を孫を必死に守り続けた母、嫁の熱い想いと脇を固める人々皆か一つの方向を見据えて生きて行っていると感じられた展開だけに・・・

    現代人の心では押し切れぬ「父がした事」への憶測。私の深謀熟慮が浅すぎる所以か

  • 幕末の漢方蘭方医療のリアル。それぞれの考え方、効果、限界などがよくわかる。
    タイトルのことを忘れて読んでいて、すっかり医療小説だとばかり思っていたところでのミステリ展開。
    「父がしたこと」、しなければならなかったこと、その重みと意味。小納戸頭取(というお役目を初めて知った)の立場としては正しい選択なのだろう。そこは納得なのだけど。

  • 一気読み。参勤交代で痔になる大名。初耳。大変だ。エコノミークラス症候群も多発していただろうな。「父のしたこと」まったく肯定できないが、それが忠臣という時代…。それにしても、あまりに実直…。教科書でしか知らない江戸時代の蘭方医が、生きた“お医者さん”として目の前に。資料探しも大変だったろうな青山さん。次も楽しみ。「守旧のためなら捏造でも誣告でもなんでもする妖怪・鳥居耀蔵」「人はいったん相手を敵と識別すると、とことん残酷になれるものらしい。己の酷さに昂るらしい。それが武勇伝にさえなるようだ」「藩士に動き癖をつけてはならぬ。動けば出世できるのが前例になれば、次の藩政の曲がり角でも必ず動くものが出てくる。あるいは、次の曲がり角を待ち切れずにみずから曲がり角をこしらえようとする者も出て来る」

  • 「父がしたこと」

    タイトルに惹かれ
    読む前から(父は何をしてしまったの?)と
    気になって仕方がない。

    青山文平さんが描く世界だから
    「父のしたこと」の大きさは
    とても許されることではないだろうと予測はつく。

    蘭学排撃の嵐が吹き荒れる中
    藩主の病の治療は外科手術で行われることになった。
    当時は漢方医が主だ。
    手術で藩主に危機が及べば一大事。
    相当な覚悟が必要だったと思う。
    どのように蘭方外科が成ってきたのか。
    丁寧に書かれているのでその歴史も知ることができる。

    曲がらぬ一本の筋。
    ときには、それが厄介なのだと改めて思う。

  • 藩主の手術に秘密裏に麻酔を使うことを決めた側近、江戸時代の蘭学の位置。

    物凄く渋く、江戸時代蘊蓄に溢れ、意外なラスト。良かった。

  • 物語の前半はちょっと読みにくい、ちょっとこの世界に入りにくいところもあるが、中盤以降は青山文平ワールドに浸ることができた。青山氏の本は残らず読んでいるが、今回も期待に違わず最後まで一気読みしてしまった。
    隠居した父の年齢を超えているせいか、主人公よりも父に感情移入するところが多かった。
    願うしか救いようがない時に禁句はない。謀るのは好まぬが、謀なければならぬときには能く謀る。

  • とても読みやすく良質な作品である。ビックリした。が、御殿様の妄言とは何だったのか?? 作品内でヒントがあったのかな?他の方のレビューを読んでも考察などが見つからない。ということは私の読み方が浅いわけではなく、読者の想像に委ねられているということだろうか。
    私の頭に浮かんだのは、御殿様は元重さんを禁じられた意味で愛しており、元重さんもまた心の内で愛していた(それ故に彼の痛みを感じることができた)という説しかない…。

    元重さんは、心の深いところで家族よりも誰よりも御藩主を愛してしまったこと、それが痛みの共有という形で証されていることを畏れ悩み、また御藩主に立派になってほしい気持ちと、自分が彼の愛の対象になってしまったことにも深く罪の意識に苛まれていた。プラス家族への罪悪感、などなど。
    御藩主の「誰にも言わん」の内容は元重さんへの愛(;_;)
    しかしそれでも2人の愛は言葉にすらされない、2人の間での秘め事であった。
    が、麻酔時のうわ言で、それが向坂先生にバレてしまった。omg...

    ということで元重さんは向坂先生をも犠牲にして、秘密を墓場まで持っていくことにした。
    すべては御藩主のため…。

    という究極のプラトニック・メンズラブ…かな…。

    幻肢痛の話も何か象徴的に見えるけど、何を表しているのか。あと、御藩主が麻酔から覚めた時に元重さんがはばかりに行ってたのも何かを示していそうだけど…。たんに重彰との会話の描写の都合上、そうなっただけなのかな。

    とにかく、最終的に、メチャメチャ切なかった小説。

  • 蘭方、漢方医での説明から、藩主の身体にメスを入れる事に!
    この時代、メスを入れる事は、麻酔薬を使用する事で、一生 覚醒しない事態も生ずる事も念頭に置かなければいけない。
    その説明が、長い。
    藩主の病状は、痔瘻であり、手術後の回復期間も必要であるし、世間に伏せて置かなくてはならない。
    父から、その旨と蘭方医師の選択について聞かされる。

    そして、妻の佐江が、赤子を出産して、実家から初冬の夜、赤子を抱いて駆け戻って来た。
    赤ちゃんに鎖肛という肛門の無い症状で、このままでは、行きていられない。
    間引きでなく「子がえし」と言う言葉を初めて知った。
    どちらも、この当時では、どう処置をするのか?

    藩主の手術も、一応成功したのだが、術後の痛みは、続く。
    藩主が、憧れの従兄弟が得意な打毬で、落馬し、膝下を切断した話をする。
    無い足が、痛む。
    しかし、私も入院した病室で、糖尿病の為に足を切断した人が、いつも、看護師や医師に、足先が痛くて眠れないと訴えていたのを思い出した。

    藩主は、人の痛みがわかると。
    小納戸頭取の永井元重が、自分の身体の痛みを写していると息子の重彰に話す。
    藩主と我が子の病気を平行しながら、話が進む。

    我が子の世話をしながら、妻の佐江は、義母から褒められたいと。
    藩主は、元重に褒められたいと。

    自分に信頼と輝きを与えてくれるお手本のような人からから褒められたいと、努力するのだが、……

    向坂先生の滑落事故、そして父の遭難事故。
    最後に、父からの手紙から真相が、わかるのだが、それは、正しかったのか、私には、理解し難い。

    医療の発展にも、名医の教えても、途切れてしまった事に、これで良かったのか?と疑問符であった。
    一国の藩主が、麻酔の中、発した言葉が、どれほどの重みを与えたのか?と……
    何か、努力した事が、実らなかった感が、強かった。

  • 完璧な親父殿、あまりに儚い。

  • うーん…父のしたことに全く納得出来なかった。誰よりも忠臣ではあるが、藩内に争いの火種を生まないために自身の出世すら望まない父親が、領民たちの健康やこれからも多くの人を救うであろう優秀な蘭方外科医の命を藩主の名誉と天秤にかけて、後者を選ぶのだろうか…。しかも、父親の元重は頭が固い武士ではなく、知見も広く賢い人として描かれているので尚更疑問を感じる…。人物像がうまく繋がらず、ラストが急に感じた。

  • 初青山文平。
    久しぶりに、華岡青洲の「麻沸散」(全身麻酔薬、通仙散)の文字を見た。
    史実を土台にした医療時代小説だけど、本筋は武家小説。
    気になって、いろいろ考えてしまった。
    藩主の妄言とは?どこの藩?
    向坂先生は気の毒だとか。
    関係ないけど、
    華岡青洲の直系の子孫は東京で歯科医院を営んでいる。

  • 藩主の全身麻酔による外科手術を手配することになった永井元重・重彰親子。術を依頼されたのは華岡流外科の名医・向坂清庵。
    重彰は数年前に鎖肛をもって生まれた長子を清庵によって救われていた。
    藩主が全身麻酔術を選んだのは、生まれつき痛みに弱い性質からだった。
    手術は成功するが、清庵は不審死を遂げる。
    医師は、手術中に藩主が痛みから漏らした妄言を聞いてしまったために暗殺されたのだった。手を下したのは元重だったことを元重の遺書で重彰は知る。

    重い!激しい!苦しい!
    青山文平らしい作品。

  • 辛気臭いなと思いながらも、短いので読了したが、展開に全然納得しない。

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著者プロフィール

作家

「2022年 『ベスト・エッセイ2022』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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